自然体で音楽と向き合う――D-51のコラボ・アルバム『Sing a Song〜Present for...〜』が登場

D-51   2015/04/28掲載
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メジャーデビュー10周年を迎えた男性デュオ、D-51(YASU、YU)がコラボレーション・アルバム『Sing a Song〜Present for...〜』をリリース。中西圭三ORANGE RANGEのHIROKI、NAOTO、前山田健一(ヒャダイン)などがD-51をイメージした楽曲を提供、ふたりのヴォーカル / コーラスの魅力がさまざまな角度から楽しめる作品に仕上がっている。シングル「NO MORE CRY」のヒットから10年。YASU、YUはデュオとしてさらなる深化の時期を迎えつつあるようだ。
――新作『Sing a Song〜Present for...〜』は幅広いジャンルのアーティストが参加したコラボ・アルバム。D-51のヴォーカルの魅力、表現の広さを改めて実感できる作品だな、と。
YASU 「ありがとうございます。今回のアルバムはメジャーデビュー10周年ということもあって、“何かおもしろいことをやりたいね”っていう話をしてたんです。僕らは友達が多いほうではないんですけど(笑)、この10年で知り合ったミュージシャンだったり、“ぜひいっしょにやってみたい”と思う方に声をかけさせてもらって、1枚アルバムを作ってみようと。MIHIRO〜マイロ〜さん、ヒャダインさん(前山田健一)、DJ KATSUさん(Hilcrhyme)は“初めまして”でしたね」
YU 「ダメもとで曲をお願いしたんですが、快くOKしてくれて」
――中西圭三さん、ORANGE RANGEのHIROKIさん、NAOTOさん、アンダーグラフなど、多彩なメンバーが楽曲を提供していて。しかも、それぞれの個性、色がしっかり出ている曲が多いですよね。
YASU 「そうですね。最近はD-51で曲を作ることが多かったから、かなり新鮮でした。メロのテイストを自分たちなりに解釈して歌う工程がけっこう難しくて」
YU 「“曲を作る作業がないぶん、ラクなのかな”と思ってたら、ぜんぜんそんなことなかったです(笑)」
YASU 「そうだね(笑)。“こういうコード進行にこのメロディを乗せるんだ?”って勉強になったこともすごくあったし」
YU 「そういう意味では、全体的にとても楽しかったです。中西圭三さんがスタジオに来てくれて、ご本人の前で歌ったときはめちゃくちゃ緊張しましたけどね」
――1曲目の「光の方へ」ですね。
YU 「圭三さんはデビュー前から僕らのことを知ってくれていて、10年以上前に沖縄の美浜でやってたストリート・ライヴも見に来てくれたんですよ。〈光の方へ〉の歌詞のなかに“ひまわり”というワードが出て来てるんですけど、それは美浜にある観覧車をイメージしてくれてたみたいで」
YASU 「このタイミングにもぴったりだし、本当にいい曲で。嬉しいですね」
YU 「レコーディングのときも“このパートはこういうふうに歌ったほうがいい”みたいに、やり取りをしてくれて。最近は自分たちでプロデュースすることが多かったんですけど、その経験も活かせたと思います」
――ORANGE RANGEのHIROKIさん、NAOTOさんが手がけた「逢えない」はエレクトロ・テイストのナンバーで、アンダーグラフの真戸原直人さんが作詞・作曲した「微熱」はまさに“アンダーグラフ節”とも言えるメロディが印象的でした。
YU 「アンダーグラフはデビューの時期も近いし、以前から仲がいいんですよ。真戸原さんとはフツーに飲みに行くこともあって、先輩なんですけど“曲、作って”ってため口で頼んだら(笑)、"作る作る!"って言ってくれて。じつは10回くらいやり取りさせてもらったんですけど――サビの一小節のメロディを変えてもらったり――すごくいい曲になったと思います。アンダーグラフっぽい曲調なんですが、それを僕らが歌うっていうのがおもしろいなって。いい意味で違和感があるというか」
YASU 「ORANGE RAGNEの曲もそうだよね」
YU 「最初は〈ロコモーション〉みたいな明るい雰囲気の曲で来るのかなと思ってたんですけど、違いましたね(笑)」
――最近のORANGE RANGEのモードですね、完全に。
YU 「そうですね。NAOTOのなかで“いまのD-51にはこういう曲を歌ってほしい”っていうイメージがあったみたいで。しかも(作詞の)HIROKIがラップのパートを入れてきて(笑)。僕らでは絶対に作れない曲だと思います」
