作・編曲家でありつつ、ベーシストとしても活躍している徳永暁人(vo、b)、スタジオ・ミュージシャンとしても幅広い活動を行なう大田紳一郎(vo、g)、レーシング・ドライバーとしての顔も持つヴォーカリストの吉本大樹という編成のバンド、
doa。そんな彼らが3枚目のアルバム
『3』を発表。現時点での彼らの“やりたい音楽”がリアルに詰め込まれた新作について話を聞いた。
3人それぞれがヴォーカルをとるコーラス・ワークと、アコースティック・ギターの生音を大事にした70年代ロックをルーツに持つdoa。デビューから3年目、3枚目のアルバム『3』は、彼らがこだわってきた音楽性とポップ・ソングとしての親しみやすさのバランスも絶妙だ。まずは彼らの音楽に対する基本的な考え方と、これまでの変遷を語ってもらった。
「自分は作家志向が強くて“どうして世の中に向けて表現しなきゃいけないのか?”とよく考えるんですけど。やっぱり自分が作った曲が世の中に出て行く意味は、オリジナリティの部分にあると思うんです。だから作曲家やアレンジャーとしての仕事もしていますが、より自分の表現をしたい気持ちがあって始めたバンドがdoaなんです。だから音楽シーンがどうとか気にしてないですし、これまでの作品もその時々で僕らがいいと思ったものを軸に変化しています」(徳永)
今作に関しては、一つ一つの音に温もりを感じさせつつ、歌詞におけるリアリティが追求されている。たとえば“つぶした発泡酒の缶より軽い言葉で/字数稼いだメール送信”とグルーヴィに歌う「アツイウチニウテ」や、“暗いニュースはもういらない 本当のことを教えてよ”と心の叫びをぶつけたアップ・ナンバー「SALMON JUMP」など、今作のdoaはドキッとするほどリアルだ。
「〈生活〉が一つのキーワードでした。自分で歌うんだから、自分の言葉で歌うのが一番いいんですよ」(大田)
「だからラブ・ソングにしても、生活の中のラブ。普通に生活していて、恋愛もあれば仕事が上手く行かねえな、みたいなのもあるし。そんなことを全部歌にしたんです。僕自身もサラリーマンの友達が多くてよく飲んだりしていますけど、同じような悩みを持ってると感じることも多くて。だからミュージシャンとしてのロック・ライフなんて頭の中に描いてないんですよ、普通にカゴを片手に大型ショッピング・センターで買い物をする日々のことを歌っています(笑)。こうして曝け出すことで、“しょうがねえな、明日もやるか”とか“彼女にメールでもしておくか”とか、そのくらいのちっちゃい何かを感じてくれたら、それだけで僕らが表現する意味があるかなと思うんですよね」(徳永)
思い描いた理想とは、ちょっと違っている現実。生きている上でのままならなさや不安や葛藤も、あけすけに歌う今作。だけど3人の歌声が重なれば、何とかなりそうな気がしてくる。こだわりのサウンドの中で届けたリアルは、doaのオリジナリティをさらに光らせながら『3』にパッケージされている。
「今までやってそうでやってなかった3人でブースに入って歌うということを今回のレコーディングでやったんですが、何だか笑っちゃうくらい楽しくて。そんな空気感も入っています」(大田)
「自分たちがやりたい音楽により近づけました。何のジャンルにも位置づけされない、doaはdoaの音楽をこれからもやって行けたらいいなと思っています」(徳永)
取材・文/上野三樹(2007年9月)
【doa 待望のライヴが決定!!】
■12月28日(金)/ 東京:Shibuya O-EAST※詳細については
doa公式サイトでご確認を。
【doa ライヴ・スケジュール】“神戸ハーバーランド街角音楽祭'07”
■日時 : 10月14日/15:30〜19:00
■会場 : 神戸ハーバーランド スペースシアター会場
■チケット : 入場無料
※問合せ先 : 神戸ハーバーランド 総合インフォメーション
TEL:078-360-3639(時間:11:00〜19:00)
“日本臓器移植ネットワーク presents ZIP-FM SPECIAL LIVE SWINGING SESSION”
■日時 : 10月27日/夜7時〜
■会場 : クラブダイヤモンドホール
■出演 : doa、サンタラ、Suzumoku、榎本くるみ、ジェイムスバンド
※イベント詳細については、
ZIP-FMまで。