前作『ON THE ROCKS!』から約2年、EGO-WRAPPIN’の待望の新作が、アルバムに先駆けて(エゴとしては非常に珍しい)シングルという形でリリースされる。その名も「GO ACTION」。
「『ON THE ROCKS!』を出してから、私は半年ぐらい自分の時間があったので、ソロの新曲を作りながら、ライヴとかちょくちょくこなして。で、ソロ(
『ソレイユ』)を出したりしてました。ソロは、ちょっとセンチなアルバムで」
(中納良恵) 「僕も……何かはしてました(笑)。相変わらず音楽聴きまくりみたいな。音楽聴かない日はなくて、普通に聴きたくなるんですよね。それがすごいパワーの源になってるから。今でも“ここがええなあ、カッコええなあ”って影響されるし。それに飽きたら、もう音楽やってないぐらいの感じかもしれない」
(森 雅樹) そうして2年の間、貯めに貯めまくった2人のエネルギーが、「GO ACTION」では一気に爆発している。ルーディで不良っぽいブラスのイントロに始まり、レゲエの熱気やトリッキーなステップ、「それメタルじゃん!」なギター・ソロまで登場するトリックスターなアレンジ、中納良恵の強烈にパンチが効いたヴォーカルと、まさにEGO-WRAPPIN’の独壇場的な一曲だ。
「曲ができたのは、今年の3月頃ですかね。アルバムに向けて曲を作り貯めしていた時期で。森くんちに行ったら、このイントロだけが最初にあったんですよ」 (中納)
「始めっから全体の流れが決まってたわけじゃなくて、いろんな曲のコード進行とかアプローチとかをくっつけていったような感じです。1回目の練習の時に思いついて、間奏に突飛なもんを入れてみたり、うまく収まるまでけっこう時間がかかったほうで。“この感じは今までないやろ”という気持ちでやってるところはありました。自分たちの曲としても、他のアーティストの曲の中でも」 (森)
また、〈赤鼻パンク〉〈泥だらけで分けあうストロベリーの味〉等々、独特のボキャブラリーで綴られる中納の詞もインパクト十分。
「〈赤鼻パンク〉っていうのは国旗のことですね。自分たちがここにいる!っていう宣言みたいなもんです」 (中納)
カップリングはなんと
シンディ・ローパーのデビュー曲「Girls Just Want To Have Fun」という超大ネタ! 常に新しいもの、今までに無かった音楽を希求していながら、彼らの根本的なスタンスは、今からちょうど10年前の1stアルバム
『ブルー・スピーカー』から今現在まで、何一つ変わっていないように思う。
「好きな部分を、いいバランスで合わせていく、それで1曲成立さす、っていうのがEGO-WRAPPIN’の音楽なんかなって。なんか成立さしたいんですよ。その合わし方とか、リズムの乗せ方とかが、粋な感じで、それでちょっと笑えたりして。そういうのって、いいっすよね。今作ってるアルバムもかなりいいもんになりそうです。相当“ヤバイ”ですよ」 (森)
取材・文/齋藤奈緒子(2008年6月)