エクスペリメンタルHip HopユニットDry Echoes 4年ぶりとなる2ndアルバム完成

Dry Echoes   2025/02/19掲載
はてなブックマークに追加
 ラッパー田中光とビートメーカーFKDのユニット、Dry Echoesによる2ndアルバム『Danpen』がリリースされた。OILWORKS Rec. からリリースした1stアルバム『Narratage』から約4年が経過。FKDは持ち前の探究心と行動力で新しい音楽を吸収し続け、田中光は日々の生活に追われながらもリリックを書き残した。客演には日本最高峰のラップスキルをもつHUNGER(GAGLE)を迎え、近年のFKD の音楽趣向を生かしたクロスオーバーかつ低音が唸るビート、現代音楽の要素を取り入れた映画的なサウンドスケープ、都会の孤独を感じさせる抒情詩や活動の中で感じたストレートなリリックを書き綴った全12曲で構成されたアルバムが完成した。
New Album
Dry Echoes
Danpen

(PRKK-001)
――おふたりはソロでも活動されていますが、どういうきっかけでDry Echoesとして作品を作ることになったのでしょうか。
FKD「僕は2019年に福岡のOlive OilさんのOILWORKS Rec.からインストの作品を出させてもらったんですけど、そのリリースの少し前に光さんと巡りあったんです。アルバムを作り終えたくらいのタイミングで、中目黒のsolfaで出会いました。彼はビートシーンにも精通していて、音楽的な感性が合ったんですよね。僕はそれまでラッパーの人と作品を作るということをほとんどしてこなかったんですけど、すごいスピードで曲を作り始めていきました」
田中光「出会った1週間後くらいにFKDの家でセッションをしようという話になったんです。FKDが流したビートに僕がひたすらフリースタイルをするというのを1〜2時間くらいやって、そこでもう3曲分くらいのスケッチができて。これは一緒にできるなという手応えがありました」
FKD「その後、インストアルバムからの楽曲を7インチで出すことになったときに(FKD/m-al『OILWORKS REC. Split EP』)、ふたりで作った曲を1曲入れさせてもらいました。それで僕のリリパにも一緒に出てもらったりするなかでライヴの機会も増えていきました。並行して曲も作り続けていて、特に決めていたわけではないんですけど、暗にアルバムにしちゃおうという共通認識がお互いあったんだと思います。自分たちの音楽ルーツ的にもOILWORKS Rec.から出せたら嬉しいよね、という話をしていたので、僕がOlive Oilさんとレーベルのみなさんに掛け合ったら、是非というお話をいただいて。そこから詰めていきました。ただ、当時はまだFKD×田中光みたいな感じで連名でやっていて、ユニット名をつけてなかったんですよ。Olive Oilさんから名前を考えたらいいんじゃないかというアイディアをもらって、そこでDry Echoesという名前を付けて、ちゃんとしたユニットとして活動していく流れになりました」
Dry Echoes
――自然な流れでDry Echoesとしてのファースト・アルバムができていったんですね。そこから4年を経て今回の新作『Danpen』に至るわけですが、どのように制作を進めていったのでしょうか。
FKD「2021年に一枚目を出したときには、すでに次を作り始めていたんですね」
田中「作ってましたね」
FKD「Dry Echoesでのライヴ出演も少しずつ増えていたので、ライヴでバンバン新曲をやってたんです。ただ、アルバムにしようとかって目的を明確にはしてなくて、このまま活動を続けていったほうがいいよね、という温度感だけは共有していた感じですね。僕になにかアイディアがあったらビートを送ったりとか、セッションでこのときの感じがよかったねというのをシェアしたりとか。逆に光さんが録ったフリースタイルやリリックのデモをもらって、それにリミックスみたいな形で音をつけるということを継続してやってたんです。だから今回の作品も自然発生的なものに近いのかもしれません」
田中「日常的にラップを送ってますし、FKDからも何十曲もビートを置いているURLが送られてくるんですよね。乗せたいのがあったら、みたいな感じで」
FKD「お互いがいろんな現場に出たりしているので、その分合流したときにいろんな現場やプレイヤーの話を共有しますし、その度にこういうアプローチを自分たちなりに噛み砕いてできたらおもしろいかなとかアイディアも出てくるから、特にアルバム制作後半はやりとりの精度がどんどん高くなっていきました」
――自分がアルバムを聴いた印象だとファーストとセカンドでは大きな変化があると感じたので、地続き的に作っていたと聞いて驚きました。
FKD「ああ。4年前から作ってはいたけど、最後の最後でビートを変えたりはしてるんですよね。ずっとライヴでやってきたトラックがアルバムでは全然変わってしまったというパターンもあるんですよね。だから今の着地点として作れた感じはあります」
