2003年にリリースした2ndアルバム
『Street Stroy』はインディーズのバンドとして初めてオリコンチャート1位を獲得(しかも4週連続1位!)。ライヴにおける動員も年を追うごとにスケールを増していき、2006年には日本武道館と大阪城ホール、さらに昨年はついにアリーナ・ツアーを敢行。そして今年は、9月22日、沖縄・ストリート・ライヴを開催。今後、通算3回目となる全都道府県ライヴ・ハウス・ツアー(今回は150本以上!)も行なうという。現在も沖縄に拠点を置き、“じっくりと時間をかけたアルバム制作と、そのときのモチベーションに見合ったツアー”というスタイルをキープしつつも、いつの間にか日本のトップ・バンドとしての存在感を確立した
HY。結成10年目を迎えた彼らに“現在、そして、これからのHY”について聞いた。
――まずは9月22日に行なわれる、沖縄でのストリート・ライヴのことについて聞きたいのですが。
新里英之(vo/rap/g) 「はい。前回(のストリート・ライヴ)が去年の2月だったから、かなり久しぶりですね」
名嘉俊(ds/rap/cho)「今年は結成10周年ということもあって、“何をやろうか?”っていう話をいつも以上にたくさんやったんですよ。で、やっぱりストリート・ライヴから始めたいってことになって」
――北谷(ちゃたん)でのストリート・ライヴはHYの原点ですからね。
新里 「そうですね。原点でもあり、いろんなことを学んだ場所でもあって」
宮里悠平(g/cho) 「1日3回やったこともあるんですけど、最初はぜんぜんお客さんがいなくて。そのころのガランとした風景もよく覚えてますね」
名嘉 「そう、完全にBGMになってた(笑)」
仲宗根泉(vo/key) 「誰も立ち止まらないのが普通でしたから。そんななか、徐々にHYの音を聴いてくれる人が集まり始めて。伝えようと一所懸命がんばれば、伝わらないことなんてないってことがわかりましたね」
名嘉 「しかも9月22日は(1stアルバム)『Departure』の発売日なんですよね。みんなで手売りして……」
――なるほど。HYにとっては、一つの記念日なんですね。
名嘉 「そうですね。もちろん振り返るだけじゃなくて、いま作ってる新曲もどんどんやっていきますけどね。やっぱり、いまのHYを観てほしいので」
許田信介(b) 「うん、新曲をうまく見せれたらいいなっていうのはありますね。そこが緊張するところでもあるんですけど(笑)」
――去年、アリーナ・ツアーを成功させたわけですが、それはロック・バンドにとって一つの頂点だと思うんですよ。“次、何をやろう”って迷ったことはないですか?
名嘉 「アリーナのときは達成感がありました。“この5人でここまで来た”っていう思いだったり、支えてきてくれた人たちへの感謝だったり。僕らはストリート・ライヴから始まって、ライヴ・ハウス、ホール、アリーナと進んでいって……」
新里 「いい感じで階段を上ってきたというか」
名嘉 「うん。でも、アリーナ・ツアーをやったあとは自然と“次は近くでやりたい”って思ったんですよね。そうやってループしていくと思うんです、何回も」
新里 「ストリート・ライヴのあとは、150本のライヴ・ハウス・ツアーです!!」
名嘉 「北海道から沖縄は石垣島まで」
許田 「いままでで最長ですね」
名嘉 「楽しみですよね。あまりにも長すぎてドラマーは途中で変わってるかもしれません(笑)」
――(笑)。でも、自分たちのやりたいことが自然にできる環境って素晴らしいですよね。アルバムの制作にもじっくり時間をかけてるし、締め切りに追われてストレスを抱えることもなさそうで。
名嘉 「それはもう、周りのみなさんのおかげです(笑)。バンドの雰囲気も変わってないですからね、結成したときから。俺と泉はいとこ同士だし、英之と悠平は小学校からの同級生。信介は高校のときからの付き合いだけど、最初から“同じ匂いがする”と思って、すぐに仲良くなったし。いまも海で遊んだり、バーベキューとかやってますからね」
――音楽的な趣向はどうですか? 10年経てば、好きなものも自然と変わってくると思うんですが……。
新里 「どうだろう? 新しい音楽は普通に聴いてますけど、好きなものは変わってないかも。この間も、俊と一緒にスリップノットを観に行ったし」
名嘉 「今日はみんなでリンプ・ビズキットのライヴに行きます(笑)」
――そのあたりはやはり、HYのルーツなんですね。それに加えて、最近は特に“歌を聴かせる”というところにシフトしているように思うのですが?
名嘉 「意識してるわけじゃないんですけどね。でも、(バンド全体)バランスは良くなってると思います。みんながいいフレーズを持ってくるから、“ここはギターを目立たせて、ドラムを引っ込めて”みたいなこともやりやすくなってるし」
新里 「全員がいろんなことにチャレンジするようになったし、それをほかのメンバーに言葉で伝えられるようになって。そういう変化はあるかもしれないですね」
許田 「メンバーがいいプレイをすれば、“俺もがんばらないと”って思うし」
宮里 「刺激になりますね」
仲宗根 「音に対しての追究心や探究心はずっと変わらないんですけどね。あと、いつも楽しまないと音は作れないと思っているんですよ。まずはメンバーと楽しみながら、これからも音を作り続けていきたいです」
――なるほど。次の10年に向けて、何か目標があれば教えてもらえますか?
