NEI / Ryo Kobayakawa / COVAN
――まず、D.R.C.はどんなクルーなのか教えてもらえますか。
Ryo Kobayakawa 「俺とCOVANが通っていた中学校の先輩のあいだでB-BOYが流行っていて、俺は兄貴がいたのもあってヒップホップの情報とかを早く知ることができた。最初、COVANとの関係は、お互い若くてツンツンしていたから良い関係ではなかったと思いますね」
COVAN 「俺はヤンキーのツレ達とよく遊んでて中3の頃くらいまでRyoとは遊んだりしていなかったですね。俺が偽物のチェーンをしてたらRyoに、偽物なら外せって言われました(笑)」
Ryo Kobayakawa 「俺は学校が終わったら家に帰って1人で兄貴の部屋でDJをやったりしているタイプでしたね。で、徐々に周りのヤツらが興味を持ち始めて、“Ryoは何してんの? どんな音楽聴いてんの?”ってなっていって、COVANとも音楽好きというところでフィールして。そんな感じで、ストリートやストリートの音楽に興味があるヤツがだんだん集まってD.R.C.が結成された」
Ryo Kobayakawa 「タンテを学校に持ち出して、
スヌープとか流して聴いてたりとかしてたね」
COVAN 「学祭でもラップしたっすね」
Ryo Kobayakawa 「D.R.C.の一員に、いまデザイナーになったA.G.ってヤツがいるんですけど、そいつとCOVANと俺の3人でライヴしました。で、少しずついろんなヤツが集まってきた。いまは、DJの
RISE、ライターのVUG、デザイナーのA.G.、COVAN、NEI、
homare lanka、そして俺ですね。NEIとも握手交わした感じ。仲は良いけど、音楽はやっていない仲間が周りにいます。D.R.C.は、デリシャス・リッチ・キャンディーズ(Delicious Rich Candyz)の略ですね」
Ryo Kobayakawa 「それぞれ“あの人やあいつは(クラブに)いるな”という感じで自然に出会っていった感じですね。
ATOSONE(RC SLUMのレーベル・オーナー)とは、かつてATOSONEが名古屋でやっていた洋服屋に遊びに行って話していましたし。
TOSHI(蝮)くんとか
Campanellaくん、
C.O.S.A.も前から知っていた。それぞれにクルーとかグループがあって、そういう人たちが時たま一斉に集まるようになったりしたのは、ここ最近ですよね」
――COVANくんから見て、D.R.C.ってクルーはどういうものですか?
COVAN 「Ryoがそう言うなら、そういうものですね」
Ryo Kobayakawa 「全投げやん(笑)」
COVAN 「Ryoに全信頼を置いているので。いま、俺もNEIもRyoの家で毎週レコーディングしているんですよ。で、NEIも俺もD.R.C.から作品を出している。だから、俺は、RyoのスタジオがD.R.C.の軸になっていると思いますね。homareもそのスタジオで録ってるし、NEIとhomareがいることがD.R.C.の特徴だと思います。俺は、NEIとかhomareから自分にないものをもらったりしているし、この2人がいることが、他の名古屋のクルーやグループと違うとこかなって」
――RyoくんとCOVANくんは88年生まれで、NEIくんが98年生まれということなので10個違いですよね。NEIくんがCOVANくんの作品『
POP ZOMBIE PACK』(2013年)を手に取ったところから、いまの関係に行き着く、と。
NEI 「はい。BMXやっているころによく行っていた
MATSUI cycle(マツイサイクル)でゲットして。そこの店長に“南区の人だよ”って教えてもらった。南区でこういう風に音楽やっている人がいるんだって初めて知って。それから何年かしてCOVANくんと出会って。そのショップにはRyoくんもいて、顔見知りみたいな感じではあったんです。中学のときに、みんなでBBQしたり音楽聴いたりして遊んでたっすね」
COVAN『POP ZOMBIE PACK』
Ryo Kobayakawa 「MATSUI cycleの店長(勅使川原正太郎)がBMXのプロライダーで、その息子(勅使川原大地)もプロライダーなんですよ。NEIはその息子たちと遊んでいたから、かなりレベルの高いことをやっていたと思う。毎日BMXに乗りまくって楽しかったと思うんですよ」
NEI 「そのMATSUI cycleの息子は僕の2個上なんですけど、すごいヒーローだったっすね」
――みんなでイベントやったりするときのクラブやライヴハウスはどこですか?
