常に野心的な音の冒険を続けシーンに巨大な存在感を示してきたBACK DROP BOMB。ニュー・アルバム『VENOMETEORIC』は、前作よりサポートを務めるドラムのBOBO(
54-71)を含めた屈強なバンド・サウンドが前面に押し出された、かなりストレートにロックな仕上がり。もちろん、彼ららしいプログレッシヴかつ、一筋縄ではいかない独自のミクスチャー感覚は健在。
ジャスティスをはじめとした、いわゆるダンス・フロアとロックの蜜月はるか以前から、ロックにダンスのシーケンスを持ち込む先駆者だった彼らがなぜ、今作へと辿り着いたのか。今作はBATTLESやCLAP YOUR HANDS SAY YEAHを手掛けたことで世界的な知名度を獲得した敏腕、キース・ソウザをエンジニアに迎え、彼のスタジオMachines with Magnetsで制作が行なわれている。
「それまでBATTLESも聴いたことがなかったんだけれど、たまたま聴いた曲のミックスがすごくて、すぐキースにアポをとってもらったんです。作業をやっているうちに彼が手掛けたバンドも次々、知名度が上がってきて、すごい運命とタイミングだなと。だから彼と作業してきたバンドの音色を求めていたのではなくて、そのミックスの手腕と、海外で合宿をしたかったというのが、今回、キースを起用した大きな理由です」(田中)
久方ぶりの海外、そして合宿レコーディングは、一般的な概念のバンドというよりもいわゆる異能集団という形容のふさわしい個性を持った彼らにとって、新鮮なひらめきを呼んだようだ。
「僕は本番までにデモで80パーセントぐらい仕上げていくんですけれど、残りの20パーセントは本番での奇跡を入れたいと思っているので、そこでも生っぽさは考えていましたね。たとえばベースの篭橋の作ってくるデモは完全に打ち込みなんですけど、それを生に置き換えていったり」(田中)
「キースはうちらの生バンドっぽさのいいところをすごく引き出してくれたと思います」(小島)
白川と小島のスリリングなツイン・ヴォーカルの駆け引きと生々しくぶ厚いアンサンブルのバランスも、がっちりと塊となって響きながら、さらにカラフルな世界を描きだしている。リリックに関しても日本語/英語を飛び越えた発想の飛躍とフリーフォームなカットアップ的手法をここに確立させた。
「そうですね、今回は本当にいろいろなスタイルを試しています。ヴォーカルのトーンをトラックと合わせてみたり、作品全体に統一感が出るように心がけて。“ちょっとへんなことをしてみた”というような、とってつけたような感じにはしたくなかった。それはタカ(白川)も言っていたし、ビート感、コード感をすごく意識してやりました」(小島)
メンバーそれぞれのアイディアを成熟させていくという制作過程、そして昨年のBIG-Oこと
OSUMIとのアルバム
『Straight To Next Door』を「ヒップホップの方面から現れた、ジャスティスくらいのインパクトを持った音だと思った」と絶賛を寄せる盟友
DJ WATARAIによるトラックがオープニングとエンディングに配された絶妙な構成もあり、全体を覆う怪物のようなひとつのおおきなうねりが、現在のBACK DROP BOMBのクリエイティヴな高まり、そして音楽へのピュアネスを象徴している。
「作り終えて自分としての満足感はすごくありました。ジャケットなど含め、みんなと話し合いながら進めていけたことが良かった」(田中)。
「今までのアルバムのなかで、いちばんやりきった感がありますね」(小島)
取材・文/駒井憲嗣(2008年2月)
【BACK DROP BOMB VENOMETEORIC TOUR】
公演日:2008/4/29
地域:東京
会場:恵比寿リキッドルーム
開場:18:00
開演:19:00
問い合わせ先:スマッシュ/ 03-3444-6751
公演日:2008/5/2
地域:愛知
会場:名古屋クラブクアトロ
開場:18:00
開演:19:00
問い合わせ先:ジェイルハウス/ 052-936-6041
公演日:2008/5/3
地域:大阪
会場:心斎橋クラブクアトロ
開場:18:00
開演:19:00
問い合わせ先:スマッシュウエスト/ 06-6535-5569