――今回のアルバムはアンビエントっぽい音作りと言いますか、サウンドスケープ的なトラックになっているし、田中さんはほぼすべての曲で時間は有限だということをラップしていますよね。その点において死生観を感じる作品だなと。
田中「そうですね。リリックの死生観に関して言うと、コンセプトを決めて書くのが苦手なんですよ。自分は、朝起きて、ビートを聴いたインスピレーションでリリックを書いて、そのあと仕事に行くというルーティンなんですけど、いつもかなりフリースタイルに近い感じで書いてるんですね。後々思うとコロナ禍の経験が結構多くなっていたんですけど、親族の死に目に会えなかったり、優しくしてくれた人の死に目に会えなかったことで突然いなくなってしまったと感じる経験があったので、そういうことが反映されているのかなと」
――意識的にテーマを絞って書いているわけではないんですね。
田中「全部その日その日の気分で書いています」
――そうだったんですね。時間のことは繰り返し出てくるし、本作唯一のゲストであるHUNGERさんもそのことについてラップしているので、テーマはコンセプチュアルに決めていたのかなと思ってました。
田中「無意識的にやってました。自分の生活があって、かなり制限された時間のなかで音楽をやっているので、深く考えているわけではないんですけど……どういうふうに死んでいくのか、みたいなことがなんとなく頭にあると思うんですよね。だから残りの時間をどう有効に使っていくのか、というのが自然に出てきたんだと思います。若い頃からラップっていつまでできるのかなと思っていて、いまの自分はそこそこできているという実感もあるんですけど、ずっと新鮮な気持ちでいたいなという思いが反映されているのかもしれないです。あとは、僕はわりとシリアスな言葉をチョイスしてしまう傾向があるんですけど、FKDくんがアレンジでより壮大な感じにしてくれたり、より際立ったものにして返してくれているというのも大きいのかなと思います」
――FKDさんは新作ではどんなふうにトラックメイクをしようと考えていましたか?
FKD「より体感する音楽のことを考えたと言いますか……それこそサウンドスケープ的な感覚で音楽を見つめる機会がここ数年で増えていて。それもコロナ禍を経てのことだったんですけど、外での活動が減った時期に、自分がそれまで聴いてなかった音楽をちゃんと聴く時間をとったんですね。そこで視座が広がって、サウンドインスタレーションとか、空気感を表現するものとかに興味を持つようになって、音の捉えかたに変化がありました。さらに光さんのリリックがシリアスで、時間が有限ということを含め僕も同意できる部分がすごくあって。そういうワードにちゃんと引っ張られて、録ったあとにトラックをまるごと変えるくらいのことをしたり(笑)」
――トラックの影響でラップができるし、ラップに感化されてトラックも変わるんですね。
FKD「タイトル曲の〈Danpen〉のラップはもともと全然別のトラックに乗っかってたんですけど、リリックだけ聴いていたら、こういう世界観にしたらもっと広がるんじゃないかと思って、壮大なトラックに変えて送り返してみたら、光さんもすごくハマってくれました。僕は映画音響にも興味を持っていたので、こういう世界観がDry Echoesのなかにひとつあったらおもしろいかも、という感じで作ってみたら、光さんはすぐに2バース目をバシッと返してくれて。自分が感じていたサウンドスケープ的なものをリリックで引き出してくれるので、もっとそっちに寄せていこう、みたいな作りかたをしたりしました。あとはシンプルに、コロナが明けてクラブイベントでライヴをする機会がめちゃくちゃ増えたので、ちゃんと踊れるダンス・ミュージックという観点でもう一度音楽を見つめ直してみようという感覚もあって。2stepっぽいドラムを入れたりとか、ビートの幅をヒップホップから枠組みを広げて作っていきました。昨今の自分の作品もそうですが、サウンドスケープとダンスミュージックという2点を重視して作ったかもしれないですね」
――音楽の捉えかたの変化があったのは興味深いです。
FKD「きっかけはいくつもあって。コロナのときにサカナクションがオンラインライヴをやったじゃないですか。話が少しずれてしまうかもしれないですけど、オンラインライヴだと、現場で流している音と、オンライン上で流れている音は質感が変わっちゃうじゃないですか」
――聴く側の環境にもよりますしね。
FKD「自分のオンラインでライヴ出演した際にその違和感を感じていて。サカナクションはまさにその違和感を払拭するように試行錯誤し、さらにリアルなライヴでは体感できない体験を提供しようと挑戦されてました。以前から楽曲は聴いていましたが、ライヴ自体もこんな面白いことをやっている人たちがいるんだっていうのをあらためて認識しましたし。そこからもっと広い視野で見たり聴いたり、知りたいなと思うようになって、アンビエントも聴きましたし、ハウスとかテクノとかの楽しみかたを深掘りしましたし、ポップスもいろいろと聴いたんですよね。そこから一気に目線が広がりました」
