――結成して7年目のCANDY GO!GO!ですが、数多いるアイドルグループの中で、他とは違う武器を挙げるなら何でしょう?
関根ゆみ 「やっぱり生歌で勝負していることですね。他のアイドルさんって被せとか口パクが多いんですけど、私たちは結成当初からオケは一切流さず、全部生で歌っているんです。いつも同じ音で同じダンスをしていてもお客さんもつまらないでしょうし、生歌の場合そのつど煽りや歌い方も変えられるので、生での臨場感が出せるんですよね」
磯野未来 「そもそもライヴの本数が半端ないんですよ。普通に月30本超えるし、この前の12月なんて43本!」
――12月は31日しかないのに?!
磯野 「土日とかは1日2、3本入ってたりするんですよ。それだけの本数をこなしているだけあって、チームワークもすごくいいですし、突然の変更があっても対応できる」
佐伯かな 「ライヴハウスだけじゃなく、ショッピングモールとか野外だとか、いろんな場所でやるもんね。だから“今日の立ち位置はなんとなく”で、みんな通じるし(笑)」
なぎさりん 「マイクが足りないときも、自分のパートが終わった瞬間にさりげなくパスするとか、他の子のパートも歌うとかで対処できるんです。全員の歌詞を全員が覚えてるんで」
――それは凄い!
宍戸桃子 「なので誰が休んでも、すぐにカバーできるようになってます」
菜月アイル 「かと言って休まれたら困るけど(笑)」
なぎさ 「あとはメンバー全員が二十歳を超えたあたりから、自分たちの意志をハッキリ出して、自分たちでCANDY GO!GO!をプロデュースし始めるようになったんです。最初は“とろけるくらい甘くて可愛いスイーツアイドル”みたいなスタンスでやっていたのが、今はバックバンド付きでアーティストさんとの対バンにも出ているので、全ジャンル対応できるのも強みですね」
――今やキャッチコピーは“渋谷系ガールズロックアイドル”となり、楽曲も歪んだギターが盛りだくさんで、かなりバンド色 / ロック色が強いですもんね。
磯野 「もう、男のロックを女が歌ってる感じなんですよ。だから女の強さが出せる曲になるとCANDYらしさが表れやすくて、他のグループに比べても、メンバー自身みんな“男”だと思う」
関根 「サバサバしてるよね。楽屋での態度とかもガツガツ系で、メンバー同士でも大人に対しても言いたいことはハッキリ言うし、隠し事とかもない」
――ケンカもします?
一同 「しますね」
宍戸 「けど、それで不仲になったりはしない。みんなサッパリしてて、ネチネチした子はいないんです!」
佐伯 「あとはCANDY GO!GO!って、曲によってセンターが変わるんですよ。それぞれ声の色が全然違うので、ミドルだったらこの人、哀愁漂う曲はこの人、ゴリゴリのロックだったらこの人……っていう具合に、どんな曲にも対応できるメンバーが揃っているんです。ただ、私の場合バラードやしっとり系が多いんで、生誕ライヴになると盛り上がらないっていう弊害があるんですけど(笑)」
なぎさ 「私はロック系が主で、(菜月)アイルは割とJ-POP風が多いよね」
菜月 「顔はJ-POPじゃないんだけどね(笑)。人に好かれる曲が多いです」
磯野 「私はパワフルな歌。完全に力で押してます!」
関根 「私も結構ロック系かな。声が低いので低音の曲を歌わせていただいたりしてます。(高城)しおりはこの中では一番王道のアイドル寄りかも。電波ソングというか」
高城しおり 「よく“声が変わってる”って言われるんですよね」
――じゃあ、生誕祭は疲れる系?
高城 「疲れるし、メッチャみんな盛り上がってくれます! 人気投票で結構上位にランクインするような、遊び曲が多いんですよね」
宍戸 「私は加入して間もないんで、今回のアルバム『IDOROCK』に収録されている(佐伯)かなさんとのダブルリード曲、1曲しかないんですけど、それはミドルな曲です」
なぎさ 「優しい声してるもんね」
――その『IDOROCK』は昨年末に発売されたばかりですが、CANDY GO!GO!にとって、どんな作品になりました?
