元ちとせのカヴァー・アルバム
『Orient』(邦楽編)と
『Occident』(洋楽編)のリリース記念公演が、9月18日(土)東京・Billboard Liveにて行なわれた(20日には大阪のBillboard Liveで開催)。今回は、ホールでのライヴとは一味違う“空間”や“アーティストとの距離感”も楽しめるプレミアムなライヴとなった。
公演時間になると、リラックス・ムードで登場した元ちとせ。デビュー曲「ワダツミの木」を手がけた、故・
上田現の楽曲「コリアンドル」でライヴはスタートし、
スキマスイッチの「雫」、
あがた森魚の「百合コレクション」、
シンディ・ローパーの「TRUE COLORS」と立て続けに3曲のカヴァーを披露すると、MCではデビュー当時のエピソードを交えつつ10年を振り返り、カヴァー曲に対しての思いを語った。
続いて、異色のカヴァー「熱き心に」(
小林旭)、新曲の「幻燈記」と歌い、ファンのリクエストで“やってほしい曲1位”に選ばれ、洋楽編『Occident』に収録された
ビョークの「HUMAN BEHAVIOUR」を披露。さらに、「It’s so easy」(
リンダ・ロンシュタット)〜「Perfect」(
フェアーグラウンド・アトラクション)〜「Ob-La-Di,Ob-La-Da」(
ザ・ビートルズ)〜「ハレルヤ」と洋楽編からの曲を中心としたアップ・テンポ・ナンバーをメドレーで披露し、会場を大いに盛り上げた。
温まった空気の中、今度は
山崎まさよしの名曲「やわらかい月」をしっとりと悲哀を込めて歌い、本編のラストは
イルカの名曲カヴァー「なごり雪」で締めた。彼女は、「なごり雪」を歌い終わると、ライヴに対する満足感の現れともとれる“ホッ”としたような表情を見せた。
そして、会場の拍手が止まず、アンコールへ突入。「私が今この場所に立てるのも、この曲があったからだと思います」という一言の後にデビュー曲「ワダツミの木」が始まった。歌詞を噛み締めながら、心の底から感情を絞り出すように歌う姿がその日の圧巻でもあった。
そして、「ひらけゴマ!」という彼女の一声でステージ裏の幕が開き、Billboard Liveではお馴染みの夜景が現れる。そのシチュエーションが本公演のスペシャル感を盛り上げ、最後はミュージカル映画『オズの魔法使』の劇中歌としても有名な「OVER THE RAINBOW」のカヴァーで幕を閉じた。
元ちとせは10月にも、地元・奄美で行なわれる<Setting Sun Sound Festival>(10月10日)などのイベント出演が決定している。<Setting Sun Sound Festival>では、“地元”“野外”と今回とはまったく異なるポイントで元ちとせの歌が楽しめるだろう。
取材・文/清水 隆