「消えかかった音楽の炎がポッと点火したんです」――新たなはじまりを告げる名盤! 毛皮のマリーズの3rdアルバムが完成

毛皮のマリーズ   2009/04/03掲載
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 センセーショナルな名前を引っさげ、アングラ・シーンを駆け抜けてきた毛皮のマリーズ。ロックンロールへの愛憎を吐露した名盤「ビューティフル/愛する or die」に続き、3rdアルバム『Gloomy』が4月8日にリリース。開けっ広げな“破壊と狂乱”というこれまでの印象を大きく覆し、より倒錯した“静かなるエグさ”へと到達した本作について、メンバーの志磨遼平(vo)に訊いた。

 アグレッシヴなエモーションほとばしるガレージ・バンドといったイメージの強い毛皮のマリーズ。そんな彼らが、混沌とした魂の叫びを深いスピリットの息づく普遍的なロックへと昇華し、バンドとして新たな展開を見せたのが、昨年12月のシングル「ビューティフル/愛する or die」だった。その精神は、サード・フル『Gloomy』の根柢にも流れているが、もともと最新シングル及びニュー・アルバムは、「ロックに対する絶望感や憎悪から生まれた」と中心人物、志磨遼平(vo)は語る。
 「もともと自分は、恋愛や人生は面白ければそれでええってタイプだったんですけど、今の彼女とつき合うことで、初めて他人を中心に物事を考えるようになったんです。それで、こんなに大事なもののことを歌うためにバンドをやってんやろなとも思ったんですけど、“君が好きだ”なんて、直接、彼女に言えばいいだけのことで、何百人の前で歌っても、嘘くさいだけ(笑)。そう考えはじめたら、自分のやっていることが、馬鹿馬鹿しくなってきたんです。万能だと思っていたロックが、愛の前ではあまりにも無力だってことを思い知らされたというか。そもそも最も個人的な内容という点で、ラブ・ソングほど矛盾した“商品”はないじゃないですか(笑)。とはいえ、当時の自分には“愛”以外に歌うことがなくて、音楽自体ができなくなってしまったんですよ。約1年は悩みましたね。何を歌うのか、歌うことに値するものなんてあるのか。それこそ音楽なんてダメなんじゃないか。そう思ったことさえありましたから」





01. チャーチにて

02. 人間不信

03. 愛する or die (Raw Ver.)
04. Honey Apple
05. ザ・フール

06. 人生 II
07. God Only Heavy Metal
08. 超観念生命体私

09. 小鳥と私
10. 恋をこえろ
11. 平和

12. The Heart Of Dixie
13. 悪魔も憐れむ歌

 ロックに対する当時の疑念の深さを物語るように、『Gloomy』は、ネガティヴな悦楽感漂う「チャーチにて」で幕を開け、全ての憎みをダイレクトに具現化した「人間不信」へとなだれ込んで行く。とはいえ、楽曲が進むにつれ、志磨は暗闇の彼方に光を見出し、ラストの「悪魔も憐れむ歌」ではロックへの思いを新たに清々しいファルセット・ヴォイスを聴かせている。そういった意味では、今作を“ロックに対する愛憎が織りなす、混沌と再生のロック・オペラ”と評したい。
 「確かに、曲順も時系列に作った順になっているし、ラストに出来た〈悪魔も〜〉もこの1年の悩みを帰結した内容になっていると思います。端的に言うならば、同族嫌悪。結局音楽はやっていくんですけど、以前のような崇拝に近い気持ちはなくなりましたね。同時に布団やお風呂にも似た居心地の良さを感じたりもしていたんですけど、今はロックに対してフラットになれたというか、建設的にバンドをやっていきたいと思ってます」
 加えては、随所に60年代フレーヴァーがちりばめられているのも、『Gloomy』の印象を特徴づけているといえる。「ヘイト・フィーリング満載の中、サウンドとしてせめてもの愛情を込めたラッピングが、ビートルズだった」と自己分析する。
 「悶々と悩んでいる間、偉人と呼ばれる人たちが、愛と音楽の折り合いをどう付けていたのか知りたくて、アーティストの伝記ばかり読んでいた時期があったんです。もちろんジョン・レノンに関する本も読みました。そうしたら、あの曲はああいうことを歌ってたんやってことと、あの音はあのギターとあのアンプで出しているんやってことも分かってきて、消えかかった音楽の炎がポッと点火したんです。これは薪をくべなければってことで、その後はビートルズに関する本ばかり読んでいましたね。僕自身、ビートルズみたいな音楽がやりたいというのが、最初の衝動なんです。それで、中学の時の思いを具現化するんだったら出来るかもしれないと、実際に音にしてみたのが、このアルバムなんです」
 4月2日から今作を引っさげ、〈“毛皮のマリーズがやって来る!ゲス!ゲス!ゲス!”JAPAN TOUR 2009〉をスタートさせる彼ら。志磨は「すでにその次の展望も見えている」とこの取材を締めくくっただけに、当分毛皮のマリーズからは目が離せそうにない。
取材・文/兒玉常利(2009年2月)


毛皮のマリーズ インストア・ライヴ
●4月25日(土) @ タワーレコード渋谷店(B1-STAGE ONE)
19:00〜スタート
※入場方法:
予約者優先でタワーレコード渋谷店、タワーレコード新宿店、タワーレコード池袋店にて、4月8日(水)発売「毛皮のマリーズ/Gloomy」をお買い上げの方に先着で入場券を配布致します。CD1点につき1枚の入場券、CDは一度に2点までお買い上げいただけます。
※お問い合わせ:TOWER RECORDS渋谷店/03-3496-3661

