デビューから1年を経て、
JASMINEの1stアルバム
『GOLD』がついにリリースされた。カラフルな絵の具のパレットみたいな1枚にしたかったと彼女が語る通り、R&Bやヒップホップをベースにしたクールかつ斬新なトラックの中に、圧倒的な歌唱力と鋭い感性を曲ごとに解き放つ。17歳から21歳の時期に書かれたリアルなメッセージも聴きどころの今作に込めた想いを語ってもらった。
JUSMINE(以下、同)「聴く人の人生に食い込みたいなと思っていました。17〜18歳の頃に書いた曲もあるんですけど、歌詞に関しては、いつも自分の思っていることをそのまま書くようにしています。もともと、自分の気持ちをちゃんと言葉にしようって思ったきっかけはデビュー曲の<sad to say>だったんですけど」
――それはどうしてですか?
「いつも夜になると泣いていたその頃に、出会ったのが<sad to say>のトラックで。この気持ちを言葉にしろって曲に言われた気がして“もうこれは書くしかない”と思ったんですよね。そしたら言葉遣いが悪くなったので、これはボツだろうと思いながらスタッフに聴かせたら“これいいじゃん、デビュー曲にしようよ”って言われて、びっくりしたんです」
――言葉遣いが悪くても想いを正直に書いた曲から、現在のJASMINEさんのひとつのスタイルが確立されたと。
「そうですね」
――当時、何が悲しくて泣いていたんですか?
「お父さんとお母さんが別れて、毎日へこんでいました。でもいつまでもへこんでいてもしょうがないなと思ってて。ちゃんと前向きになっていこうかなみたいなのはあって」
――そこで“ちぎれてったクソくらえ思い出なんか”って歌いながら自分を奮い立たせてるところもあったんですか?
「そうですね。頭の中にいろんな思い出が浮かんでくるから、もう“クソくらえ”って言ってやろうと思って」
――そうした鋭く大胆なメッセージ性が今回のアルバムでもすごく活かされてると思うんですが。デビュー曲にまつわるその悲しい出来事は、今のご自身が歌を歌う意味のひとつにもなっているんですか?
「そうですね……私は人が好きで、人との別れがとても嫌いなんです。小学生の時からそれが嫌で。もう会えなくなっちゃった人とかに、どうしたら“元気だよ”って言えるのかなとずっと思っていて。それで小学生の時に“もう歌手になるしかない!”と決意したんです。だから前回のツアーでも親戚が来てくれたりすると、すごく嬉しくて。歌っていると、会えない人にも“ここにいるぜ!”って言えてる気がするんですよね。さっきも言った通り、私は音楽を通じて人の人生に食い込みたいんですよ。だから私の曲を聴いて友達が何かを決意してくれたり“ありがとう”って言われると“食い込んだな”って」
――ベースにそういう想いがあったら、曲のメッセージ性が強くなるのは当然のことですよね。
「そうですね。今回のアルバムでも<Bad Girl>という曲では思春期に荒れ狂ってぐちゃぐちゃだった頃のことを思い出して書きました。その頃の自分や、その頃の仲間内にしかなかった気持ちや、“親も先生も嫌い!”みたいな感情を歌にしたいって思っていたので。未来に希望とかないから今をひたすら楽しむみたいな感じだったので、私が頑張って夢を叶えたかったんですよね。その時は何もできなくても、このメンバーの中から、ちゃんと世の中に出ていくからねっていうことが言いたくて、絶対に書かなきゃいけないと思った曲です」
――そして最新シングルでもある「Dreamin’」では初のバラードにも挑戦されて。
「そうなんです。この曲が作れたことで私の作曲におけるバリエーションが広がったなと思いました。これからも、また新しいことがやりたいなって思っています」
――新しいことっていうのは?
「トラックの雰囲気で曲のジャンルが決まりがちなところがあるじゃないですか。でも、トラックじゃないぞ、っていうところで、いろいろとやっていきたいんですよね。超ヒップホップっぽいトラックでR&Bを歌うみたいなことは昔からさんざんやってきてるんですけど、ジャズの三拍子みたいなものにR&Bの歌を乗せるとか。ロックはあんまり聴かないんですが自分にはとても合ってることを知ったので、これからもやりたいなと思ったり。後はレゲエとかピアノ伴奏とかサックス1本とか、いろんな服を着てみたいっていう欲があるんですよね」
――なるほど。今作も曲ごとにいろんなカラーが出せたと思うんですが、『GOLD』はJUSMINEさんにとって、どんな1枚になりましたか?
「私自身の“強くなりたい!”っていう気持ちをいっぱい込められたアルバムになりました。最近は強くなるために普段からいろんなことをしてるんですよ。ダンス・レッスンやボイス・トレーニングにも通い始めたし、それに一人暮らしも! 私の今の“どんどん行くぞ〜”っていうテンションが詰まっています」
取材・文/上野三樹(2010年7月)