自由でカラフルな音楽性としなやかな歌が楽しめる 日之内エミ、渾身のニュー・アルバム

日之内エミ   2008/12/10掲載
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 2003年にリリースされた1stアルバム『Dramatiques』以来、約5年ぶりとなるアルバム『ME...』を発表したシンガーの日之内エミ。本作は、SOFFetMAKAIら豪華な顔ぶれによる本格派サウンドとともに、彼女のしなやかで華のあるヴォーカリゼーションが光る一枚に仕上がっている。また、「夏恋」という曲にはシンガーのRyoheiも参加し、アルバムに彩りを与えている。m-floの☆Takuが“世界に誇るべき”と評した才能が見事に発揮されている作品だ。本作について彼女に話を訊いた。



 バウンシーかつポップなR&Bナンバー「GOODIE MEMORIES」、キラキラとした光を放つフロア対応のハウス・チューン「TWINKLE STAR feat.日之内エミ(SHINE ON ME ver.)/MAKAI」から、オーガニックな雰囲気のラブ・バラード「愛だけが」まで。日之内エミのじつに5年ぶりとなる新作『ME...』は、彼女の自由でカラフルな音楽性、そして、どんなトラックにも対応しながら、しなやかなバイブレーションを生み出すヴォーカルの魅力を十分にアピールする仕上がりとなった。
 「この5年間で、少しずつシンプルなものにシフト・チェンジしてきて。何でそうなったかというと、自分の声、自分の歌で空間を満たしたいっていう気持ちが強くなってきたからなんですよね。そうすることによって、自分が表現したい世界観により近づけるんじゃないかなって。歌い方をいろいろ試すなかで“どれが自分なんだろう?”って迷ってた時期もあったけど、そういうことも考えなくなりましたね。曲によって、自然に出てくる感情のまま歌えばいい、って」

 また、ジャズのエッセンスを取り入れたトラックメイクで知られるSOFFetとのコラボレーション曲「Music Of Love」、男性シンガーRyoheiをフィーチャーした「夏恋」では、高いセルフ・プロデュース能力も発揮。
 「SOFFetにはいつもの軽快な感じではなく、クールでシャープな部分を出してほしくて、そういう提案をさせてもらいました。『夏恋』はどうしても男性のヴォーカルが必要だと思って、“だったら、Ryoheiしかいない!”って。最初はまわりのスタッフも“エミだけでいいんじゃない?”って言ってたんだけど、実際に歌ってもらったら“いいね”って納得してくれて。自分のやりたいことを客観的に判断しながら、具体化していく――それはたぶん、m-floとの現場で学んだことだと思いますね。とくにフィーチャリングというスタイルのなかで自分のイメージを形にできたことは、すごく自信になりました」





 また、幼少期、思春期のころに抱えていた重く、切ない感情をストレートに表現した「Grow」も、彼女の音楽の広がりを示す楽曲と言えるだろう。
 「10代のころはわりと暗かったというか、家庭や周りの環境のことで深く悩んでいたんですよ。そういう陰の部分って、(音楽として)見せる余裕もなければ、どう表現していいかもわからなかったんです。でも、この曲が出来たときに、いままで隠しておきたかった部分、出したくても出せなかったところが自然に表現できたっていう手ごたえがあって。アーティストとしても、ひとりの人間としても、一皮剥けたなって思いました」


 「このアルバムを作ったことによって、アーティストとしてどう在りたいか、どういう方向に行くべきかがハッキリわかった」と言う彼女。デビューから6年。日之内エミはいま、☆Taku(m-flo)から“世界に誇るべき才能”と評された音楽性を大きく開花させようとしている。
 「リリースとかには関係ないところで、何かを感じた瞬間に“これを曲にしたい!”って素直に思える。そういう気持ちになってきたんですよね、最近。すごく充実しているし、心からこの職業を楽しめているというか。やりたいことはたくさんあるし、もっともっといい曲を作っていきたいですね」



取材・文/森 朋之(2008年12月)
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