クラブ・シーンへその名を知らしめたマンスリー・ミックス・シリーズ『Monthly Fruits』のリリースをはじめとする、常に現場を意識した活動によって、日本における“R&B DJ”の第一人者となったDJ KOMORI。今年3月には初のプロデュース曲である、ティナ・ノヴァックをヴォーカルに迎えた「Really Into You」をManhattan Recordsよりリリース、またその曲をリードにしたミックスCDは異例のロング・セールスを記録するなど、シーンに確かな軌跡を残す彼の最新ミックスCD『UK Emotional R&B Mix』が発売された。日常のさまざまなシーンを演出する、スタイリッシュな仕上がりとなった本作について話を訊いた。 フロアを熱く揺らすトップDJとしてR&Bシーンを牽引し続けるDJ KOMORIが、最新ミックスCD『UK Emotional R&B Mix』をリリースした。タイトル通り、本作のテーマは名門“DOME RECORDS”のナンバーを中心とするUK R&Bだ。
「アメリカのR&Bとは違って、UK R&Bは繊細で上品な感じがしますね。ブラックブラックしてないから、より日本人に受け入れられるものだと思います。中でもDOMEレーベルの曲は音楽として一本筋が通ってるから、安心して聴ける。僕はそういうUKソウルど真ん中のところがすごく好きなので、今回のミックスCDにはピッタリな感じでした」
BPM速めの4つ打ちモノをメインとしつつ、緩急のつけられた曲セレクトによって、1本の大きな、心地良いストーリーを作り上げていくのは、まさにKOMORIの真骨頂。さまざまなシチュエーションで活躍してくれる一枚になっている。
「一枚を通して起承転結のあるストーリーを作るっていうのはいつも意識してますね。今回で言うと、
Incognitoの〈Morning Sun〉やLuluの〈Every woman knows〉を頂点にしよう、と思って作りはじめました。で、後半はグルーヴ感のあるUKソウルらしい曲で、ブラックミュージックとしてのかっこよさを生かした感じですね。シーンのトレンドや、自分の好みを反映させて速い曲を入れていったんで、まさに“今、聴くならコレ”っていうものになったと思います」
また、序盤にはKOMORI自身が手がけた
Jay Sean「May be」のリミックスも収録されている。そこからは、クラブDJのみならず、リミックスやオリジナル音源の制作なども精力的に行っているKOMORIのアーティストとしての側面を垣間見ることもできるだろう。
「〈May be〉に関しては、原曲の良さを壊さずに、クラブで聴いてよりカッコイイものにしようっていうイメージで作りました。Jay Sean本人に“すごく良かった”って言ってもらえたんで、嬉しかったですね。自分にとって一番の基本はクラブでDJをすることなんですけど、今は制作やミックスCDなんかもバランス良くできているので、すごく調子がイイんですよね(笑)」
本作に続いて、11月には日本人のR&B楽曲だけを集めたミックスCDをリリースすることも決まった。そこには女性ヴォーカルを迎えて制作されたKOMORIオリジナルの楽曲も収録される予定だ。
「ヒップホップやR&BのDJって意外と日本人の曲をかけなかったりするんですよ。洋楽と邦楽が分けて考えられてるところがあるというか。僕は日本人の曲もけっこうかけたりするほうなんで、そういうミックスCDをずっとやりたかったんです。日本のR&Bにもかっこいい曲はいっぱいあるんで、そういう部分がアピールできたらいいなと思ってます」
R&Bに魅せられた一人の男として、KOMORIはこの先もR&Bの素晴らしさを伝えるために邁進していきたいという。
「例えば
Ne-Yoはすごい売れるけど、それを聴いてる人が全員クラブに来るかっていったらそんなことはないわけで。でも僕の作品がきっかけになって、みんながクラブに来てくれるようになったら面白いと思うんですよね。そうなるようにがんばりたいなって」
取材・文/もりひでゆき(2008年8月)
【DJ KOMORI 〜Regular Party Infomation〜】
<毎月開催>
毎月 第1・第5 土曜 @渋谷 club axxcis
「HEART BEAT」 毎月 第2・第4 木曜 @渋谷 HARLEM
「Apple Pie」 毎月 第2金曜 @渋谷 CAMELOT
「INTERNATIONAL CAMELOT」 毎月 第4火曜 @渋谷 NUTS
「GROOVY」 <隔月開催>
隔月 第3木曜 @大阪 AZURE
「Ruby Red」(偶数月開催)
隔月 第4金曜 @渋谷 VUENOS & NEO
「Pallety」(奇数月開催)
※詳しくはオフィシャル・サイト/
http://www.djkomori.com/でご確認を。