【ケルティック・ウーマン Interview】 メンバー・チェンジを経て新たなハーモニーを獲得 新生ケルティック・ウーマン3年ぶりの新作が完成

ケルティック・ウーマン   2010/01/28掲載
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 2008年のベスト盤『ザ・グレイテスト・ジャーニー〜ザ・ベスト・オブ・ケルティック・ウーマン』を挟み、ケルティック・ウーマンの約3年ぶりとなる新作『ソングス・フロム・ザ・ハート』がリリースされた。この3年間にメンバーの産休や離脱などがあり、新しい編成に。結成当初からのクロエ(vo)、リサ(vo)、マレード(フィドル)に加え、才能と美貌に恵まれたアレックス(vo)とリン(vo)が参加。新編成になってから初めてのレコーディングとなった新作について、産休を終えて復帰したリサに話を聞いた。


――アルバムの制作は、どのようにして始まったのでしょうか?
リサ(以下同) 「いつもプロデューサーのデヴィッド・ダウンズとの打ち合わせから始まるの。彼は私たちのことを熟知しているので、それぞれの声質に合う曲を考えてくれる。その曲をソロで、デュオで、またはグループでそれぞれに試すところからレコーディングはスタートしたわ」
――ソロでいうと、あなたが歌うスティングの「フィールズ・オブ・ゴールド」で、アルバムは始まりますよね。
 「そうなの。グループではない曲、ソロの歌がアルバムの1曲目になるのは今回が初めて。スティングのこの美しい曲が新生ケルティック・ウーマンの方向性を示す曲だと、デヴィッドは考えたみたいよ」
――あなたはほかにフィドルのマレードとのデュオで、ジミー・ウェッブの「月の無慈悲な夜の女王」も歌っていますよね。ともに男性の歌ですが、何か曲の解釈で女性視点に変えるとか、工夫はありましたか?
 「たしかにこれまで私が歌ってきた歌とは違うタイプの曲よね。最初は不安だったけれど、初めて歌った瞬間に自分にとても合っていると思ったわ。哀しみを湛えた曲だけれど、不思議な魅力があって、歌っているうちに私自身が素敵な気持ちになれるの」
――今回は英語以外にゲール語、さらにイタリア語でも歌っていますよね。
 「全員で歌い、演奏するドヴォルザークの<流れゆく河>は、アルバムの中でも好きな曲だけれど、イタリア語の発音にちょっと苦戦したわ(笑)。でも、クラシックの曲を現代に生まれ変わらせる作業はとても興味深かった。いい経験になったと思う」
SONGS FROM THE HEART
――リンとアレックスが加わった4人の声の相性はいかがですか?
 「それがとってもいいの。ハーモニーの美しさは、ケルティック・ウーマンの核となる魅力でしょ? リンとアレックスもデヴィッドが探してきてくれたんだけれど、もうこれ以上ないという人選よ。リンは、驚くほどピュアで美しい、天使のようなソプラノ・ヴォイスの持ち主。彼女の歌声で眠りにつけたら、いい夢が見られるでしょうね。一方アレックスは、ミュージカルや舞台の経験が豊富で、私も彼女のステージを何回も観ているの。オールラウンドな才能の持ち主で、プロ意識に徹している。そんな彼女と一緒に仕事ができて幸せだわ。編成が変わった当初というのは何かにつけて大変なものだけれど、でも、彼女たちは本当に仕事をしやすい人よ。だから、変化がもたらす楽しさを満喫することができたわ。これって素晴らしいことよね」
――メイヴ(vo)とオーラ(vo)は、完璧に脱退したと考えていいのでしょうか?
 「2人ともソロ活動をしたいということで離れたけれど、いつか復帰することもあるかもしれない。だから、完璧に脱退したとは言えないわね」


ケルティック・ウーマン
左からリサ、クロエ、マレード、アレックス、オーラ(今作は不参加)、リン


――全員で歌う「アメイジング・グレイス」もいいですね。ヴォーカルのアレンジにケルティック・ウーマンらしさが出ていると思うのですが。
 「誰もが知っている曲というのはオリジナルのイメージを大切にすべきだと思うのね。だから、<アメイジング・グレイス>もオリジナルを尊重して、この曲にイメージする聖歌隊とバグパイプを組み入れつつ、ハーモニーのパートで4人の声を生かすアレンジにしてある。そこがケルティック・ウーマンならではという感じがするでしょ?」
――カヴァー以外にデヴィッドが手掛けたオリジナルもありますよね。とくに「オー・アメリカ!〜遥かな新天地」という曲が印象的です。
 「デヴィッドが<ユー・レイズ・ミー・アップ>などをヒットさせたブレンダン・グラハムと共作した曲なの。すでに全米ツアー(2009年10〜12月)で歌っているけれど、客席で男性が涙を流している姿なんかを見ると、私たちも感激するわ。歌っていてとても気持ちよくなれる美しい曲よ」
――その全米ツアーはいかがですか?
 「とても順調よ。アメリカの観客がケルティック・ウーマンのことを心から愛してくれている。そのことを実感させてもらっているわ」
取材・文/服部のり子(2009年10月)
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