――Vlidgeによる「恋のシーソー」はモータウン・テイストのナンバー。
YASU 「Vlidgeは僕らと同じ男性デュオで、“いつかあんなふうになりたい”って憧れてたんですよ。デビュー前のストリート・ライヴのときもカヴァーさせてもらってたし。最初に〈恋のシーソー〉というタイトルを聞いたときは、ちょっとダサめというか……」
YU 「ハハハハハ! でも、本当にそうなんですよ(笑)。サビの頭も“弾むよシーソー”だし、“これはアリなのかな?”って」
YASU 「Kiichi(Vilidge)さんはそういう感じの歌詞を書く方じゃないから、“ふざけてるのかな?”って思ったり。でも、実際に歌ってみると“あ、なるほど”って意味がわかるというか」
YU 「すごく耳に残るんですよね。さすがだな、と」
――そして、MIHIRO〜マイロ〜さんの「You're my Love」はR&B系のミディアムチューン。この曲はD-51のルーツに近いんじゃないですか?
YASU 「そうですね。 MIHIRO〜マイロ〜さんの曲も以前から“すごくいい”と思っていて、今回、思い切ってお願いしてみました」
YU 「とにかく歌が上手いんですよ、VildgeさんもMIHIRO〜マイロ〜さんも」
YASU 「デモのクオリティがめちゃくちゃ高くて、“これ、CDになってるヤツだっけ?”って思うくらいで(笑)」
――そのぶん、歌い甲斐があったのでは?
YU 「そうですね。R&Bっぽい曲はやっぱり好きなので。僕らはポップな感じの曲でデビューしたけど、歌をしっかり出せる曲も歌っていきたいんですよね。もちろん、僕らはまだまだですけどね……」
――前山田健一さんが手がけた「4.9センチ」は王道のラブ・ソング。このアプローチにも意表を衝かれました。
YU 「僕らも“あ、こういう感じの曲を作ってくれたんだ”って思いましたね。あと、デモのクオリティがめちゃくちゃ高いんですよ。アレンジもしっかり作り込まれていて、最初から歌詞も入っていて」
YASU 「さすがですよね。もともと僕の友達がヒャダインさんのファンで、いっしょに車に乗ってると、ずっとももクロの曲をかけてるんですよ。それがすごく印象に残っていたし、ぜひ自分たちにも書いてほしいなと思って。不思議なつながりもあったんですよ、じつは。僕らが通っていた音楽スクールの校長が、ヒャダインさんの親せきだったみたいで」
YU 「校長から“いとこだよ”ってメールが来ました(笑)。〈4.9センチ〉っていうタイトルもいいですよね。最初は何だろ?って思うんだけど、歌詞を読むと“なるほど”ってわかるようになっていて」
――彼女が寝ている間に薬指のサイズを測って、それに合うダイヤの指輪を探すっていう。
YASU 「僕らもそろそろ、そういう年齢ですからね。まだちょっと照れくさい部分もあるんですけどね。こういうロマンティックな歌詞は自分では書かないので」
――個人的には「SHAKE UP MY HEART」(イクマあきら)が一押しでした。マーク・ロンソンの「Uptown Funk」もそうですけど、ファンキーなポップスが新しいトレンドになりつつあるし、“2015年のD-51”をもっとも象徴している曲じゃないかな、と。
YASU 「お、嬉しい。もともとファンクはすごく好きなんですよ。イクマさんはもともとE-ZEE BANDっていうファンクのバンドをやってたから、“あの頃を思い出して、1曲書いてください!”ってお願いして。イクマさんもすごいテンションでやってくれたし、僕らとしても、新しいところが出せたんじゃないかなって」
YU 「レコーディングはけっこう厳しかったんですよ。僕らにとってはファンクの師匠だし、リズムの取り方、歌い方を含めて、“そうじゃない!”みたいなことが何度もあって。最後は"俺がやったほうがノリが出る"って、自分でコーラスしたましたから(笑)」
YASU 「カッコ良かったですねー」
――アルバムの最後はD-51のオリジナル曲「わナンバー」。ギターロック系とダンスチューンが融合したアップナンバーですが、豪華なアーティストに交じって自分たちのオリジナルを収録するのって、どういう気分ですか?
YU 「いい感じで浮いてるのがいいのかなって(笑)。〈わナンバー〉は3年くらい前からあって、ライヴでも歌ってたんですよ。だからファンの人たちは“あ、この曲か”って思ってくれるだろうし、ボーナストラック的な位置で収録しようと思って」