COVAN 「
JB.STUDIOっていう場所がありますね。この前Mercyくんも来てくれましたね」
Lil Mercy 「去年の末、NEIとRyoのリリパのときに遊びにいったっすね」
COVAN 「南区では、MATSUI cycleはやっぱり一番レジェンドだと思います。あと、
BOSS DOGですね」
Ryo Kobayakawa 「BOSS DOGは、ホットドッグ屋さん。あとは、VUGを含む4人ぐらいで、ある床屋さんの10メートルぐらいの幅がある壁にグラフィティを描いてますね」
――近年D.R.C.が活発に動き出している印象があるんですけど、実感はどうですか?
Ryo Kobayakawa 「ひたすら音を作ったり、レコーディングはしてきていたんで、やっていることは前から変わんないと思うんですけど、たしかにここ最近は意識してリリースをしていこうとしていますね。この前もみんなで集まって、“次は何を出そうか?”という話し合いをしたりしました」
COVAN 「毎週レコーディングしたり、最低でも1ヶ月で1曲は作ったり。シングル〈RETCH ON YOU / 457〉に関しては、Mercyくんがいないとできなかったですね。とにかく、良い曲を作って、曲が溜まったら発表するっていうペースを保っていきたいですね。次はD.R.C.からちゃんとアルバムを出したいです」
COVAN「RETCH ON YOU / 457」
Lil Mercy 「このシングルに関しては、俺が
DOPEYとCOVANで曲を作りたくて。3年ぐらいかかっていますからね」
COVAN 「〈RETCH ON YOU〉はビート変えましたよね」
Lil Mercy 「2回変わっていますね。最初のビートはDOPEYが誰かに渡しちゃって、2回目のビートもDOPEYが間違って誰かに渡しちゃった。そのビートの曲も何かのプロジェクトでリリースされてると思います」
――“ビートあるある”ですよね。
Lil Mercy 「ただ、最後にラップとビートがばっちりハマる完璧な曲ができたんで、2回逃して良かったな、と。
DJ HIGHSCHOOLとの〈457〉はけっこうサクッとできましたよね」
COVAN 「それでもかかりましたね」
――“457”っていうのは、南区の郵便番号ですよね。
COVAN 「そうっすね」
Lil Mercy 「〈457〉のリリックには、かなり個人的な関係の人の名前が出てきますよね」
COVAN 「あの曲は南区についての曲で、ポジティヴで自分も気に入っています。2ヴァース目は、その去年の末のRyoとNEIのリリパで感じたこと、起きたことについてラップしていますね。ジンって地元のツレのプリウスがパンクしたことだったり(笑)ハイスクさんのビートも最高なんで」
COVAN『SAN RAN』
Lil Mercy 「『SAN RAN』をリリースしたのも、このシングルとほぼ同時期ですよね」
COVAN 「『SAN RAN』は、Ryoの家で毎週金曜日にATOSONEとかとラップを録音している時期があって、その流れでできた感じです。『POP ZOMBIE PACK』は2013年の作品で、収録されている〈POP ZOMBIE〉と〈NEW TYPE〉はC.O.S.A.がリミックスしていて、俺がソロになって初めての作品です」
――「RETCH ON YOU」のリリックで個人的に印象に残っているのが、“メッセージなしのラッパース”から始まるラインなんですけど、そのすぐあとだけが聴きとれなくて。
COVAN 「ラッパース、ライターっすね。グラフィティ・ライターのことです」
――“メッセージなしのラッパース、ライター”のあとに、“メッセージだけの石頭割る”って来るじゃないですか。ラップという表現の両義性を端的にスピットしているラインでカッコイイなって感じました。
COVAN 「リリックそのままでバランスよくやりたいすね」
Ryo Kobayakawa 「COVANは言葉の鋭さや音の取り方が間違いないし、アメリカのヒップホップを吸収して、さらに自分の人生で見てきたものを表現できているカッコイイ人間だと思いますね。そういうヤツがラップをやるべきだと思うんでもう安心して見ています」
COVAN 「いくら渡せばいいですか?(笑)」