関根 「ロックをメインに作っているのは勿論なんですけど、外部のアーティストの方に楽曲提供していただいた曲が今までになく多いので、新しいCANDY GO!GO!らしさを出せた気がしますね」
磯野 「ロックの中でも多彩なジャンルを入れられたというか。特にFEELFLIPさんが提供してくださった〈Walk below the rainbow〉はスカも交えた曲で、歌うのがメッチャ難しかったです! 何回やってもリズムがズレていって、レコーディングでこんなに苦戦したのは初めてでした」
高城 「サビが少しでもズレたら終わりなんですよね。この曲のリードヴォーカルは私なんですけど、今までのCANDY GO!GO!には全く無かった曲で、初めに聴いたときから“あ、この曲なんかスゴいな”って思ったんですよ」
――スカやブラスの音色は、確かに異色ですよね。
関根 「私がリードを歌わせてもらっている〈ゲッダン!ジェラシー!ラブラブユー!〉も、ハシグチカナデリヤさんが提供してくださった曲で。これまでのCANDY GO!GO!とは全く違う感じの曲調なので、どうやって歌ったらいいのかすごく悩んだんです。でも、エンジニアさんにいろいろアドバイスしてもらったり、曲中にメンバーの台詞もあったりで、ライヴでも盛り上がる曲になりました」
菜月 「ループマシンを使ってくださったり、ホントにカナデリヤさんワールド全開の曲で、変にCANDY GO!GO!に寄せてない感じが、またアルバムのアクセントになっていて良いんですよね。3月17日には代官山LOOPでハシグチさんとの2マンも決まっているので、そこでもコラボできたらなぁと考えてます」
なぎさ 「あとは7年間ロックをやってきて、30分ステージの全部が盛り上がる曲だと締まりがないだろうと、〈事件File.055〉では聴かせるダークなバラードに挑戦しました。この1曲が加わっただけで、ライヴの見え方がだいぶ幅広くなりましたね」
――この曲は作詞がなぎささんで、その他にもメンバーの作詞曲がいくつかありますが、誰が書くかはどうやって決めているんでしょう?
なぎさ 「今回に関しては、ほとんどリードのメンバーが書いていますね。私は歌詞を書きたい派なのもあって、アルバム新曲8曲のうち3曲で歌詞を書いているんですけど、例えば〈事件File.055〉は社会の理不尽に恋愛を被せて“一生恨んでやるぞ”っていう憎しみの曲になってます」
――妄想力逞しい曲ですよね。4曲目の「いつか忘れられない女になる」は佐伯さんの作詞ですが、まずはタイトルが強烈!
佐伯 「このタイトルは事務所の社長からの指定だったんです。そこからインスピレーションを受けて書いたんですけど、タイトルからして失恋ソングじゃないですか? でも、25歳の私が失恋ソングを書くと、なんだが生々しくなりそうなのが嫌で、裏テーマを“推し変ソング”にしたんですよ。恋人に向けて書いている風に見せて、よく読むと推し変して私の前からいなくなってしまったファンの方に向けて書いているという(笑)」
宍戸 「この曲がさっき話したダブルリード曲なんですけど、最初に歌詞を読んで私、泣いたんですよ。なのに、後から“推し変ソングだよ”って聞かされて“えっ?!”って。初めてのリードが本当に嬉しくて、曲もメッチャ切なくてお気に入りだったのに……」
佐伯 「いいの! 好きに解釈して聴いて! でも、アイドルだったら共感してくれる歌詞になってるんじゃないかな」
宍戸 「確かに推し変は辛いですし、特にCANDY GO!GO!の現場で一切姿が見えなくなってしまうのが一番悲しいです。どんな状況なのか、どう思ってくれているかもわからなくなってしまうので」
――菜月さん作詞の「JUMP×JUMP」はポジティヴで、ある種“らしい”曲ですね。
菜月 「そうですね。私、前向きソングが多くて、メッセージ性が強い歌詞を書きたがる傾向があるんですよ。なので、この曲もスローに始まりAメロで激しくなってサビでパーッと明るくなる曲調に合わせ、Aメロでは理想と現実のギャップを綴り、サビでは“でも頑張るしかないね!”と歌っていて。最後に鼻歌で終わる箇所は、ライヴになるとその時々で感じた言葉を乗せています」
磯野 「PERSONZ・本田 毅さんの提供曲で、私が作詞した〈With Your Smile〉は、今、楽しいと思える“ライヴ”と、過去を振り返って楽しい時代だった“高校生”のころを掛けた歌詞にしています。とにかく楽しいことを書きたかったので」
――その中でリード曲になっているのが、幕開けのインストゥルメンタルに続く「ハイボールの制約」で、オシャレなロック感と歌声のポップ感を併せ持った曲。
高城 「私、この曲が個人的に一番好き。ロックな部分もありつつ、ちょっとアイドルっぽい部分もあって」
なぎさ 「『IDOROCK』って、これ1枚でライヴ1本をイメージさせる作りになっているんですよ。で、ライヴの1曲目にするんだったら、絶対に〈ハイボールの制約〉なんですよね」
関根 「なので、このアルバムを聴くときは、シャッフルしないで1曲目から聴いてほしいです」
――アルバムの曲を実際にライヴでやってみて、何か変化は感じました?
