ピットブルをフィーチャーした先行シングル「オン・ザ・フロアー」が世界各国のチャートで1位を獲得するなど、見事なシーン復帰を果たした
ジェニファー・ロペス。5月18日には、およそ4年ぶりとなるニュー・アルバム
『ラヴ?』がリリースされる。プロデューサーとして、レッドワンやトリッキー・スチュワートのほか
レディー・ガガも参加し、さらに前述のピット・ブルや
リル・ウェインら豪華なフィーチャリング・ゲストも話題の一枚。勝負作とも言える本作について、彼女に話を聞いた。
――前作『ブレイヴ』を発表してからの3年間に、あなたはふたりの子供の母親になりました。必然的に人生における優先順序に影響を与えたと思うのですが、あなたにとって音楽の重要性/ミュージシャンというキャリアの位置付けはどう変わりましたか?
「母親になったことは人生の全てに影響を与えたわ。仕事を選ぶ上でも、歌う内容を選ぶ上でも、物事の見方が変わったし、世界の見方や愛についての考え方にも影響した。それまでに感じたことがないほど深遠な形で愛を感じて、愛というものを違う視点で考えるようになったのね。だから私はこのアルバムを『ラヴ?』というタイトルにしようと決めたの。愛にぶつかって、疑問を持っていろいろと考えるようになって、自分自身に挑むようになった。それが、今作の内容なのよ」
――最初、どんな感じの曲を作りたいと思っていたのですか? 「こんなアルバムにしたい」というような全体像だったり、「こんなことを試したい」「こんなことを歌いたい」といった具体的なアイディアはありましたか?
「最初は、自分がどんなことを語りたいか、どんな気持ちでいるのか、何について歌いたいのか、どんなサウンドにしたいのか、どれもまだ分からない状態だった。スタジオに入って、いろいろな人たちが提供してくれた曲をレコーディングし始めたものの、どれも完璧にこれだって感じられるものがなくて。それから6ヵ月くらい経って、やっと何をどんな風に言いたいのか、書きたいのか、自分の考えがはっきり見えた。それで、一緒にやりたいと思っていたプロデューサーたちのところに行って、これが私の言いたいことで、考えていることで、こういうタイプの曲をやりたいって伝えたの。チャレンジしたかった主題は、“?”つきの愛。『ラヴ?』という名前にして、愛についてのあらゆる側面を語りたかった。この大きな事に関して、人々が考えたり経験したり、悩んだりするいろいろなことをね。この世はこれなしには誰も生きてはいけないし、これなしにはどんな生物も生き残れないわ。そのアイディアが、木のように育って、いろいろな方向に枝をのばしていった」
――シングルの「オン・ザ・フロア」は直球のダンス・トラックですが、アルバム全体のサウンドの方向性は?
「とにかく“私のサウンド”になっているわ。これまでもずっとそうだったけど、私が受けたさまざまな影響のコンビネーションで、アーバンとダンスとポップとラテンを一つに混ぜ合わせたもの。でも、今回大事だったのは、その皆に知られている私のサウンドを使って、今日的なものを作ることだった。今のサウンドを創り出すために、プロデューサーたちの助けを借りたわ。レッドワンやトリッキー(・スチュワート)&
ザ・ドリームとやって、レッドワンはダンス面、トリッキー&ザ・ドリームはアーバン面で、それぞれに私のサウンドをとても今日的なものにしてくれた。それがエキサイティングだった」
――ほかには、どんなゲストが参加しているんですか?
「さっき言ったザ・ドリームとはたくさん仕事をしていて、何曲か一緒にこのアルバムのために作ったわ。その中から3、4曲がアルバムに収録される。彼は〈アラウンド・ザ・ワールド〉という曲にもフィーチャリングされている。あとは〈アイム・イントゥ・ユー〉というスターゲイトと作った曲に、リル・ウェインが参加してくれたわ。それと、ファースト・シングルの〈オン・ザ・フロア〉では、ピットブルと一緒にやったわ」
――あなたはアルバムごとにサウンドとリンクする新たなヴィジュアル・イメージを打ち出してきましたが、今回のアルバムに伴うヴィジュアル・イメージはどんな感じになりそうですか?
「そういうことはあまり考えすぎないようにしているの。その時々で、着たいなと思ったものを着るようにしているわ。ミュージック・ヴィデオのコンセプトを考えた後にパフォーマンスをする必要が出てきて、そこで初めて“パフォーマンス用にはその服がいいわ!”とか“これはクラブのオーナーの服にぴったり”とか“これはクラブに踊りに来る女の子の服”って感じで選んでいくの。アルバム用の写真撮影でも、並んでいる服をチェックして、そのときの気分や考えに合わせて選ぶのよ。どうあるべきかは考えないようにして、ただその時に感じることをやっているの」
――ツイッターで日本のために祈るようにとコメントしてくださって本当にありがとうございました。日本ではまだまだ厳しい状況が続いていますが、日本の人々に何かメッセージを送っていただけますか?
「世界中の人々が日本のみなさんのことを考えて、祈っています。みなさんのために何かできないか懸命に考えています。世界中の愛が私を通じてみなさんへ届くことを祈っています。こんな時だからこそ、みなさんに力、希望、そして愛を」
構成/編集部(2011年3月)