●4月29日(祝) @ HMV渋谷 3Fイベントスペース
『毛皮のマリーズ インストアLIVE(アコースティックLIVE & サイン会)』
17:00〜スタート
※入場方法:
HMV渋谷、HMV新宿SOUTH、HMV池袋メトロポリタンプラザ、HMV横浜VIVRE、HMV吉祥寺パルコにて、イベント対象商品「GLOOMY」をご予約、又はご購入頂いたお客様に先着でイベント参加券を配布致します。
※お問い合わせ:HMV渋谷店/03-5458-3411

“毛皮のマリーズがやって来る!ゲス!ゲス!ゲス!”
JAPAN TOUR 2009
●4月18日(土) @ 札幌 スピリチュアルラウンジ(ワンマン)
※オープニング・アクト:JET THUNDERS
OPEN18:30/START19:00
前売り(SOLD OUT)※当日券は当日17:00〜発売予定
※お問い合わせ:HALL SPIRITUAL LOUNGE/011-221-9199(16:00〜)

●4月20日(月) @ 京都 磔磔
※共演:Qomolangma Tomato、おとぎ話
OPEN17:30/START18:30
前売り\\2,000/当日\\2,400 (ドリンク代別)
ぴあ (Pコード:318-264)、メール予約、店頭

●4月21日(火) @ 神戸 ヘラバラウンジ
※共演:Qomolangma Tomato、踊ってばかりの国(OA)
OPEN18:30/START19:00
前売り\\2,000/当日\\2,500 (ドリンク代別)
メール予約、会場予約、店頭売り

●4月22日(水) @ 福岡SPIRAL FACTORY
※共演:ircle、BAND A(O.A.)、ザ大村合唱団ズ(O.A.)
OPEN18:30/START19:00
前売り\\2,000/当日\\2,500 (ドリンク代別)
ぴあ(Pコード:318-355)
ローソン(Lコード:85870)
会場
※お問い合わせ:TSUKUSU/092-771-9009

●5月10日(日) @ 千葉 LOOK
※共演:THE BAWDIES、a flood of circle
OPEN18:00/START18:30
前売り\\2,500/当日\\3,000 (+ 1drink)
ぴあ(Pコード:319-336)
ローソン(Lコード:71585)
e+(http://eplus.jp/sys/main.jsp
※お問い合わせ:HOT STUFF PROMOTION/03-5720-9999

●5月15日(金) @ 盛岡 CHANGE
OPEN18:00/START18:30 
前売り\\2,000/当日\\2,500 (ドリンク代別)
※メール予約
※お問い合わせ:盛岡CHANGE/019-652-7182

●5月16日(土) @ 仙台 LIVE HOUSE enn(ワンマン)
※共演:OKAMOTO'S(O.A.)、NOTCRYANT(O.A.)
OPEN18:30/START19:00
前売り\\2,500/当日\\3,000 (ドリンク代別)
ローソンチケット (Lコード:22075)
ぴあ (Pコード:317-210)
e+(http://eplus.jp/sys/main.jsp
※お問い合わせ:ジー・アイ・ピー/022-222-9999

●5月17日(日) @ 郡山#9
『JUNKY HIPPY SHAKE 15th Anniversary vol.2』
※共演:武藤昭平 + ウエノコウジ、THE BAWDIES
※DJ : 馬場康治(ROLL)、INOUE(JUNKY HIPPY SHAKE)
OPEN18:30/START19:00
前売り\\3,000/当日\\3,500 (+1drink)
ぴあ(Pコード:317-342)
ローソン(Lコード:22091)
e+(http://eplus.jp/sys/main.jsp
※お問い合わせ:ノースロードミュージック仙台/022-256-1000

●5月22日(金) @ 名古屋 アポロシアター(ワンマン)
OPEN18:30/START19:00
前売り\\2,300/当日\\2,800 (ドリンク代別)
ぴあ(P:317-303)
ローソンL:43684
e+(http://eplus.jp/sys/main.jsp
※一般発売日:4月11日(土)
※お問い合わせ:JAILHOUSE/052-936-6041

●5月30日(土) @ 大阪 シャングリラ(ワンマン)
OPEN18:00/START19:00
前売り\\2,500/当日\\3,000 (ドリンク代別)
ローソン、ぴあ、e+(http://eplus.jp/sys/main.jsp
※一般発売日:4月11日(土)
※お問い合わせ:清水音泉/06-6357-3666

●6月4日(木) @ 高崎 FLEEZ
※共演:THE BAWDIES、scoobie do
OPEN18:30/START19:00
前売り\\2,500/当日\\3,000 (+1drink)
ぴあ(Pコード:319-340)
ローソン(Lコード:71585)
e+(http://eplus.jp/sys/main.jsp
※お問い合わせ:HOT STUFF PROMOTION/03-5720-9999

●6月6日(土) @ 東京 CLUB QUATTRO(ワンマン)
OPEN18:00/START19:00
前売り\\2,500/当日\\3,000(ドリンク代別)
ローソン(Lコード:78566)
ぴあ(Pコード:320274)
e+(http://eplus.jp/sys/main.jsp
※一般発売日:4月11日(土)
※お問い合わせ:HOT STUFF PROMOTION/03-5720-9999
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