今年3月にシングル
「Good Day」で日本デビューした韓国の女性シンガー、
IU(アイユー)。清楚で愛らしいルックス、繊細さと伸びやかさを合わせ持つヴォーカルでリスナーの心を掴む彼女が、日本2ndシングル
「You & I」をリリース。ストリングスの音色と流れるようなメロディ、そしてファンタジックな歌詞が絶妙に絡み合う、IUの真骨頂というべきナンバー。スムーズな日本語による美しいヴォーカルで、一気に曲の世界観に引き込まれてしまうこと確実だ。さらにカップリングには
井上陽水「少年時代」のカヴァー、そして初回生産限定盤TypeA には
Fantastic Plastic Machineによるリミックス「You & I」(Japanese Version[FPM TECHNORCHESTRA])を収録。では、新曲についての話を聞いていこう。 優等生過ぎない、彼女の飾らない素顔が垣間見えるインタビューをどうぞ!
――3月に日本デビューしたあと、4月から5月にかけて5大都市(札幌、東京、名古屋、 大阪、福岡)で初のショーケース・ライヴを行ないましたが、そのときの感想を聞かせてください。
「いろいろな土地のファンのみなさんと会えて楽しかったです。各地のファンの方々の特徴が知れてよかったです」
――特に印象に残ってる都市はどこですか。
「どこも面白かったけど、特に名古屋が記憶に残りました。東京以外で一番最初に名古屋でショーケースをしたんです。名古屋弁とか食べ物とか全部心に入りました。手羽先、味噌かつも美味しかったです(笑)」
――(笑)。日本の活動を通じて、歌手としてプラスになったものは?
「私は韓国で5年間活動してきましたが、日本では新人ですから、もう一度、新人の気持ちを感じられたのはすごくいいことだなと思います」
――初心に戻ることができて、気持ちも改めて引き締まったと。では新曲の話題に入りましょう。新曲「You & I」を、最初に聴いたときはどんな印象を持ちましたか。
「韓国語ヴァージョンを作ったとき、正直、最初のデモの段階では歌詞がなくて、<Good Day>より弱いかもと思ったんです(笑)。でも、歌詞ができたあとは、<Good Day>とは違う魅力がある曲だと思いました。<Good Day>よりも、歌詞にファンタジーとか童話的な要素が入っていて、10代最後に歌うにはぴったりの曲だと思いました」
――歌詞に関して、韓国語ヴァージョンと日本語ヴァージョンでいちばん違うところは?
「日本語ヴァージョンの方が童話的な要素が多く入っています。韓国語ヴァージョンでは“時をかける少女”のイメージでしたけど、日本語ヴァージョンでは“午前零時の鐘が急がすけど”とか、シンデレラ的な描写が加わりましたね」
――IUさん自身、ファンタジックな歌詞の世界観は好きですか?
「ハイ、まだ私は少女ですから。少女は童話が好きです(笑)」
――(笑)。こういう世界観に入り込んでみたいと思ったりします?
「子供のときにはありましたね。童話の主人公になってみたいと思ってました。今は本を読んだり映画を観たりするのがいいです」
――歌詞の内容は、憧れの人への片想いといった雰囲気にも受け取れますね。
「そうですね。片想いでもあるし、まだ会ったことのない人への歌でもあります。歌詞は、<Good Day>より希望がありますね。あの曲はフラれた歌だったので(笑)」
――そうでしたね。日本語詞で気に入ってるフレーズはどこですか。
「“この気持ちが愛?”という歌詞です。“アイ”という発音が韓国語ヴァージョンにも入ってるんです。韓国語では“アイ”は、“子供”という意味なんです。日本語では“ラヴ”なので、そこが不思議だし惹かれました」
――さらに英語だと“アイ”は“私”になりますね。同じ発音で、歌詞がいろんな意味に解釈できるような感じもします。では、歌うときに注意したところは?
