来日公演直前! コールドプレイSPECIAL

コールドプレイ   2009/01/14掲載
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 昨年発表したアルバム『美しき生命』のセールスが世界36ヵ国でナンバーワンを記録するなど、モンスター・バンドとしての存在感をまざまざと見せつけたコールドプレイ。1月14日には、『美しき生命』の続編ともいえる8曲入り作品『プロスペクツ・マーチ』との2枚組による、『美しき生命〜プロスペクツ・マーチ・エディション』(写真)をリリース! 今回は2月に決定している来日公演に先がけ、昨年11月の『プロスペクツ・マーチ』発表時に収録されたクリス・マーティンのロング・インタビュー、ロンドンで行なわれた最新ライヴのレポート、そしてコールドプレイ公式サイトの人気コーナー“The Oracle”のスペシャル・エディションといった3本の企画からなる、コールドプレイ来日記念特集をお届けします!
クリス・マーティン、『プロスペクツ・マーチ』を語る。
──こんにちは、クリス、調子はどうですか?
クリス 「元気だよ、今アトランタにいるんだ。ちょうど耳を見てもらって、口をゆすいだところさ」
──耳と口がどうかしたんですか?
クリス 「たいしたことじゃないよ。行った先々の町で、歩いている人に適当に声をかけて自分の耳を見てもらうのが好きなんだ」
──で?
クリス 「それで31歳の男が耳にピアスを開けることについてどう思うか聞いてみるんだ。でもほぼ全員が、もう遅すぎるからやめた方がいいっていう意見なんだよね。まいっちゃうよ」
──そうですね。ではそろそろ『プロスペクツ・マーチ』の話をしたいんですが、これはずっと発表したいと考えていたのですか?
クリス 「そうさ、ずっと出そう出そうと思っていた」
──『美しき生命』のレコーディングを始めた頃から、別にもやってみたいという意思はあったのですか?
クリス 「ああ。でもみんな同じ路線、同じ家族さ。〈グラス・オブ・ウォーター〉なんかはちょっとヘヴィだけどね。“もし出したアルバムが好評だったら、ちょっとためらっていたのも一緒に出しちゃおう”って思ったんだ」
──ではEPの曲はどれも『美しき生命』の方向性ですか?
クリス 「みんなそれぞれだけど、違ってはいないね。だからみんなにまだ聴かせていないのはおかしいと思ったわけなんだ。それにそのおかげで〈ラヴァーズ・イン・ジャパン〉をリミックスする機会も得られたし、〈ロスト!〉のジェイZのヴァージョンも入れられたしね。だから僕に言わせれば、『美しき生命』を左手とすれば、右手みたいなものさ」
──ジェイZの「ロスト!」のラップは気に入っていますか?
クリス 「ああ、最高だね。まったくすごい男だよ」
──コールドプレイ&ジェイZのマッシュアップ・アルバムは聴きましたか?
クリス 「『ヴィヴァ・ラ・ホヴァ』のこと? まだなんだ。噂は聞いたけどね。インターネットはあまり観ないから、どうなっているかよく知らないんだ」
──新しいミックスの「ラヴァーズ・イン・ジャパン」についてはどう思いますか?
クリス 「この曲はこれまでもレコードよりライヴの方がいい感じで演奏できていた。だからライヴ・ヴァージョンが〈オーサカ・サン〉のヴァージョンを生むヒントになったんだ。よりライヴ感が出ているし、このEPには大満足しているよ。アルバムの時みたいなプレッシャーもないしね。すでに『美しき生命』を持っている人で、それを気に入ってくれたら、このEPもややキャッチーだけど同じ路線だから気に入ってもらえると思うんだ。まだ『美しき生命』を持っていない人だって、両方買ってくれてもいいしね。とにかく満足してはいるけど、何よりも嬉しいのは、イギリスで公演できることなんだ」
──イギリス・ツアーもあと二週間後に迫っていますね。
クリス 「昨日のライヴで気づいたんだけど、もう70公演やっているのに本国ではまだなんだよね。“そろそろヤバイよ。早く帰ってやりたいよ”って感じさ。シェフィールド公演が今から待ち遠しいね」
──イギリス・ツアーでは何か特別な計画があるのですか?
クリス 「ほぼ一緒だけど、ジョークはかなりイギリスっぽくなるだろうね。ジョー・ザ・プラマー(配管工のジョー)のジョークも、サラ・ペイリンのジョークももう使えないだろうし、ジョナサン・ロスとラッセル・ブランドの例の件もどうなっているか知っとかないとね。外国でライヴをやる時、唯一大変なのがMCでしゃべることを考えることなんだ」
──12月23日のベルファストの最終公演まで、イギリスではクリスマス直前までコンサートですね。
クリス 「クリスマス・イヴにも何かやりたいと思っているんだけど、まだできるかどうかわからないんだ。イギリスにいないと何か調子が出なくてね。先週あたりがかなりキツかったね。来年は何とかしたいよ」
──来年は何か考えているのですか?
