【ヘイリー】 英ロイヤル・ベイビー誕生を祝って、子守歌を集めたアルバムをリリース

ヘイリー   2013/08/15掲載
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 今夏英国は、ジョージ王子誕生に沸いている。その誕生から数日後、ヘイリーの子守歌集『やすらぎのハッシャバイ』が日本でもリリースされた。ロイヤル・ベイビーの誕生を祝う気持ちで企画された作品で、ジャンルや国境を超え、あらゆる子守歌が収録されている。とは言っても、赤ちゃんが眠るためだけに制作された作品ではない。ニュージーランド出身のヘイリーは、ご存じのとおり澄んだ清らかなピュア・ヴォイスの持ち主。その声で愛情を込めて歌う子守歌は、大人にも安らぎを運び、肩の力を抜いて素顔に戻れるような時間を演出してくれる。
 世界デビューから約10年。26歳になったヘイリーのたおやかさ、細部に至るまで丁寧さが際立つ卓越したテクニック、豊かな表現力にあらためて驚かされる作品でもある。
――まずは、どうして子守歌集を作ろうと思ったのでしょうか。
ヘイリー(以下、同)「かねてから漠然としたアイディアで、子守歌集の企画がありました。そこにポール・ミーラー氏(ウィリアム王子とキャサリン妃の結婚式のための合唱曲〈ウビ・カリタス〉を書いた作曲家)から、リトル・プリンスのための歌を作るので、それを歌わないかという依頼が来たの。最高に名誉な話ですし、その歌〈スリープ・オン〉が今回の企画を具現化してくれることにもなりました」
――「スリープ・オン」ですが、歌詞を「ユー・レイズ・ミー・アップ」でお馴染みの作詞家ブレンダン・グラハムが手がけていて、その深い歌詞の世界観に魅せられますよね。
 「子守歌だとどうしても“おやすみなさい”とか、“眠りなさい”という歌詞になりがちだけれど、グラハム氏の歌詞は将来について語りかけるような内容で、初めて目にした時は、私も驚いたわ。加えて、氏のメモ書きが歌詞に添えられていて、“ゆりかごの横に座って、子どもに語りかけるイメージでこの歌詞を書いたので、そんな雰囲気で歌ってもらいたい”と。その言葉もあって、今回のアルバムでは親密感を出すような工夫をしました」
――具体的にはどんな工夫をされたのでしょうか。
 「いつもとは違って、マイクに近づいて歌うようにしたの。できるかぎり柔らかな声を出すのがこのプロジェクトには必要だと思い、普段自宅でデモ音源を制作している時の感覚を思い出しながら歌ったわ。デモ音源を作る時は、とてもナチュラルな歌唱になるから。レコーディングでは初めての挑戦だったけれど、とても楽しかった。それにプロデューサーのジョン・コーヘンのホーム・スタジオでレコーディングしたのもよかったと思う」
――ホーム・スタジオがよかったとは?
 「彼の自宅は、都会の喧騒を離れたロンドン郊外の静かな住宅地にあるの。その生活感がありつつ、落ち着いた環境に加えて、ジョンには生後4ヵ月の赤ちゃんがいて、ときどきスタジオに遊びに来たりする。赤ちゃんをあやす経験も貴重だったし、なによりのんびりした時間の中でレコーディングできたことがよかったわ」
――さて、選曲についてですが、ヴァラエティに富んだ内容ですね。マオリ族の「ヒネ・エ・ヒネ」があったり、ジャズのスタンダード「ドリーム・ア・リトル・ドリーム」があったり……。
 「40曲くらいの候補の中から、私を中心に婚約者やレコード会社の意見も取り入れつつ選んだ13曲(ボーナス・トラックを除く)。〈ドリーム・ア・リトル・ドリーム〉は、まさに私が歌いたいと望んだ曲です。反対に、ウェールズ語でも歌っている〈オール・スルー・ザ・ナイト〉やデビュー・アルバムでも歌った〈ヒネ・エ・ヒネ〉は、今回のアルバムに入れるか迷いながら歌ったもの。自分自身に新鮮な感覚が足りないと思っていたから。でも、最終的には入れて本当によかったと感じているわ」
――マオリ族の歌は、あなたが歌うことで世界にその存在と魅力が広まったのでは?
 「そうかもしれないわね。ただ私自身が思うのは、こういう素晴らしい音楽を“故郷の歌です”と紹介できることの幸せ。すごく恵まれていると思います。今回〈ヒネ・エ・ヒネ〉は、この歌本来の子守歌というルーツに戻って歌っている。それがまたいい経験になりました」
――さて、デビューから早くも10年、これまでを振り返った時、どんなことを感じますか。
 「成長したとは思うけれど、あまりに多くのことが起きたので、どこか記憶がはっきりしないところもあります。世界各地を訪れてコンサートをしたり、プロモーションをしたり、本当に多忙だったけれど、厳しい世界で10年も歌い続けてこられたことに感謝をしているわ」
――先ほど婚約者という言葉が出てきたけれど、挙式とかは決まっているの?
 「今、準備を進めているの。ただ、私の活動拠点がロンドンで、実家がニュージーランド、彼の自宅はフランスにある。どこに住むかが最大の問題点なのよ(笑)」
――音楽活動は、続けるのよね?
 「もちろん。すでに次の作品のアイディアを考えているし、今は作曲するのが楽しくて。来年にはツアーもできるかなぁと思っているわ」
取材・文/服部のり子(2013年8月)
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