audio-technica ATH-D900USB
パソコンのUSB端子に接続してハイレゾ音源が楽しめる
192kHz / 24bit対応のDACとヘッドフォンアンプを内蔵したハイレゾ対応の一体型ヘッドフォン。PCにUSB経由で直接つなげばハイレゾ再生が楽しめる。
ヘッドフォン本体には53mmの大口径ドライバーを搭載。ハウジングは密閉型でありながら開放型ヘッドフォンのように抜けのよいサウンドを再現できることが本機の特徴を際立たせている一つの要素だ。
長時間リスニングの負担を軽減できるよう、独自の3Dウィングサポートに、大柄なイヤーカップと柔らかいイヤーパッドで耳を包み込むトータルイヤーフィット設計を採用して、圧迫感のない優しい着け心地を実現。本体は約330gと、同社のインドアタイプのオーバーヘッドフォン上位モデルとほぼ同等の質量になっている。
本体内蔵のDACやパワーアンプの駆動はUSBバスパワーで給電するため、別途電源入力は不要。L側のハウジングにはボリュームコントローラーが付いている。Win / Macともに専用ドライバーのインストールが必要になる。
USBケーブルは本体から着脱ができ、通常のステレオミニケーブルに付け替えられるので、ポータブルプレーヤーと組み合わせながら楽しむこともできる。なおiPhoneにLightning-USBカメラアダプターを直接つないで聴くことはできない。
ケーブルはUSB(Type A)とミニプラグ(標準プラグアダプター付属)コネクターを持つ2種類が付属。ヘッドフォン側のコネクターも同様にUSB(micro B / 写真左)とミニプラグ(写真右)となる。USBケーブル接続時はヘッドフォン内蔵のDAC/アンプを通るが、ミニケーブル接続の場合はスルーしてパッシブヘッドフォンとなる。
試聴はMacに本体をUSB接続してハイレゾ音源を聴いた。ロックは低域の情報密度が濃く、加えて音楽再生のスピード感やキレの良さが魅力。バンドものはパーカッションなどアレンジのディテールが見わたせる。ヴォーカルは自然な定位感と伸びやかなハイトーン、余韻の透明感も心地よい。音の輪郭がきわめてシャープだ。
クラシックのオーケストラは立体感の表現力に長けている。ストリングスのハーモニーは懐が深く、濃厚な余韻が聴きどころ。弱音再生時のノイズフロアが低く、たとえば木管楽器がソロを展開するパートも見事な臨場感で描き出す。ダイナミックレンジはとても幅広く、演奏のスケール感を余裕たっぷりに再現する。密閉型のハウジングにより外部ノイズの侵入を防ぎつつ、開放的でクリアなサウンド。歪みがなく透明でキレ味のある低域が演奏の緊張感を高めてくれる。
オールジャンルの音楽に対応ができて、バランスよく自然な再現力を持つ、信頼性の高いヘッドフォン。手軽にハイレゾを楽しめる魅力だけでなく、抜群に軽快な装着感も特徴だ。ノートPCと組み合わせてポータブルリスニングに活用してもよさそうだ。