Ryo Kobayakawa 「(指で数を示しながら)こんぐらいでいい?」
COVAN 「ありがとう(笑)」
――COVANくんのラップでは、ダブル・ミーニングだとは思うんですけど、ときたま南区は“良い場所ではない”と言っているように思わせるリリックがあると思うんですけど……。
COVAN 「いや、俺は南区、SOUTH SIDEは最高としか言っていないですね。それがどんな言い方だったとしても、最高としか言っていない。そこは絶対間違えないでほしいですね。その人の感情による見え方だと思うんですよ。NEIから見た南区と、俺から見た南区は違うでしょうし。俺の曲で〈PRBLMS(SOUTH SIDER)〉(V.A.『
RC SLUM Recordings Presents. The Method 2 / Kingdom Collapse』収録)ってあるんですけど、あれは自分の気が立っているときに書いてるから、そういう風に聴こえてしまう曲なのかもしれないけど、南区自体は、絶対良くない場所じゃないっすね」
――“良い場所ではない”と言っているわけじゃない、と。
COVAN 「そうっすね。〈PRBLMS(SOUTH SIDER)〉は“自分の心のゲットーを割る”っていう曲なんですよ。だから俺も表現を磨いて、そこを超えて行きたいですね」
――“超えて行きたい”っていうのは?
COVAN 「いま言われたようには“聴こえない”ようにラップすることとか、そういうことです。南区は俺がたくさん見てきて育った街なんで、いろいろ表現したいですね」
――なるほど。少し話は戻るんですけど、RyoくんとCOVANくんにとってM.O.S.A.D.はどういう存在ですか?
Ryo Kobayakawa 「最高でしたね。名古屋のRADIXってクラブでBALLERSのパーティをやっていたホストMCのKEISHIくんっていう人がいたんです。TOKONA-Xと一緒に亡くなってしまった人なんですけど、俺の兄貴の親友でめちゃくちゃ音楽にも詳しかった。NYのスタイルで、ステージに上がってMCするときがカッコよくてすげえ憧れましたね。そういう人たちに中学生で食らっちゃっているんで、もう自分も何かやりたいってなりますよね」
COVAN 「中3の終わりぐらいに俺はRyoに連れて行ってもらって、M.O.S.A.D.を初めて観たんです。当時すでにCDで聴いていたし、『流派R』にも出とって、俺からしたらM.O.S.A.D.はアイドルですね。RADIXって上に控室があって、そこにちょっとした小窓みたいなのがあったんですよ。そこからTOKONA-X の姿が見えて、“TOKONA-Xがおる!”って指差したら、Ryoに“オイ、指差すな!”って怒られて(笑)。キレイなお姉さんとかいっぱいおってすげぇとか、中学しかない世界からいきなりそんな世界に来てるから、そういう経験はいまでもよくおぼえてます」
Ryo Kobayakawa 「ビビリまくってた。チャリでクラブ行って、キャッシャーで年齢ごまかして入って、クラブ帰りにチャリで警察に捕まったよね(笑)」
COVAN 「マジでそれのくり返しだよね」
Ryo Kobayakawa 「クラブに入った瞬間にディッキーズのパンツが低音でブルルンって揺れて。それで初めて肌で音楽を感じた」
COVAN 「BALLERSって、NYヤンキースのキャップ被って、オーヴァーサイズのスローバック着たりしている人が多くて。でも俺らは当時、ウェスト・コーストの音楽、ヒップホップが好きだったから、ディッキーズ上下で、でら浮いてましたね(笑)」
Ryo Kobayakawa 「BALLERSはNYのスタイルで、栄の女子大小路にあるクラブ、JB'Sでやっていた〈GANG STORIES〉っていうイベントはウェッサイだったんです。でも“GANG STORIESは中学生が行くにはまだ早い”って言われていましたね。俺とか、高校1、2年ぐらいまではウェスト・コーストのヒップホップを聴いていたし」
COVAN 「クラブは中学生からしたら怖かったけど、大事なのは音楽なんだなって感じてました。でも過去の名古屋はきっかけの一つであって、いまの自分の中で重要ではないです」
――高校1、2年ってことは、88年生まれだから2002年、3年ぐらいですね。
――それこそ2002年かな。