許田 「そうですね……。結成20年目を無事に迎えて、こういうふうにインタビューを受けたいと思います(笑)」
名嘉 「俺は個人的に“25周年”っていう響きが好きで。まずはそこを目指したいな、と」
仲宗根 「やりたいことはたくさんあります! まずは一つ一つ、目の前のものから……ですね」
宮里 「自然にやっていけたらなって思いますね。このままのペースで、自分たちなりの音楽を続けていきたいです」
――まずは沖縄でのストリート・ライヴを楽しみにしてます。
新里 「僕らも楽しみです。サプライズも用意してるので、楽しんでもらえると思います!!」
取材・文/森 朋之(2009年8月)
〈HY Street Live 2009〜10th Anniversary Web くわっちーさびら〜〉
ライヴ・レポート!!
9月22日(火・祝)沖縄・北谷美浜カーニバルパークで行なわれた、HYストリート・ライヴ。そのライヴ・レポーターの募集で幸運にも当選した方に、今回のストリート・ライヴの感想を訊いた。(10月1日更新)
ライヴ・サポーターに当選した
高内恵美さん(28)と田中啓友さん(36)
――HYのライヴは何回目ですか? また、沖縄は何回目ですか?
「HYのライヴは5回目です。沖縄は2回目ですが、沖縄でのHYのライヴは初めてでした」
――ライヴ前日の気持ちと、いざ沖縄に到着したときの気持ちと、そして、会場に着いたときの気持ちはどんな感じでした?
「ライヴ・レポーターが決まってから、すっとワクワクしていました。会場に着いたときの人の多さにビックリしましたが、気持ちが一気にライヴ・モードになりました!」
――会場の雰囲気はあなたにはどう感じましたか?
「ステージの両サイドの旗と、みんなの寄せ書きがHYへの想いや気持ちがこもっていて、すごくいい雰囲気のステージでした」
――メンバーの様子は? 表情やしぐさは?
「地元のライヴだけあって、生き生きした表情で、ライヴを楽しんでいるように見えました」
――メンバーのMCや言葉で印象に残っていることは?
「新里英之が“盛り上がっていこう!!”と言った言葉のあとで、周りのみんなも、私も盛り上がっていきました!」
――久しぶり、もしくは初めて見たHYの率直な感想は?
「久しぶりにHYを見ましたが、いつもと変わらない姿で安心しました。沖縄の方言も好きです」
――メンバーが奏でるそれぞれの楽器の音色は、あなたにはどう響きましたか?
「それぞれの楽器でHYの曲が奏でられていて、聴いていてすごく気持ちの良いメロディになっていました」
――印象に残っている楽曲の感想を教えてください。
「〈HY ♥ SUMMER〉ですね。生で、沖縄でこの曲を聴けてすごく嬉しかったです。いつもこの曲で元気をもらっています!!」
――初めて聴く曲もあったと思います。どのように感じ、どのような気持ちになり、初めての曲は会場をどのような空気に包んでいましたか?
「〈レール〉は初めて聴きました。10周年のHYの曲なのでみんなそれぞれの想いで聴いていました。これからのHYの活動が楽しみになりました」
――新曲の演奏がありました。ご感想をお聞かせください!
「〈時をこえ〉は、沖縄テイストの音も入っていて、歌詞も重みがあるので、多くの人に共感をしてもらって後世に残っていけばいいなと思いました」
――ラストの曲を迎え、そして終了したときの自分の気持ち、会場の雰囲気、メンバーの様子はどうでしたか?
「とても楽しい時間だったので、“もう終わり…!?”と思いました。でも、メンバーはとても満足そうな表情をしていましたね!」
――改めてHYに対して感じたことは? またストリート・ライヴの率直な感想は?
「普通のライヴ会場では味わえない開放感と迫力を感じて、圧倒されました」
――今回のストリート・ライヴは、これからのあなたに何かしら影響を与えられたでしょうか? それはどんな気持ちでしょうか?
「10年前、HYのメンバーがここの地でライヴをしたんだと思うと、この土地に、いま居ることができてすごく嬉しくなりました。またいつかここに来れたらいいなと思いました」
――今日ご来場出来なかったファンの皆様に一言お願いします!
「沖縄でのストリート・ライヴ、すごく楽しかったです! このライヴに参加できなかった方は、来年ライヴ・ハウス・ツアーが全国各地であるので、ぜひそこで楽しみましょう!」
■Profile沖縄在住の5人組インディーズ・アーティスト。2000年に沖縄で結成以来、北谷でストリート・ライヴを繰り広げ、1stアルバム『Departure』をリリースすると、その活動は全国区に。過去3枚のアルバムがオリコン・チャート初登場1位を獲得、最新の5thアルバム『HeartY』は発売から1年を経た今も、ロング・ヒットを続けている。ワンマン・ライヴ・チケットも全会場でSOLD OUT。2007年には、カナダ・アメリカでツアーを敢行するなど、その活動は沖縄のストリートから世界にも広がっている。2009年、HY結成10周年の活動を自信に変え、新たなレールをひいて進化している。
■最新作『HeartY』(2008.4.16)
■Discography『Departure』(2002.4.10)
『Street Story』(2003.4.16)
『TRUNK』(2004.7.14)
『Confidence』(2006.4.12)