留学先のカナダの高校で出会い、互いの歌声に引き寄せられるように結成した女性2人組デュオ、
Dew。彼女たちの最新作
『SEASONS』は、慌ただしい毎日にふっと立ち止まって聴きたくなる、エヴァーグリーンな楽曲が満載の一枚。今インタビューでは、アルバム制作に当たって2人が抱いていた気持ちをストレートに語ってもらった。
清水 悠(以下、清水)「1stアルバム『PRESENT』をリリースした後くらいからですね。でも、がっつりアルバムを作ろうって感じではなく、それこそ曲が一つできたらレコーディングして……っていう感じ。根詰めてやったというよりは、結構いいペースでできましたね」
――1stアルバム
『PRESENT』と今作では、制作する上での心境の違いってありましたか?
清水「前作はわりと、1曲1曲にメッセージを込めて作っていったものになっていたんです。でも、それを出し終わって一息したら、今まで“メッセージ! メッセージ!”って多少カタくなっていたところが少し解けて。曲に合わせてただリズムに揺られるだけでもいいし、音楽に対する視野が広くなった感じがしたんです。忙しくてなかなか会えなかった友だちとも、その時期ゆっくり交流したりして、私たちの気持ちも一回リラックスしたというか」
大西春奈(以下、大西)「メジャー・デビューしてからそれまでは、確かに休みなく一息で来たっていう感じだったんですよ」
清水「だから、いい具合に力が抜けた精神状態で、今回の楽曲はできていったんです」
――そう言われてみると、確かに目を閉じて身を委ねたいナンバーや、一緒にクラップしながら歌いたい曲があったりして。音楽を純粋に楽しみながら、構えず、リラックスして聴ける気がします。
清水「ありがとうございます。前作の『PRESENT』とはまた全然違った雰囲気になりましたね」
大西「『PRESENT』では、当時の想いを一旦全力で出し切って。その全部出たところに新しく積もっていったものが、今作には詰まっている気がしますね」
――じゃあ、今回のアルバム・コンセプトをあえて言葉で表現するなら?
清水「“もっと力を抜いて、視野を広く持っていこう”、ですね。その気持ちは、ずっと一貫して持っていたので」
――なるほど。ちなみに、曲順はどのように決めていったんですか?
清水「曲順に関しては、ちょっと季節を追うようになっているんです。気持ちいい春に目覚めて、夏の風にバーッと揺られて……後半にはクリスマス・ソングがあったりして。大体ですけどね(笑)」
――素敵な流れですね。そういうのって、二人で話し合って決めるんですか? 熱い議論を交わしたりとか……。
清水「もう、ガチですよ〜」
大西「ハイ(笑)。大概、軍配が上がるのは(清水を指して)こっちなんですけど(笑)。もちろん悠が作った曲には本人の想いの深さはあるだろうし、でも、そこは私も理解を持って歌ってるつもりだから、意見はちゃんと言って。そこで納得できたって思ったら、軍配を上げます」
――ところで、今作で改めて思ったのは、お二人のハーモニーの美しさ。聴いていると、本当に心が洗われていく感覚がしました。
清水「うれしいです。私たちは高校時代、声がよく似てるねって言われてて、先生に勧められて初めて二人で歌ってみたんです。そのときから、どっちが自分の声か分からないくらいの感覚があって。声が一つになっていく楽しさ、気持ち良さは、今でもライヴのたびに体感していますね」
大西「私はその高校当時、一緒にやる前から悠の声が好きで。ずっとハモってみたいなって思ってて、実際にやってみたら一人で歌うときよりももっと自分の声が好きになれて。その体験は大きかったなって思います」
――まさに、運命的な縁を感じるお話ですね。では最後に、このアルバムをどんな方に聴いてほしいですか?
清水「やっぱり聴いてリラックスしてほしいと思うので、毎日をせわしなく過ごしていたり、焦ってる人にも聴いてほしいですね」
大西「いろんな方々に届けばいいなとは思うんですが、子育てをしている忙しいママとかにもいいのかなって思います」
取材・文/川倉由起子(2010年11月)