坂本龍一プロデュースで2006年にデビューしたコトリンゴ。その後、作品のリリースやライヴなどを通じて、卓越した才能を着実にアピールしてきた彼女。2007年8月のピアノ・イベント“CDJ PIANO NIGHT 2007〜PIANO-ISM”でも、ファンタジックな楽曲の世界観とファニーなヴォーカルだけでなく、テクニカルなピアノでもリスナーを驚かせた。そんな彼女が、1月23日にミニ・アルバム『nemurugirl』を発表する。NYから日本に活動の拠点を移した環境の変化がもたらした“さらなる進化”が垣間みえる本作について、彼女に話を聞いた。 坂本龍一がナビゲーターを務めるJ-WAVEのラジオ番組にデモ・テープを送ったことがきっかけで才能を見出され、2006年にデビューしたコトリンゴ。ファースト・アルバム
『songs in the birdcage』以来、約半年ぶりとなる1月23日に、6曲入りのミニ・アルバム『nemurugirl』がリリースされる。不思議な浮遊感のあるファンタジックな楽曲世界を、バークリー音楽院での留学経験もある色彩豊かでテクニカルなピアノがキリリと引き締める今作は、ファニーでスウィートなのに、どこか切ない。寒い冬の日に、部屋でずっと聴いていたくなるような魅力的な作品だ。
「昨年の4月にニューヨークから日本に引っ越して、それをきっかけに曲作りも1からやっていきながら作ったのが今回の作品です。テーマはあんまり決めてなかったんですけど、帰国後にライヴを何度かやらせていただいたなかで、学んだことや思ったことをできるだけ詰め込みたいなと思っていました。というのも、前作はエレクトロニカ寄りの作品で、一人で打ち込みで作ってる部分が大きかったんです。それをライヴでやるとなるとできないことはないんですけど、世界観が変わっちゃうので。ライヴでやることを頭に置いて作っていきました」
彼女が暮らす環境の変化。そしてライヴを通じて音楽で人とコミュニケーションを取ることの大切さを考えたこと。これが今作『nemurugirl』の進化に繋がっている。
「自分一人でやることが、あんまり重要なことではなくなってきたんです。今は人との化学反応で生まれるものを、もっと見てみたいし、もっといろんな人と繋がれるように外へ外へと向かっていきたい。だから〈snowman〉という曲ではベーシックな打ち込みは作ったんですけど、ブラッシュアップは
anonymassの権藤(知彦)さんにやっていただいて。お任せできるところはお任せするようになったんです」
他にも2曲目の「chocolate」では彼女のピアノに
クラムボンのミトのベースと
坂田学のドラムが加わるという前作にはないバンド・スタイルでレコーディングするなど、より立体的にコトリンゴ・ワールドが楽しめる。キュートなウィスパー・ヴォイスのなかに女の子特有の痛みを添え、奔放な躍動感をメロディに乗せて、ポップなのにディープに、彼女の音楽は進化し続けているようだ。
「今まで(ジャズやクラシックを)学んできたことは捨てるわけではなく、でも生かそうと思ってやってるわけでもないんですけど。今やりたいことを自然にやっていたら、いろんなかたちで役に立ってくれるだろうと思っているので、ジャンル的なことはそれほど意識してません。ただ、聴いてくれる方を限定してしまう音楽には興味はないので、面白いことをやりながらキャッチーさのなかにいろんな爆弾を潜ませて(笑)、今後もやっていきたいと思っています。いつも作品を作るごとに何かを見つけて、でもその度に“あれ?”ってなって(笑)、常に何かを探しているんです」
取材・文/上野三樹(2007年12月)
【コトリンゴ出演イヴェント】
タイトル:mona rock caravan '08
公演日:2008 /1/27
地域:東京
会場:池上本門寺本殿
開場・開演:12:00
料金:前売り\3,500(tax in)/当日\4,000(tax in)
出演:HARCO、オオヤユウスケ(Polaris)、mopsy flopsy、Quinka, with a Yawn、Co-rchestra、湯川潮音、コトリンゴ
問い合わせ先:HOT STUFF:TEL:03-5720-9999
タイトル:WEST GATE 08 〜SWEET FLAVOR〜
公演日:2008/02/25日
地域:大阪
会場:BIG CAT
開場:18:00
開演:19:00
料金:前売り\3,000(tax in)/当日 \3,500(tax in) ※別途ドリンク代¥500
出演:奥村初音/コトリンゴ/坂詰美紗子/中村中
問い合わせ先:YUMEBANCHI 06-6341-3525