――クラブにせよオンラインにせよインスタレーションにせよ、つまりは環境に対する音の鳴らしかたを再考したということですか。
FKD「そうです、そうです」
――田中さんは時間についてのラップですし、FKDさんは空間を感じさせるトラックなので、言わばタイム・アンド・スペースですね。音源を聴いていて感じたことが、お話を聞いていて腑に落ちました。楽曲についてもお聞かせください。1曲目の「Intro」から驚きました。ビートレスで、ラップもエフェクティブです。セカンドはこうだよ、というモードをわからせる曲と言いますか。
FKD「そうかもしれないです。あれは光さんのフリースタイルで」
田中「ビートがあるトラックに乗っけたものが、めちゃくちゃ声にエフェクトがかかった状態のひじょうに空間的な音楽になって返ってきました(笑)。僕としてはラップを実験的な試みで処理する曲は好んで聴きますし、お互いのなかでアルバムはなんとなくこういう方向性になるというのがあったので、聴いたときはすごくしっくりきました」
FKD「当初は自分のライヴ用のイントロとして作った気がします。中目黒solfaで行なわれたScenario Tokyoに出演した際にイントロで光さんの声を使ってカマしたいなと思って。気合の入ったライヴだったということもあり、今の自分の表現したい世界観に近い楽曲に仕上がり、Dry Echoesのセカンドを作ろうとなった瞬間に、あのイントロがアルバムの1曲目にハマるだろうなと思い、相談して一曲目になりました。あれはもうBPMも合わさずに作ったんですけど、フロウはしっかりハマるという科学反応がありました」
田中「最後の最後まで曲順は悩んだんですけど、これが必ず1曲目というのはありました。アルバムのスタートを示せる曲ですよね」
――ラップを実験的に変化させるのも好みというお話が出ましたが、「Moonlight」ではラップのエディットが印象的でした。ここはこうしよう、みたいな話をおふたりでされるのでしょうか?
FKD「気づいたら僕がめちゃくちゃにしてるという感じです(笑)」
田中「実際僕たちのライヴでもヴォーカルにエフェクトをかけたりしますし、ダブとかも好きなので、おもしろいな、こうなったんだというポジティブな気持ちで聴いてます」
――“誰も聞いたことない音”(「Koko」)、“また誰もが見た事ない 新しいもんを作る”(「Shade」)というリリックも出てくるように、おふたりは未体験のものに触れたいという意識が強いのかなと感じます。
田中「それはありますね。もともとが借り物のカルチャーですし、学ばなければいけない事がまだたくさんあるんですけど、よくある記号的な言葉とか、共通のトピックで単純に盛り上がるのは自分たちの性に合わないというか。スタイルをどんどん先鋭化させて表現していきたいというのは思ってますし、それがフレッシュであり続けることなのかなと思ってます」
FKD「新しいものってそうそう生まれないと思っていて。ただ、何かと何かの掛け合わせで生まれるものがフレッシュに聞こえるというのはあるじゃないですか。僕はDry Echoesで一緒にやっているときは特に実験的な精神で臨んでいるところはあります。送られてきたラップのBPMにも捉われない場合もあったりしますし(笑)。それでハマるかどうかというジャッジはもちろんあるんですけどね。ふたりでやっているからこそ、ふたりでしかできないことをやりたいなと思っているし、新しいと感じることを楽しみながらやれているなとは思います」
――その際にバランスを取ることはありますか?これはやりすぎじゃないかな、とか。
FKD「そこはまったくなくて。こういうことをやったらおもしろいかもとテンションが上がったときに作ったものを光さんに渡すので、ドンズバでこれだというのが作れているんですよね。受け入れられるかどうかの恐さを感じることはなくて、逆に、面白くない?っていうのを提示できている感覚です。ライヴスタイル然り、自分は表にその感情が表に出ちゃってると思うので、Dry Echoesは好き勝手にやっても面白がってもらえてると感じます。ほかのアーティストとの共作ではなかなかできないトライも楽しめるふたりなんですよね」
――HUNGERさんをフィーチャーした「Hourglass」は衝撃でした。
田中「ありがとうございます。ビートと僕のラップは完成していて、そのまま出すこともできたんですけど、ふたりで話したときに、もうひとりラップがいたらいいかもと。HUNGERさんがいいんじゃないかとFKDが言ってくれて、僕もイメージができたんですよね。疾走感のある楽曲なので、ここにHUNGERさんのラップがハマるというビジョンが共有できたので、連絡して、お願いさせていただきました」
