敏腕エンジニア、キース・ソウザを迎え、屈強なバンド・サウンドを前面に押し出したBACK DROP BOMBのニュー・アルバム

バック・ドロップ・ボム   2008/02/26掲載
はてなブックマークに追加
敏腕エンジニア、キース・ソウザを迎え、屈強なバンド・サウンドを前面に押し出したBACK DROP BOMBのニュー・アルバム
 1994年のバンド結成以来、常に進化/深化したサウンドをクリエイトし続けているBACK DROP BOMBBATTLESCLAP YOUR HANDS SAY YEAHの作品を手掛ける敏腕エンジニア、キース・ソウザを迎えたニュー・アルバム『VENOMETEORIC』においても、彼らは持ち前の音楽的好奇心をフルに発揮して唯一無二の先鋭的なロック・サウンドを展開。待望の新作について、ツイン・ヴォーカルのひとり小島真史とギターの田中 仁に話を訊いた。


 常に野心的な音の冒険を続けシーンに巨大な存在感を示してきたBACK DROP BOMB。ニュー・アルバム『VENOMETEORIC』は、前作よりサポートを務めるドラムのBOBO(54-71)を含めた屈強なバンド・サウンドが前面に押し出された、かなりストレートにロックな仕上がり。もちろん、彼ららしいプログレッシヴかつ、一筋縄ではいかない独自のミクスチャー感覚は健在。ジャスティスをはじめとした、いわゆるダンス・フロアとロックの蜜月はるか以前から、ロックにダンスのシーケンスを持ち込む先駆者だった彼らがなぜ、今作へと辿り着いたのか。今作はBATTLESやCLAP YOUR HANDS SAY YEAHを手掛けたことで世界的な知名度を獲得した敏腕、キース・ソウザをエンジニアに迎え、彼のスタジオMachines with Magnetsで制作が行なわれている。

 「それまでBATTLESも聴いたことがなかったんだけれど、たまたま聴いた曲のミックスがすごくて、すぐキースにアポをとってもらったんです。作業をやっているうちに彼が手掛けたバンドも次々、知名度が上がってきて、すごい運命とタイミングだなと。だから彼と作業してきたバンドの音色を求めていたのではなくて、そのミックスの手腕と、海外で合宿をしたかったというのが、今回、キースを起用した大きな理由です」(田中)





 久方ぶりの海外、そして合宿レコーディングは、一般的な概念のバンドというよりもいわゆる異能集団という形容のふさわしい個性を持った彼らにとって、新鮮なひらめきを呼んだようだ。
 「僕は本番までにデモで80パーセントぐらい仕上げていくんですけれど、残りの20パーセントは本番での奇跡を入れたいと思っているので、そこでも生っぽさは考えていましたね。たとえばベースの篭橋の作ってくるデモは完全に打ち込みなんですけど、それを生に置き換えていったり」(田中)
 「キースはうちらの生バンドっぽさのいいところをすごく引き出してくれたと思います」(小島)

 白川と小島のスリリングなツイン・ヴォーカルの駆け引きと生々しくぶ厚いアンサンブルのバランスも、がっちりと塊となって響きながら、さらにカラフルな世界を描きだしている。リリックに関しても日本語/英語を飛び越えた発想の飛躍とフリーフォームなカットアップ的手法をここに確立させた。
 「そうですね、今回は本当にいろいろなスタイルを試しています。ヴォーカルのトーンをトラックと合わせてみたり、作品全体に統一感が出るように心がけて。“ちょっとへんなことをしてみた”というような、とってつけたような感じにはしたくなかった。それはタカ(白川)も言っていたし、ビート感、コード感をすごく意識してやりました」(小島)

 メンバーそれぞれのアイディアを成熟させていくという制作過程、そして昨年のBIG-OことOSUMIとのアルバム『Straight To Next Door』を「ヒップホップの方面から現れた、ジャスティスくらいのインパクトを持った音だと思った」と絶賛を寄せる盟友DJ WATARAIによるトラックがオープニングとエンディングに配された絶妙な構成もあり、全体を覆う怪物のようなひとつのおおきなうねりが、現在のBACK DROP BOMBのクリエイティヴな高まり、そして音楽へのピュアネスを象徴している。
 「作り終えて自分としての満足感はすごくありました。ジャケットなど含め、みんなと話し合いながら進めていけたことが良かった」(田中)。

 「今までのアルバムのなかで、いちばんやりきった感がありますね」(小島)



取材・文/駒井憲嗣(2008年2月)




【BACK DROP BOMB VENOMETEORIC TOUR】


公演日:2008/4/29
地域:東京
会場:恵比寿リキッドルーム
開場:18:00
開演:19:00
問い合わせ先:スマッシュ/ 03-3444-6751


公演日:2008/5/2
地域:愛知
会場:名古屋クラブクアトロ
開場:18:00
開演:19:00
問い合わせ先:ジェイルハウス/ 052-936-6041

公演日:2008/5/3
地域:大阪
会場:心斎橋クラブクアトロ
開場:18:00
開演:19:00
問い合わせ先:スマッシュウエスト/ 06-6535-5569
最新 CDJ PUSH
※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。
[インタビュー] 中国のプログレッシヴ・メタル・バンド 精神幻象(Mentism)、日本デビュー盤[インタビュー] シネマティックな115分のマインドトリップ 井出靖のリミックス・アルバム
[インタビュー] 人気ピアノYouTuberふたりによる ピアノ女子対談! 朝香智子×kiki ピアノ[インタビュー] ジャック・アントノフ   テイラー・スウィフト、サブリナ・カーペンターらを手がける人気プロデューサーに訊く
[インタビュー] 松井秀太郎  トランペットで歌うニューヨーク録音のアルバムが完成! 2025年にはホール・ツアーも[インタビュー] 90年代愛がとまらない! 平成リバイバルアーティストTnaka×短冊CD専門DJディスク百合おん
[インタビュー] ろう者の両親と、コーダの一人息子— 呉美保監督×吉沢亮のタッグによる “普遍的な家族の物語”[インタビュー] 田中彩子  デビュー10周年を迎え「これまでの私のベスト」な選曲のリサイタルを開催
[インタビュー] 宮本笑里  “ヴァイオリンで愛を奏でる”11年ぶりのベスト・アルバムを発表[インタビュー] YOYOKA    世界が注目する14歳のドラマーが語る、アメリカでの音楽活動と「Layfic Tone®」のヘッドフォン
[インタビュー] 松尾清憲 ソロ・デビュー40周年 めくるめくポップ・ワールド全開の新作[インタビュー] AATA  過去と現在の自分を全肯定してあげたい 10年間の集大成となる自信の一枚が完成
https://www.cdjournal.com/main/cdjpush/tamagawa-daifuku/2000000812
https://www.cdjournal.com/main/special/showa_shonen/798/f
e-onkyo musicではじめる ハイカラ ハイレゾ生活
Kaede 深夜のつぶやき
弊社サイトでは、CD、DVD、楽曲ダウンロード、グッズの販売は行っておりません。
JASRAC許諾番号:9009376005Y31015