【Aura】 みずみずしいア・カペラと斬新なアレンジで魔法をかけられたクリスマス・キャロル集

Aura   2010/12/24掲載
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 アルトから高音域のソプラノまで、それぞれ個性的な美しさを持つ5人の女声が、ア・カペラでみずみずしくも優美なアンサンブルを生み出すグループ、Aura(アウラ)。声楽曲はもとより、器楽曲に歌詞を引用したものまで、ときに斬新なアレンジでクラシックを歌い上げ、聴く者すべてを魅了してやまない。そんな彼女たちがニュー・アルバムでとりあげたのは、ファンからのリクエストも多かったクリスマスのキャロルたち。時代や地域を超え今なお世界中で愛されている定番のメロディが、Auraの“魔法”で新しい生命を与えられていっそう輝き出すのを、とくとお楽しみあれ!
――クリスマスの名曲が網羅されていますね! とくにお気に入りの楽曲をそれぞれ、ひとつ選ぶとしたら?
畠山真央(以下、畠山)「〈御使いうたいて〜ニュー・イヤーズ・ギフト〉は、クリスマスと新年の歌詞をメドレーで歌い繋いでいて、メロディはあの〈グリーン・スリーヴス〉なのですが、アレンジャーの吉野(裕司)さんのアイディアで、変奏曲のような展開をみせるのが面白いですよ。夢中で歌っていると心地よくてトランス状態になりそうで……(笑)。最後をユニゾンでびしっと締めてあるのも聴きどころです」
原嶋絵美(以下、原嶋)「私は〈きよしこの夜〉を。あまりにも有名な定番曲ですが、予想をいい意味で裏切られる敬虔な雰囲気のアレンジは、苦悩の中でただひたすら光を追い求める人の姿が表現されているようなイメージ。だからこそ最後に“Alleluja”(ハレルヤ)と歌うところでは毎回、じわっと熱いものがこみ上げてくるのを感じました」
佐藤悦子(以下、佐藤)「じつは去年ぐらいから〈ひいらぎ飾ろう〉をオリジナルのウェールズ語で歌いたいなと思って、個人的にCDを取り寄せたりして聴きこんでいたので、こうして収録が実現して嬉しかったです。アレンジャーの坂部(剛)さんは今回が初めてだったのですが、日本の“お囃子”にも通じるリズミックな部分にワクワクしました。教訓めいた内容の歌詞もユニークなので、訳詞もチェックしてみてください」
菊地薫音(以下、菊地)「どれも捨てがたいのですが、何回かライヴでも歌ったこともある〈あら野のはてに〉を。ふだんクラシックを聴き慣れていない方にもすっと受け入れていただけるようなシンプルな編曲を田尻(光隆)さんにしていただきました。アルバムの中の“耳休め”にもなります。ブックレット片手に一緒に歌ってみてください」
星野典子(以下、星野)「私はあえてアルトの自分が参加していない、高音の4声による〈ガブリエルズ・メッセージ〉を。聴くたびに胸を締めつけられるような感動があります。途中のハイ・ヴォイス・コーラスもまるで荘厳な教会の鐘の音みたいで素敵。あまりに美しくて、切なくなりました」
――スペインのカタルーニャ地方に伝わる「フム・フム・フム」も遊び心にあふれていて印象的です。
畠山「原語の響きの面白さを活かして、半音ずつ上がって前へどんどん進んでいくようなアレンジを自分たちで考えるのが楽しかったです。どこまで行っちゃうの? 終わりかと思ったらまだあるよ! みたいな(笑)」
――個人的にはボーナス・トラックの「アメイジング・グレイス」が素晴らしいと思いました。
菊地「ありがとうございます。誰もが知っている旋律ですが、今回のアレンジが楽曲のイメージを大きく広げてくれたと思います」
原嶋「歌詞を書いたジョン・ニュートンはもともと奴隷船の船長で、嵐から生還した後に改心して聖職者となった人だと知って、想像力をかきたてられました」
畠山「出だしからまるで、船に乗って航海しているような雰囲気です。まわりに何もない、海の真ん中の風景が目に浮かぶようで。そして最後はついに異国に行き着いたような」
――皆さん2003年の結成以来の不動のメンバー5人ですが、デビュー当時と今とで大きく変わったことは?
原嶋「最初は個々の声が目立っていたのですが、今はアンサンブルが成熟してひとつに解け合っている感じ。それでいてひとりひとりの個性がちゃんと活かされているのも、はっきりと感じます」
星野「それだけに、昨年から静養中だった真央ちゃんが元気で戻ってきたことが、本当に嬉しかった!」
佐藤「5人が揃った喜びが、クリスマスの幸福感とシンクロしています」
原嶋「私もこれから5人で回るコンサートが楽しみでしょうがない!」
畠山「心配してくださったファンのみなさまに感謝の気持ちを込めて、せいいっぱい歌います」
菊地「日本での経験を積み重ねて、いつの日か5人でヨーロッパの舞台に立てるように、がんばりたいと思います」
取材・文/東端哲也(2010年11月)
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