クリス 「ネブワースでやろうと思ったけど駄目だったんだ。だからどこか別の場所でやることになるだろう。すでにいろいろとあたっているんだ。もうすぐみんなにも知らせることができると思うよ。オアシスが同じ日にブッキングしてなきゃいいんだけど」
──ダブル公演ってのもいいですけどね。
クリス 「いいね。僕らがオープニングでも構わないよ。変な言い方だけどテイク・ザットの前座だっていい。昨日楽屋でなぜか〈バック・フォー・グッド〉の合唱になったんだ。最初から最後まで、歌詞もコードも正確にね。別に練習したわけでもないのにさ。楽しかった。だから今度、コールドプレイのウェブサイト上で、もしテイク・ザットが僕らを前座に欲しいなら、喜んでやりますと告知しようと思うんだ。唯一の問題は、そうなったらまたしばらくジムに通わなくちゃならなくなるってことだけどね」
──でも来年はさらにツアーの計画があるんですよね。
クリス 「そうだよ。僕らのツアーの場合、包装紙にくるまれたクリスマス・プレゼントみたいで、はっきりとはわからないけどだいたい見当はつくのさ。注意して見てくれていれば、大まかなところはわかると思うよ。“どこかのスタジアムかも”ってことくらいはね」
──今回のツアーは楽しいですか?
クリス 「もう最高だよ。世界中で公演できるバンドになりたいとずっと思っていたら、突然そうなったわけだろう? 本当にありがたいことだと思っているよ。でも今はイギリスに帰るのが待ち遠しくて仕方ない。祖国にね。ところでイギリスは今、どんな具合? トッテナムはどうだい?」
──ハリー・レドナップに代わってから絶好調ですよ。
クリス 「すごい!」
──一方あなたのエクセター・シティはリーグ戦ではいいけど、FAカップでは何部も格下のチームに負けました。
クリス 「どのくらい格下の?」
──エクセターは4部だけど、8部のチームに負けたんですよ。
クリス 「何だって?!」
──カーゾン・アシュトンです。
クリス 「ちょっと待ってよ、デニス・ムーアの旦那にやられたってこと?」
──今はサッカー・チームを買うのがすごく流行っていますよね。エクセターにオファーしてみてもいいんじゃないですか?
クリス 「もしお金がたくさんあったらエクスター・シティを買って、僕はサッカーのことはよくわからないから、ちゃんとよく知っている人に任せたいよ。でもとにかく高すぎるね。そう言えば、この前ニューヨークにいたらある人が訪ねて、大実業家だけどね。「先日あなたのバンドを買うところでした」って言うんだ。誰かは言えないけど。すごく会話が弾んだよ。僕らのレーベルをほぼ買うところまで話がいったって言うんだ」
──今回のツアーでベスト・ギグを選ぶとしたらどれでしょうか?
クリス 「パリのベルシーだね」
──どんな理由でですか。
クリス 「観衆。そして飲食物の値段。僕は野菜バーガーの値段がどのくらいリーズナブルかってことを基準に、コンサートの力の入れ具合を判断しているんだ。もし高過ぎたらいいギグなんでできっこないよ」
──本当ですか?
クリス 「いや、ウソ」
──そうですよね。バーガーの値段はたいてい品質と比例していますからね。安いバーガーは悪い。あるいはその逆。
クリス 「そう思う? 音楽にも当てはまるかな? 『ビー・ヒア・ナウ』にすごくお金がかかっているみたいな? ところで『ビー・ヒア・ナウ』がすごいアルバムだって話を続けてもいいの?」
──ノエル・ギャラガーもびっくりでしょうね。
クリス 「ノエルは好きじゃないかもしれないけど、僕は好きさ。曲が素晴らしい。〈マイ・ビッグ・マウス〉はオアシスの最高傑作の一つだと思うんだ」
──でもあのアルバムは長過ぎませんか。
クリス 「いわゆる『X&Y』シンドロームだよね。どのバンドもそうなるのさ。でもこれを読む人だったら、絶対オアシスの〈マイ・ビッグ・マウス〉を聴くべきだと思う。素晴らしいから」
──先週バラク・オバマ氏が大統領選に勝利したことについてのあなたのコメントを読むチャンスがありました。
クリス 「そう。今回のアメリカ・ツアーは、こんなまたとない時期にアメリカにいられたわけだし、観客もいいムードだから最高だったよ。僕らのライヴを観にくる人は90%オバマ支持だろうね。歴史の真っただ中に生きている、って感じだった。投票日に僕らはニューヨークにいたんだけど、まるでお祭り騒ぎだったよ」
──すごいですね。
クリス 「すごかったよ。テイク・ザットがカムバックした時のことを覚えてる? あのアメリカ版って感じさ」
──すごいですね。
クリス 「そうさ。アメリカ全体をオセロのピースだとすると、それがまるごとひっくり返された感じさ。まるまる半分変わっちゃった感じ。8年間口をつぐんでいなくちゃならなかった人たちが、今ここに来て結論を下そうとしている」
──このツアー中に曲は書きましたか? 
クリス「ああ。いつも書いているよ。何事をも理解するための唯一の方法だからね。この前、子供が七歳のクリスマスに買ってもらうような小さなキーボードを買ったんだ。それをいつも持ち歩いているのさ」
──今日も書きましたか?
クリス 「ちょっとだけ書いたよ」
──さわりだけ聞かせてもらえませんか?
クリス 「うーん。おじさんたちが酔っぱって歌う歌さ」
──本当ですか?
クリス 「そうさ。約束するよ。それにその歌は、ザ・ファームの〈オール・トゥギャザー・ナウ〉にもちょっと触発されているんだ。これが第一次大戦さなかのサッカーの試合のことを歌った歌だなんて知らなかったからね。びっくりさ」
──では酔っぱいのおじさんの歌を楽しみにしています。何か他におっしゃりたいことはありますか?
クリス 「今年僕らを観にきてくれた人たちに、とても感謝している。僕らも素晴らしい時間を過ごすことができた。本当のところ、僕らは演奏するのが大好きなんだ。これからもどんどん良くなるよ。それがニュースってとこだね」
2008年11月14日、アメリカ・アトランタにて提供:EMIミュージック・ジャパン
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