なぎさ 「バンドライヴ特有のリズムに乗って楽しむ曲が増えたことで、よけいにアイドルからかけ離れていきましたね。アイドルによくあるコールをお客さんが入れようとしても、絶対に無理なんですよ! 良い意味で、完全にアイドルから脱線した(笑)」
磯野 「ファンの方も、それを“好きだ”と言ってくださるんですよ。これだけアイドルからかけ離れちゃって、最初は批判も多いかな?という不安もあったんですけど、私たちにとっては本当に自信作なので! YouTubeにトレーラーも上がっていますし、このアルバムは買ったほうが絶対に人生損しませんよ」
宍戸 「いわゆる“アイドルが好き”な人から“バンドが好き”な人に、ファンの方々もシフトチェンジしているなぁっていう実感もあるんです。CANDY GO!GO!はキャラの濃いメンバーが多いので、別に誰か“推し”を決めなくても、CANDY GO!GO!全体をハコ推しで好きになってもらえれば嬉しいですね」
――ちなみに一番キャラが濃いメンバーは?
一同 「なぎさです!」
菜月 「取材では真面目でも、ツイッターを見てもらうとブッ飛んでるキャラが凄いんですよ」
宍戸 「で、プライベートはツイッターの倍ブッ飛んでます!」
関根 「CANDY GO!GO!はメンバーみんなSNSもやっているし、動画も上げていたりと、文字だけじゃ伝わらない部分がたくさんあるんですよ(笑)。何より7年間やってこれているのは“本気だから”であって、生半可な気持ちで活動していないってことを、ライヴに来て実感してもらいたいですね」
高城 「やっぱりCANDY GO!GO!はライヴアイドルなので、生の姿をライヴハウスに観に来てもらって、もっと好きになってもらいたいです」
菜月 「インストアイベントだったり無料で観ることのできるライヴもたくさんあるので、まずはそういった場に来ていただいても良いですし。今は年に数回しかできていないバンドライヴも、今後はもっと増やしていきたいです。次回は5月2日に新宿ReNYで予定しているんですけど、やっぱり生音の迫力ってオケでは出せないものですから」
なぎさ 「キッカケなんて何でもいいんですよ。YouTubeでも無料ライヴでも、とにかく触れていただければ、CANDY GO!GO!は単なるアイドルではなく、新しいジャンルなんだってことに気づいてもらえるはずなので。あと、私は作詞やリードも多くやらせてもらっていて、本当に歌に対する思い入れが強いんです。歌っているときの顔を見れば“こいつガチだ”とわかってもらえるので、その歌に対する強い想いを実際にライヴで感じ取ってほしいですね」
関根 「アイドルファンの中では“CANDY GO!GO!って重鎮だよね”みたいに言ってもらえても、まだまだ一般の方には知られていないのが現状なので。もっと幅広く知ってもらえるように、アイドル枠じゃなくアーティスト枠に行けるように取り組んでいかないと」
佐伯 「私は残念キャラ担当ですけど、CANDY GO!GO!は全く残念ではないので。あなたの“忘れられない女”になれるように頑張ります!」
取材・文 / 清水素子(2017年2月)
CANDY GO!GO! 結成7周年記念公演
GIGS〜7th ANNIVERSARY-BORDERLESS-
2017年7月3日(月)
東京 新宿 ReNY
開場 18:20 / 開演 19:00
前売 3,500円 / 当日 4,000円(各1Drink別途)