FKD「その少し前に銀座のイベントでDry EchoesとGAGLEが一緒の現場になったことがあって。僕らはGAGLEから食らってるものがたくさんあるんですけど、ビートとラップの形で突き詰めてやっているという目線でHUNGERさんと光さんが話をしていたんですね。ビートとラップが相対しているもの、というような会話が頭のなかに残っていて。〈Hourglass〉のビートは自分らが影響を受けたLAのビートシーンからのインスパイアがあるんですけど、ビートシーンへの敬意を抱いた楽曲の上で、HUNGERさんと光さんでラップしている画がピンときてしまったので、お願いするしかないと」
田中「データが届いたときに、HUNGERさんのスキルがすごすぎて、ふたりでこれはやばくないかと。HUNGERさん的にも渾身のバースができたと言っていて、嬉しい反面、勘弁してくれ……となりました(笑)」
――とんでもないフロウですよね……。
田中「マジでとんでもないですね。あとはシンプルに自分がラップを始めたときから活躍している先輩が自分たちの楽曲で渾身のバースを書いてくれたという嬉しさが詰まった曲でもあります」
FKD「HUNGERさんは“銀座で相対した日”ってちゃんとワードとして入れてくれているのも感激しちゃいまいた。Dry Echoesはあまり客演を入れるタイプのユニットでもないので、フィーチャリングってなかなか難しいなと思っていたんです。HUNGERさんだからこそできた曲ですね」
――さきほども触れた「Moonlight」は、パーカッシブなトラックも、細かく変化している声の重ねかたも、ひじょうに音楽的に緻密に構築されていると感じました。
FKD「これもレコーディングしているときは前のトラックでやっていて(笑)」
田中「FKDくんが札幌のプレシャスホールに行って、音響に感動して、その影響で〈Moonlight〉をリミックスしてみたんですって連絡がきたのをよく覚えてます」
FKD「プレシャスは何回か行っていて、そのときのDJが好みだったというのもあるんですけど、あらためて札幌っていいなと思ったんです。街中を歩きながらKUNIYUKI(TAKAHASHI)さんの曲を聴いていて、冷えた空気の中で聴くその感覚がすごくよくて、こういう温度感の音楽を光さんとやりたいなと思ったんですよね。JAPANESE SYNCHRO SYSTEMの楽曲とかも改めて聴き直したりして、北海道の息吹を感じた瞬間に、もっとみんなが揺られる曲にできたら〈Moonlight〉がおもしろくなりそうだなというアイディアが湧いて、ああいう形に落とし込みました。トラックを変える段階でほかも味つけしてああなったので、リミックス的な工程が多い曲ではありますね。だからラップと音楽がより混じるような形になったのかなと」
――札幌に行くと、KUNIYUKI TAKAHASHIさんやTHA BLUE HERBの音楽はこの土壌から生まれてるんだと感じたりしますよね。自分の思い込みかもしれませんが。
FKD「でもわかります。雪が降ると反響がなくなって音がデッドになって静かになるじゃないですか。あの静かな感じというか。音楽性にもつながってるんじゃないかなと想像してました。個人的に札幌は一人で過ごすにもとても過ごしやすく、色々と自分と対峙できる時間が多かったんですよね。この場所で聴いているこの音楽という意味も相待ってめっちゃ食らって、〈Moonlight〉のアイディアが浮かんだんだと思います」
――孤独という点で繋げると、田中さんのリリックは、ひとりであることとか、あるいは小さなコミュニティを大事にされているのかなと感じます。
田中「少し重複しちゃうんですけど、やっぱりコロナ禍で人がいなくなってしまったという孤独感もありますし、あとは、僕が人に呼びかけてコラボしたり客演したりするタイプじゃないというのがあります(笑)。それよりも自分の生活のなかで音楽に夢中になれる瞬間が好きだし、それを理解してくれる身近な友達とか、かっこいいなと思ってくれる人との時間を重要視しているんですね。自分自身を充実させようというのが自然に出てきたのかなと。コラボは……もっとしたいんですけどね(笑)。いま隣でFKDくんの話を聞いていて、こんな解像度でいろんな物事を見れるんだなって感動してたんですけど、誰と誰がやるとうまくいくか、みたいなことを考えるのが苦手で。それよりも千本ノックで毎日ラップしたいという感じなんですよね。シンプルにクラブで仲良くなったから一緒にやりたいとか、ずっとかっこいいと思っていたこの人のビートに乗りたいとかでコラボに発展することはありますけど、基本的にはひとりで、ビートがあればラップして、フリースタイルできる場所があればフリースタイルするという感じのほうが合っているのかなと」
――総じてひじょうに聴きどころがたくさんある作品になっていますが、おふたりの手応えとしてはいかがでしょうか?
