全24曲、40分! コンパクトなのにインパクト抜群! CUBISMO GRAFICO FIVEのニュー・アルバム『DOUBLE DOZEN』登場!

CUBISMO GRAFICO FIVE   2010/07/13掲載
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全24曲、40分! コンパクトなのにインパクト抜群! CUBISMO GRAFICO FIVEのニュー・アルバム『DOUBLE DOZEN』登場!
 松田“CHABE”岳二率いるCUBISMO GRAFICO FIVEが、4人編成となって約5年ぶりのオリジナル・アルバム『DOUBLE DOZEN』をついに完成させた。2ダースという意味を持つタイトルと同じく全24曲収録(!)の本作には、これまでとはガラリと雰囲気の違うパンキッシュなサウンドが詰まっている。音楽性の変化とバンドの今について話を訊いていこう。
――新作『DOUBLE DOZEN』は、ラフで生々しいバンド・サウンドを聴かせる作品になりましたね。
松田“CHABE”岳二(vo、g、something / 以下、同)「そもそもCUBISMO GRAFICO FIVE(以下CG5)は、ソロのCUBISMO GRAFICOから派生したユニット的なイメージがあったけど、(村田)シゲがベースで入った頃から、メンバーそれぞれがイーヴンの関係性を持つようになって、ここ最近は、ひとつのバンドになったなっていう気持ちがすごく強いのね。だから今回、4枚目なんだけど、バンド名を変えようかと思ったくらい、気持ち的には1stアルバムを出すのに近いような気分なんだよね」
――勢いのあるパンキッシュなサウンドがかなり痛快だなと。
「今まで音を作り込んでたけど、今回は(音をあとから被せる)ダビングもしてないのね。それは去年SXSW FES(アメリカで毎年行なわれている音楽フェス)に行ったのが大きかった。海外のバンドって、スタッフもいないし自分らでアンプを持ってきて楽しんでやってる。D.I.Y.が普通。それがすごくいい刺激になった。それにずっと感じてたことだけど、日本の音楽って何にしても様式があるじゃない。そこに対するアンチも結構あったのね。音も今だと後からなんでも直せるし、それが全部人工的な感じがして嫌で。そもそも僕はヘタなのも好きだったりするし、そこに戻ったような感覚はある。海外の音源でも、僕らが聴いてるインディ系のバンドって、ドラムにしても音がペラペラだし、たとえばブラック・リップスもクリックなんか聴かないでカッコいいからやればいいじゃんって感じだったりするでしょ? その姿勢にものすごく影響受けたな」
――気持ちの変化とやりたいものが素直に曲に反映されたと。
「うん。CG5のアルバムも、『SEEDY』『POP POLLUTION』あたりは作り込んでたけど、今はメンバー4人の意志がかなり近いとこにあって、今回はグシャっとしたものをやっちゃおうよって感じだった」






――バンド・イメージを変えるのって勇気がいるけど、1曲目の「New Decade」からハードコアみたいだし、実践したとこに、すがすがしさを感じますよ。


「年明けにメンバー4人になって最初のリハで<New Decade>を作ったんだけど、実質この曲に引っ張られて他の曲ができていった感はある。その頃に、字ヅラと語呂がいいから『DOUBLE DOZEN』(2ダース)ってアルバム・タイトルにして、24曲なら面白いなって思ったの。そのアイディアにみんなも乗ってくれて、データをやり取りして曲の目指す方向を決めて。それからリハで曲が変わっていった感じ」
――じゃあチャーベくんの曲をみんなで組み立てるよりも、みんなで曲作りしていったと。
「そうだね。今回シゲが結構がんばってくれた。田上(修太郎 / pf、key、tp、cho)くんの曲にツネちゃん(恒岡章 / ds)がメロディ付けたり、そんなの初めてだった(笑)。今まではみんなどうしても遠慮があったけど、今回は全然遠慮なしですごく楽しく作れたよ」


――アルバム全体の雰囲気はパンク寄りだけど、実はロックやギター・ポップとか、さまざまな音楽のヴァリエーションを見せてる感じがありますね。それに、音が激しくなったけど逆にメロディ感が出ててるのが面白いなって。
「それはあるかも。みんな基本、ポップなメロディ・センスの持ち主だし、マイナー・コードのファスト・チューンをやっても結果ポップに聴こえるんだよね。<Frozen Time>はシゲの曲で、元はベニー・シングス的なアレンジだったんだけど、収録されたテイクは、それをパンク・バンドがカヴァーした、みたいな感覚になってるよね」
――短い曲の中にも場面転換があるのが、このバンドの味なんだろうなと思いました。


「みんなアイディアを持ってる人たちだから、それが自然と出ちゃうんだよね。やろうと提案したものはオール採用。その代わりダビングは一切なしって括りだったから、演奏できなかったらやらない、同機もしないって感じで作っていったの。それも面白かった。たとえば、<Left Right Up Down>はコンピ『Niw! Collection』に入ってた曲で、元は5人編成のすごく分厚いアレンジだったけど、今回はギターも入ってない。海外ではバンドだけどギターレスで激しいノリの曲をやるのって普通だけど、日本だと“あれ? ギター入ってない”って思う人もいるじゃない? でもオムニ・コードでやった方が面白いしさ。これで、ギター入れなくてもいいって踏ん切りがついた感じはある。ライヴでできないことは入れないぞっていうのが表れてる曲だよね」
――あと「Chukit」は、ツイッターで歌を募集してできた曲ですよね。
「曲はシゲで歌詞は僕が作ったんだけど、“幸せそうに見えても、すごく暗闇を抱えてたり、逆に、めちゃハッピーに生活してる人もいたり、人それぞれいろんなことがあるけど考えてもしょうがない、今は忘れようぜ”って内容で。そしたらシゲが“いろんな人に歌ってもらいましょう”ってツイッターで募集して、結果101人の大合唱になったの。すごくいいオチがついたなって」
――それはいい話ですね。でもホント、アルバムを聴き終えて拍手したくなるような充実感がありましたよ。
「ありがとう(笑)。自分でもCUBISMO GRAFICOの1stアルバム『TOUT』を作り終えたときと同じくらいの“できたぞ!”って気持ちがあるのね。この先のヴィジョンが見える作品ができたと思えたし、ホントよかった。ライヴもすごくフレッシュにやれてるし、新たなスタートになる“New Decade”ができたなって(笑)」


取材・文/土屋恵介(2010年7月)
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