YASU 「とあるタイアップのために夏をイメージして作った曲なんですけど、その話がなくなってしまいまして(笑)。でも、めっちゃいい曲になったから、ライヴで歌い続けてるっていう」
――夏を舞台にして、少し大人っぽい恋愛を描いた歌詞も心に残りました。歌詞についてはどんなやりとりがあったんですか?
YU 「そこは、やっちゃん(YASU)に任せてます。僕は歌詞を書けないし、いつも“その作詞の才能がほしい”と思ってるくらいなので」
YASU 「(笑)」
YU 「デビュー前は歌詞を書いてたんですよ、じつは。でも、自分にその才能がないことにわりと早い段階で気づきまして(笑)。デビューして東京に来てからは、機材を買って曲作りをがんばってきたんですよ。“俺は違う方向でがんばる!”って」
――そこから現在の役割分担が生まれた、と。
YU 「まあ、いまはやっちゃんも曲を作りますけどね。あ、でも、今回はDJ KATSUさんに提供してもらった〈MOMENT〉で久しぶりに歌詞を書いたんですよ。やっちゃんに見せたら“いいけど、ちょっと直す”って言われましたけど(笑)」
――(笑)。でも、すごく自然に音楽と向き合えてますよね。じつは8年くらい前にも取材をさせてもらったことがあるんですけど、いまとはかなり雰囲気が違ってたような……。
YASU 「暗くなかったですか?」
――そうだったかも(笑)。
YU 「ぜんぜん知識もないのに、音楽的な話をしたがってたんですよね、あの頃は。“舐められないようにしよう”っていう気持ちもあったし。その結果、自分でも何を話しているのかわからなくなって、インタビューの人を困らせたりとか(笑)。そういう無理はしてないですね、いまは」
D-51 / Sing a Song〜Present for...〜
――自然体で音楽をやれるようになったのは、いつ頃からですか?
YASU 「〈NO MORE CRY〉が落ち着いてからじゃないですか、リアルに言うと。あの曲の後は“はい、次はこれ”って感じでどんどん進んでいって、頭が追い付いてなかったから」
YU 「そうだね」
YASU 「〈NO MORE CRY〉のフィーバーが落ち着いた後、周囲の反応がびっくりする位変わったんですよ。あれを20代前半で経験したのは大きかったですねー」
YU 「いまだったら“まあ、そういうもんだよね”って思えるんだけど。でも、本当にいい経験になりました。〈NO MORE CRY〉がなかったら、いま、こうやって続けられてるかもわからないし。ライヴでもいつも歌ってますからね。“〈NO MORE CRY〉、聴きたいでしょ?”って」
YASU 「笑顔でね」
――素晴らしい。今回のアルバムの後は、どんな活動になりそうですか?
YASU 「もちろんライヴも続けていきますが、音楽的なことで言えば――まだふたりで話してるだけですけど――それこそ〈SHAKE UP MY HEART〉みたいなファンク・テイストの曲で1枚アルバムを作ってみたいって思っていて」
YU 「やってみたいですねー」
YASU 「もう30代だし、爽やかさだけでは無理なので(笑)」
YU 「(笑)。そういう意味では、次が見えるアルバムになりましたね、今回は」
取材・文 / 森 朋之(2015年4月)
D-51『Sing a Song〜Present for...〜』
リリース記念イベント
shinseido.co.jp/shop/event/5008/
2015年5月4日(祝・月)
イオンモール沖縄ライカム店 未来書店 2F テラス

16:00〜 / 観覧無料




D-51 Sing a Song TOUR 2015

[東京]
2015年7月19日(日)
渋谷 TAKE OFF 7

開場 18:00 / 開演 18:30
スタンディング 3,500円(税込・ドリング別)
※整理番号あり / 小学生以上有料
※お問い合わせ 03-3770-7755




[大阪]
2015年7月20日(祝・月)
南堀江 Knave

開場 18:00 / 開演 18:30
スタンディング 3,500円(税込・ドリング別)
※整理番号あり / 小学生以上有料
※お問い合わせ 06-6535-0691




[沖縄]
2015年7月25日(土)
那覇 久米 Output

開場 18:00 / 開演 18:30
スタンディング 3,500円(税込・ドリング別)
※整理番号あり / 小学生以上有料
※お問い合わせ 098-943-7031


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