COVAN 「俺、あれを聴いたあたりでNYのラップに凄い惹かれていったと思いますね」
――シングルの特典としてCOVANくんが曲をセレクトしてDJ RISEがミックスしたミックスCDが付いていますよね。自分はこのミックスが大好きでくり返し聴いていて。2002年にNYのヒップホップも面白いと感じ始めたって話とつながるんですけど、21サヴェージ、
エイサップ・ロッキー、ヤング・M.A、
フレディ・ギブスなどが並んでいる中に、
ザ・ロックスや
ジェイダキッスがセレクトされているのが肝だなと思いました。ザ・ロックスはそれこそNYを代表するベテラン・グループですよね。
COVAN 「うれしいっす。ありがとうございます。ザ・ロックスは正義なんで」
――C.O.S.A.も自身の1stアルバム『Chiryu-Yonkers』のタイトルにザ・ロックスの出身地であるNYのヨンカーズの名前を入れていましたし、
スタイルズ・Pが大好きと語ってくれたことがあります。
COVAN 「C.O.S.A.と最初に知り合って仲良くなったきっかけも、確かジェイダの話とかからなんですよ。スタイルズ・Pは言われるように、ゲットーの詩人で、ジェントルマンですよね。俺はスタイルズも好きっすけど、ジェイダも大好きなんです。彼らを好きな理由は、アンダーグラウンドに逃げないところですね。年を取ると多くのラッパーが昔のままのやり方を継続しちゃったりもするじゃないですか。でも、スタイルズもジェイダも現行のビートでもラップするし、新しいやり方に挑戦する。それは、
キャムロンとか
ジム・ジョーンズとか
ディプロマッツのラッパーもそうですよね。俺はそういうNYのラッパーが好きなんです。もちろんNYのラッパーだけじゃなくて、ギブスはずっと大好きですし。だから俺も、NEIやhomareのスタイルから良い部分を吸収していきたいですね」
Ryo Kobayakawa『FEED』
――ミックスの話のつながりで言うと、去年、Ryoくんは、RC SLUMのミックスCD部門から『
FEED』をリリースしましたよね。この選曲が面白くて、もちろんトラップだけじゃないけど、トラップ以降の感性でいろんな曲を選んでいる側面があると思って。
Ryo Kobayakawa 「RCのミックスのシリーズはけっこうマイナーなレコードで選曲するみたいな流れもあったと思うんですよ」
――例えば、ジャマイカのソウルの7inchで構成されたCE$『Sad,luv & it』とか。
Ryo Kobayakawa 「そうですね。僕はあのミックスもすごく好きなんですけど、自分がやるならばオンタイムの音楽を多めに入れたくて。一方で、ゲットー・ツインズの20年ぐらい前の曲を入れたり、自分のビートを入れたり、いきなりソウルを入れてみたり。聴いている人がハッとするような選曲をしたくて。トラップっぽくないようで実はトラップから影響受けている曲はいま多くて、そういう感じの音楽がいま主流だと思うんですよ。聴いていて気持ち良いものにしたかったです」
COVAN 「Ryoの言った通り、やっぱりヒップホップは新譜だと思うんですよ」
――今日はNEIくんにもいろいろ話を訊きたくて。去年、Ryoくんと共に 『Words For Stars』という作品を出したじゃないですか。で、このなかの「self control」っていう曲がとても印象的でした。直訳すると、“自制”って意味ですよね。
NEI 「この曲は映画の『
マトリックス』にインスパイアされて書いたんです。モーフィアスという登場人物が主人公のネオに“運命を信じるか?”と訊くと、“いや、信じない”ってネオは答えて、“自分で人生をコントロールできないのは嫌だ”というようなことを言うんです。そのシーンが好きで、カッコイイなって思って書いた曲ですね。だから、運命という言葉を曲のなかでひたすらくり返しているんです。前までの詞の書き方は、思ったことをiPhoneとかでメモしておいてビートに合わせていくって感じだったけど、最近はビートを聴いて、そのビートの感情を掴んで書いてみたりしています」
NEI & Ryo Kobayakawa『Words For Stars』
――Ryoくんから見て、NEIくんのレコーディングの特徴はどこにあると思いますか?