FKD「とても納得して出せた作品ですね。じつはレコーディングしてからリリースまで時間がかかってしまって。Dry Echoesだからこその遊びを入れたりしたかったので、今回は僕がミックスまでやらせてもらったんですけど、もっとよく聴かせられるだろうという思いがあって、光さんの声の落とし込みかたも試行錯誤しました。ラッパーとしてリリックがドンと出てくるのもハマるし、逆に少し引いて、音楽的にすべてが混じっているような状態に仕上げるのもいいなと思って、悩んでしまったんです。そういうすべてのやりとりを経て、最終的にはもっと音楽と密接なヴォーカルのほうがいいよねと会話した瞬間があって、いいバランスに落ち着きました。個人的にとても納得度も満足度も高いですね」
田中「自分としては時間をかけて作ったアルバムなので満足しています。みなさんからDry Echoesはどんどん変わっていくねという反響をいただけるのも嬉しいです。あとは、これをきっかけにもうちょっと攻めたこともできるんじゃないかと」
FKD「それはたしかにある」
田中「さらにエフェクターを使ったり、音響的にもおもしろいことができるんじゃないかと思いますし、〈intro〉みたいな曲を長尺で60分とかできるんじゃないかと思ったりしますし」
――それはおもしろそうですね!
田中「今回のアルバムを出したことで、もっとフォームを崩したこともやっていいんじゃないかと。やりたいことが広がってますね」
FKD「もっと実験的なことをやってもいいですし、改めてふたりでめちゃくちゃオーセンティックなことをやってもおもしろいかもしれないですし、どっちにもいけると思うんです。まだアイディアの段階ですけど、それができる状況になったのはこのアルバムを作ったからこそなのかなと」
――また、FKDさんはインスト集『Initial Impulse』も全国流通展開されます。
FKD「昨年4月にリリースしたものなんですけど、今回のタイミングで全国流通という形になりました。4年間で作ったものをコンパイルしたインストアルバムなので、制作期間も『Danpen』とほぼ同時期なんですよね。いまのDry Echoesに通じるものがあるので、よかったら一緒に聴いていただけると嬉しいです」

取材・文/南波一海
最新 CDJ PUSH
※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。
[インタビュー] エクスペリメンタルHip HopユニットDry Echoes 4年ぶりとなる2ndアルバム完成[インタビュー] 三浦文彰 清水和音 『ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全集』を発表 全曲演奏会の最終回を東京と大阪で開催
[インタビュー] のん (映画『私にふさわしいホテル』)[インタビュー] 角野隼斗 イメージ・キャラクターを務める「ベスト・クラシック100極」のコンピレーション・アルバムを選曲・監修
[インタビュー] 色々な十字架 話題の“90年代ヴィジュアル系リヴァイヴァル”バンド 待望のセカンド・アルバムをリリース[インタビュー] アシックスジャパンによるショートドラマ 主題歌は注目のSSW、友成空
[インタビュー] 中国のプログレッシヴ・メタル・バンド 精神幻象(Mentism)、日本デビュー盤[インタビュー] シネマティックな115分のマインドトリップ 井出靖のリミックス・アルバム
[インタビュー] 人気ピアノYouTuberふたりによる ピアノ女子対談! 朝香智子×kiki ピアノ[インタビュー] ジャック・アントノフ   テイラー・スウィフト、サブリナ・カーペンターらを手がける人気プロデューサーに訊く
[インタビュー] 松井秀太郎  トランペットで歌うニューヨーク録音のアルバムが完成! 2025年にはホール・ツアーも[インタビュー] 90年代愛がとまらない! 平成リバイバルアーティストTnaka×短冊CD専門DJディスク百合おん
https://www.cdjournal.com/main/cdjpush/tamagawa-daifuku/2000000812
https://www.cdjournal.com/main/special/showa_shonen/798/f
e-onkyo musicではじめる ハイカラ ハイレゾ生活
Kaede 深夜のつぶやき
弊社サイトでは、CD、DVD、楽曲ダウンロード、グッズの販売は行っておりません。
JASRAC許諾番号:9009376005Y31015