メキシコ系アメリカ人を指す“チカーノ”という言葉が象徴的に取り上げられる、多様性に富んだ人種や文化のるつぼ、イースト・ロサンゼルスから登場したローカル3人組バンドのエル・ハル・クロイ(EL HARU KUROI)が2016年以来となる来日ツアーを行います。ツアー初日となる東京公演が行われる11月2日は、映画『リメンバー・ミー』で描かれた、メキシコの伝統的なお祭り“死者の日”の時期。キュートなガイコツ、カラベラとマリーゴールドの花に彩られた“メキシコのお盆”とでも言うべき祝祭を本場さながらに楽しむべく、チカーノ音楽に精通する「MUSIC CAMP, Inc. / BARRIO GOLD RECORDS」主宰・宮田 信さんからそのヒントを伺いました。
――まず宮田さんとエル・ハル・クロイの出会いは?
「6〜7年前にチカーノ・バットマンのオープニング・アクトとして初めて現地でライヴを観ました。MUSIC CAMP, Inc. / BARRIO GOLD RECORDSとしては、これまでにアルバム3枚の国内盤をリリース、2016年の初来日ツアーを僕がブッキングで働く〈晴れたら空に豆まいて〉と一緒にサポートしています。バンドの存在を教えてくれたのは、僕の友人であり、昨年日本で行われたジョー・バターンのクリスマス・ライヴにDJとして出演していたデヴィッド・W.ゴメスですね。彼は、誰も知らないメキシコのダサいクンビア・バンドのアルバムに最高のファンク・ナンバーが隠されているってことを知っている男(笑)」
「〈DIA DE LOS MUERTOS〉という楽曲は死者の日そのものを歌っているんですが、映像が素晴らしいんです。ここに記録されているような、実際にローカルが行っているパーティを日本のいろんな場所で出来たらと思っています。東京公演では祭壇を用意して、お客さんにもマリー・ゴールドの花を作ってもらったり、みんなで手作りして、参加するのがイーストLAっぽいかなって(笑)」
「そう、あれはチカーノたちの生活のなかによくあるお母さんたちの姿ですね。月曜の朝早いバスで裕福な家に行って、いわゆる“家政婦さん”をして、金曜の夜遅くまで泊まり込みで働いて家族のもとに帰ってくるんです。今もいっぱいいますね。ああいった生活そのものを〈ELLA〉のように詩的にうたうことはこれまでのチカーノ音楽にはない表現で、まさに文化が成熟した結果だと思います。エディカは知的で親しみやすくて、働くお母さんたちを見て育ってきた子供ならではの強いまなざしをもったタフなバリオの女性です。〈DIA DE LOS MUERTOS〉とこの曲をカップリングした来日記念シングルもリリースしますよ」
「メキシコ・シティで上映した時に、映画を観てエル・ハル・クロイを知ってファンになったという声が多かったんです。チカーノ・バットマンは知られているのに(笑)。最新のイーストLAの音楽のサンプルとして観てください。近く東京と大阪での〈LATIN BEAT FILM FESTIVAL 2018(第15回ラテンビート映画祭)〉でも再上映されますし、あの映画を観てくださった方にはぜひ今回のツアーで現地の雰囲気を味わってもらいたいです」
取材・文 / 服部真由子(2018年10月)
EL HARU KUROI MESSAGEエル・ハル・クロイから届いたメッセージを紹介
Photo By Rafael Cardenas
Eddika Organista(vo, g) “Hello Japan I am honored for the opportunity to share a piece of my culture with people from Japan through the music we make. Gracias, Thank you, Arigato!”
Michael Ibarra(b) “It is a great priviledge and honor to be invited back to Japan. We are very excited to return to Tokyo, Osaka and Yokohama, as well as to bring our music to Tokoshima, Kochi, and Kanazawa. The audiences in Japan are the best and the sound engineers and venue workers are the finest and most professional people we have encountered in their field. Special thank you to Barrio Gold and Hare Mame for building and continuing to strengthen the bridge between japan and our community. We love you all.”
Dominique Rodriguez(ds) “Hello everyone!! I am so excited to see old friends and new ones. Last time we went was the first time to Japan and it was very special. We all had so much fun and enjoyed learning the Japanese culture. It is such and honor to present our music for you. This time we are coming to not only present our music but to also celebrate life and death and loved ones who are no longer with us through our our cultures own very special day of honor to the deceased. I hope to make many great memories and new connections in Japan. Thank you all and I will see you soon!”