Ryo Kobayakawa 「NEIはひたすら同じ言葉を使うから、耳に残ったもの勝ちなところもあると思うんです。伝えたいことがまっすぐで、人間性が出ている。人間性を知ったら、音楽の聴こえ方も変わってくると思うんです。俺はラッパーとしてのNEIに完璧に惚れていますね」
NEI 「いくら渡せばいいですか?(笑)」
Ryo Kobayakawa 「(指で数を示しながら)こんぐらいでいい?」
NEI 「はははは(笑)」
Ryo Kobayakawa 「僕はまっすぐな人間が作る音楽は人に届くと思います。たしかにNEIのフロウにはまだ素人感があるかもしれない。でも、このリズムの取り方で同じことをくり返されるのって中毒性があるんですよ。だから“これは新しい”って取り憑かれる人がいる」
――NEIくんはどういう音楽を聴いてきたんですか?
NEI 「中学の時はロックを聴いていました。ヒップホップはあんまり聴いていなくて、ちょっとエモい系の音楽が好きで、
レディオヘッドの〈Creep〉(1992年)って曲が好きでよく聴いていて。歌詞はあとから知ったんですけど、自分は変人、キモい、みたいなことを歌っているじゃないですか。あの悲しい感じが好きで」
――レディオヘッドは意外な答えでした。COVANくんの『POP ZOMBIE PACK』を初めて聴いた時の印象はどういうものでしたか?
NEI 「歌詞カードを見て、シャンパンとかそういう言葉が並んでいて、俺も子供だったので、率直に“すごいな”みたいな(笑)」
COVAN 「シャンパン、すごいな(笑)」
NEI 「自分が知らない大人の世界を感じましたね」
――それこそRyoくんやCOVANくんがM.O.S.A.D.を観て、違う世界の存在に衝撃を受けた、みたいな感じかもしれませんね。
NEI 「しかも、日本語ラップを聴いたのも初めてだったんで」
COVAN 「光栄です」
――『Words For Stars』ってタイトルがまたロマンチックですよね。直訳すると“星たちのための言葉たち”となると思うのですが、なぜこのタイトルにしようと思ったんですか?
NEI 「この作品に入っている〈月光〉は、俺は月みたいな唯一の存在だぜっていう曲ですね。月はひとつだけど、星はたくさん、無数にあるじゃないですか。だから、唯一の存在の俺の方がカッコイイぜって、いろんな人たちを意味する星たちに向けて歌っている。そういうタイトルですね」
COVAN 「昨日2人で作った曲があるんですけど、NEIのヴァースが8小節ぐらい同じ言葉をくり返すんですよ。でも、俺にはもう全部違う意味に聴こえてくる(笑)NEIはそんなこと考えてねえだろうけど」
――「Yo Bros.」(『SUN RAN』収録)ってCOVANくんとNEIくんが一緒にやった曲がありますね。
COVAN 「〈Yo Bros.〉はRyoのビートがあって、俺もNEIもそのビートでラップしたくて出来た曲ですね。あの曲はいちばん南区っぽいかもしれないですね。イントロで
北野 武の『BROTHER』を引用したり、そういう流れで〈Yo Bros.〉って曲になったっすね」
NEI 「〈Yo Bros.〉はフックをみんなで考えたっすもんね。こういう言葉がいいんじゃないかって」
Ryo Kobayakawa 「“あの人、車、何乗っとったっけ?”みたいな話をしたよね」
COVAN 「あの曲はマジで地元のヤツしかわかんない話なんですよね。俺の思うイケてるラッパーって、スーパースターとかロックスターみたいなラッパーだけじゃなくてフッド(地元)があって、そのフッドについてラップして、堂々とフッドを歩けるラッパーをカッコイイと思っているから、有名じゃなくても、そういうフッドにカッコイイ人はいるし、そういう自分の周りを歌いたいと思っていますね」
取材・文 / 二木 信(2019年4月)