「“秘密”という言葉がありますけど、“つ”の発音が難しくて、長く時間をかけて歌ったんです。それは、日本のリスナーのみなさんが聴いたときに、“外国人が歌ってるんだ”と思われないようにしたいからなんです」
――そんな苦労があったとは思わないくらい、すごくスムーズな歌に驚きましたよ。
「ありがとうございます(微笑)」
――日本語の歌の練習を、特別にやってるんですか。
「ハイ。やっぱり発音が一番大事だと思うので頑張ってます。今回のレコーディングも、すごく発音に注意して歌いました」
――サウンド面では、豪華なストリングスがとても印象的ですね。
「私も、インストだけでも成立するんじゃないかと思うくらいでした。素敵な交響楽みたいだなって。<Good Day>が韓国で大ヒットしたので、たぶん作曲家のイ・ミンスさんにも、すごくプレッシャーがかかっていたんじゃないかなって思います(笑)」
――韓国のヒットメイカー、イ・ミンスさんでもプレッシャーがあったと(笑)。
「だから、力を込めて作ってくださったんだと思います(笑)」
――(笑)。ちょっと気になってたんですけど、間奏の頭で“アウ!”って声が入ってて、何か意味があるのかな?と思ってたんですが。
「あれは、童話の世界の、会いたくても会えないときの気持ちを声で表現したものなんです(笑)」
――え! あれってIUさんの声だったんですか(笑)。
「ハイ。実は、韓国語ヴァージョンを作ってるとき、思うように歌えなくて怒ってたんです。それでマイク前で“アウ!”って叫んだら、イ・ミンスさんが“それ、いいね”って(笑)。それで曲中に入れることになったんです」
――それは面白いエピソードです。さて、この曲でもダンスがありますよね。
「時計ダンスがあります。指を時計の針に見立てて、L字にするのがポイントです。みなさんも歌うときにやってみてください」
――では、歌詞にかけた質問です。今回の楽曲には“運命の音”というフレーズが登場します。それは、運命的なものに出会ったときの比喩ですけど、最近IUさんが“運命の音”を聴いたのはいつですか。
「日本に来て、もんじゃ焼きを食べたんですけど、それが本当に美味しくて! もんじゃ焼きという食べ物自体、知らなかったし、初めて食べたのでので、とても衝撃的で、そのときに運命を感じました(笑)。私の心にピッタリなくらい美味しくて。なので、もんじゃ焼きを作るときの“ジュワジュワ”って音が私の“運命の音”です(笑)」
――アハハハ、まさかのもんじゃ焼きとは、意外の答えでビックリです(笑)。もうひとつ質問。“夢”という歌詞も出てきますが、最近IUさんが見た夢は?
「妖怪がたくさん出ました。ほんと怖かったです。私がオノを持って全部やっつけました(笑)」
――ゾンビ映画みたいじゃないですか(笑)。
「そんな感じでした(笑)。早く起きたかったです。悪夢でした(笑)」
――では、日本版の「You & I」のミュージック・ヴィデオについて聞かせてください。
「童話とファンタジーがコンセプトになってます。実は韓国版のMVと連動してるんですよ。違う次元の設定で、日本のMVでは、私が毎日童話を読んでるんですけど、その本のストーリーが韓国のMVの内容になってるんです」
――おぉ! 素敵な仕掛けじゃないですか。
「童話を読む私が童話の中にいる私に気づいて、タイムマシンに乗って会いにいくんです。CGがあり得ないくらいカッコいいです(笑)。ぜひみなさん見てください」
――それは必見ですね。さて、IUさんは、5月16日に韓国で20歳になりましたが(※韓国は数え年なので、日本では19歳)、大人っぽくなろうとか考えました?
「いえ、私は10代の雰囲気をずっと持っていたいんです。だから、私はずっと10代の気持ちで行くつもりです(笑)」
――そうですか(笑)。20歳の目標は?
「まずは、今、韓国で行なっているファースト・コンサート・ツアー<REAL FANTASY>(7月15日に終了)を、スタッフさんも私もみんな元気で無事に終わらせたいです。初のツアーですから、成長できたらと思います」
――初のワンマン・ライヴでもありますよね。実際やってみてどうでした?
「毎週ドキドキです。観客の全員が私のファンというのも新鮮ですし、ステージを自信満々でやれます(笑)」
――(笑)。どんな雰囲気のライヴなんですか。
「オープニングから中間まではファンタジーな雰囲気で、仮面舞踏会があったり、月の上でギターを弾いたり、ヘンゼルとグレーテルのお菓子の家も出てきたりします。2部からはバラードを歌ったり、私の話もたくさんします。アーティストのIUも、素の私も全部も見れるようなステージになってるんです」
――それはぜひ観たいですね。
「日本でも9月17日に東京国際フォーラムでのコンサートが決まりました。すごく嬉しいです。日本でも面白いコンサートをやれると思うので期待していてください」
――期待してます! ちなみに、この夏やってみたことありますか。
「私は暑いのが苦手なんです。だから涼しい部屋で休んでいたいです(笑)。夏より冬が好きなんです」
――なんとなくIUさんっぽいです(笑)。海に行ったりとかもあまりしないと。
「冬の海の方が好きです。夏の海は人が多すぎて行きたくないんです。泳いだりしないで、ただぼーっと海を見ているのが好きです(笑)。夏にやってみたいことは……あ! 今は新しいアニメが観たいです(笑)。癒されるアニメをいろいろ探してます。『日常』とか観てみたいなと思ってます」
――なるほど。では最後に「You & I」を聴いてくれる人にメッセージをお願いします。
「私の2ndシングルがリリースされます。<Good Day>のときは日本デビューだしすごく緊張もありましたけど、今は楽しんで日本での活動ができています。みなさんが応援してくれたら、もっとやる気満々になります(笑)! <You & I>ぜひたくさん聴いてください!」
取材・文/土屋恵介(2012年6月)
【ライヴ情報】
<IU Friendship Special Concert〜Autumn 2012〜>●日程:9月17日(月・祝)
●会場:東京国際フォーラム ホールA
●時間:開場 16:30 / 開演17:30 (開場/開演時間は変更となる場合があります。)
●料金:全席指定 8,800円(税込)グッズ付き(未定)
【IU 日本オフィシャル・サイト】http://iloveiu.jp/