トラックメイカーのN.A.i.D、JETBIKINIのもと、iTunesの「今週のシングル」にも選ばれ、5万に及ぶダウンロードを記録した「コズミックピンク」で配信限定デビュー。シンガーとしてだけでなく、自身の楽曲はすべて作詞・作曲を手掛けるなど、稀有な才能を持ち合わせたニューカマー、immi(イミー)。2ndシングル「クラクション」に続き、ニューレイヴなフィーリングも満載に届けられたデビュー・アルバム『Switch』について語ってもらった。 テクノ/ハウス/ヒップホップ……などと平和に音楽ジャンルを分けられていた以前と比べると、昨今ではB-more/ATL Bass/etc、etc、……と、しきりに細分化と結合がなされているクラブ・ミュージック・シーン。そういった状況の中でも、最もメルティング・ポットな雰囲気があり、かつ認知度の高い音楽といえば
CSSや
Shitdiscoに代表される“ニューレイヴ”になるだろう。そして、初のフル・アルバムを発表するimmiは、お茶の間にその魅力を伝えられる存在になるかもしれない。
もともと子供の頃からピアノを習っていた彼女は、高校から曲作りを開始した。
「しばらくライヴはバンド形態でやってました。だけど、自分の作っていきたい音はバンド・サウンドじゃないって気付いて、Logicを導入してDTMでの宅録をはじめたんです。まず自分で作ってみないと自分のやりたいことは100%分からないんだろうなって思いました」
これまで配信限定でリリースされた2枚のシングルと今回のアルバムのアートワークからイメージされるのは、可愛らしいエレクトリック・サウンドかもしれない。だが、そのビジュアルとは結びつかない硬質の音使いがimmiの意外性の一つでもあるだろう。
「こういう音が好きなんですよ、ブイブイした音が。作る時もベースとか低い音から組み立ててく方ですね。アレンジでプロデューサーがそういう音を仕掛ける場合も多いんです」 というこの音は、彼女自身とプロデューサーのN.A.i.DとJETBIKINIの感覚が交差する地点に響く音なのだろう。だが硬質な音使いにありがちなビートのみで突っ走ることなく、メロディと歌はカラフルに響き、そこに乗るガーリーな彼女の声と相まって、ポップ・ミュージックとしてのレベルは高い。
「基本は、クラブに行く人にも、普通にポップスを聴いてる子にも聴いてもらいたいって気持ちですね。そんなにコアなものよりも、ポップなものが自分としても好きだし、歌モノでメロディを聴かせる曲が好きなんですよね」 と話すように、彼女自身が手掛けるリリックは日常性が高く、良い意味で歌謡曲との親和性の高い世界観を描いている。また、楽曲制作はほとんど歌詞を先に書いてからはじめると言う。こういった制作スタイルはエレクトロ・ミュージックではかなり珍しい。
「歌詞の内容は重視してますね。生活を通して書く歌詞が多いので、ただ言葉を並べたっていうより、内容のある人間味のある歌詞を書きたいし、意味の無いことは書きたくない。ダンス的な要素がありながらも、歌詞をちゃんと理解して歌を聴いてほしいって気持ちがあるし、そういう意味では新しいものが出来たかなって思います」 その感覚が、彼女の作品に流れる、ドライになりすぎない情緒的な部分を支えているのだろう。
「この作品を作って自分としても世界観が広がったし、ジャンルとかに囚われずに作品を作っていきたいと思います」
取材・文/高木晋一郎(2008年7月)
immi 「コズミックピンク」 ※配信中
※iTunes 、 Moraリリース [配信限定]
1. コズミックピンク
2. Milk & Honey
3. Local Trai
(CANON TV-CM曲「Local Train」)
immi 「クラクション」 ※配信中
※iTunes 、 Moraリリース [配信限定]
1. クラクション
2. Girlfriend ?
3. Lovesong
(The Cureのカヴァー)
※8/6よりiTunes 、 Moraにて配信スタート
immi 『Switch』 1. Go with the flow feat. Shigeo (The Samos)
2. Ups & Downs
3. Power Station
4. Hazy
5. 1 Upper
6. Milk & Honey
7. Klaxon (Album ver.)
8. Cosmic Pink (Alubum ver.)
9. Girlfriend ? feat. kNY (M.G.K.)
10. Local Train
11. Anju
12. Lovesong
13. クラクション