日本武道館2daysを見事大成功に収めるなど怒涛の快進撃を続けるチャットモンチー。そんな彼女たちから待望のニュー・シングル「風吹けば恋」が到着! ハードなロック・サウンドに乗せて、恋に揺れる乙女ゴコロを歌い上げた表題曲をはじめ、インパクト抜群の3曲が収録された今作についてメンバー3人に話を訊いた。 この夏もフェスやイベントにひっぱりだこのチャットモンチーから、シングル「風吹けば恋」が到着! この曲は、ハードなサウンドを潜り抜けてサビで疾走するメロディが実に爽やかなロック・チューン。掘北真希が出演する資生堂「SEA BREEZE」CMソングに起用されているが、まさに彼女が走っている映像を観て作り上げていったという。
「この曲の歌詞はもともとあって、CMの世界観にぴったりだなと思い、えっちゃん(橋本絵莉子/g、vo)に曲を付けてもらいました。歌詞はある映画を観たあとに書き上げたんですけど、その主人公の女の人がコンプレックスを抱えてたんですよ。自分のことが嫌いで恋愛も上手にできなくて。だけどある人を好きになったことで、今までの自分を変えるくらい前に突っ走っていくようなストーリーに共感して。恋愛だけに限らず、友達や家族や、私だったらメンバーと一緒にいたら自分自身が変わっていくところも絶対あるし。影響を受けて、いいように変わっていく経験ってみんなあると思うから、いろんな人にわかってもらえるんじゃないかなと思いました」 (高橋久美子/ds、cho)
“君”へと向かう背中を後押しするようにかき鳴らされるギター・サウンドや、よく聴くと複雑に絡み合うリズムなども新境地。彼女たち自身も、手応えを感じているようだ。
「今、制作中の3rdアルバムには、前回のシングル
〈ヒラヒラヒラク秘密ノ扉〉以降の曲が入ると思うので、アルバムの全体像も見ながらサウンドもワンランク・アップしたものにしていこうという思いがありました。だから“風吹けば恋”はサウンド面でも、いろんなことに挑戦しています。今は何をやってもチャットモンチーらしくなる自信もありますし、だけどそこに留まったらいかんなとも思ってて。いつも新しいことをやることが、自分たちらしさやなって思います」
(福岡晃子/b、cho) 一方、カップリングの「推進力」は橋本の作詞・作曲によるもの。インストから発展させていったというこの曲は、足踏みと手拍子から始まるキュートなミディアム・ナンバー。どこかほんわかした雰囲気ながら、歌詞は日常からスタートし、世界へと飛び、最後にはタイムスリップまでしてしまうスケール感が面白い。
「私は普段、身近にある感じの歌詞を書くんですけど、サビが〈hello!〉から始まったことで英語だからどこにでも行けるってことになって、どんどん広がっていきました。でもタイトルは〈推進力〉って最初に決まってたから、〈持ち前の推進力でラッタッタ〉って歌詞を後から入れたんです。だから最初は結構無理矢理だったんですけど(笑)、それがなんかいいまとめになったというか“あ、推進力で飛び回って行けるんだ!”っていうことになりました。国もたくさん出てくるし昔の人も未来の人も出てくるから、いろんな人が聴いても大丈夫!って感じがします」 (橋本)
さらに3曲目の「three sheep」はデビュー前の自主制作盤に収録されていた楽曲で、初のセルフ・プロデュースで仕上げたスロウ・バラード。3曲ともにリアルタイムなチャットモンチーの想いと挑戦が詰まった一枚である。
取材・文/上野三樹(2008年5月)