RIZEのベーシストでもあるKenKenが、1年4ヵ月ぶりに3枚組セカンド・アルバム『ARRIVAL of INVADERS』を発表した。“リアル・ミクスチャー!”と呼びたくなる面白い作品だ。
ファースト・アルバム
『PARTY of INVADERS』は、もともとRIZE加入前から作っていた。
「15〜16ぐらいからバンドやりだしたけど、行き違いばっかりで上手くいかなくて。17ぐらいの時、(自分が)言っている世界観をわかってもらえないなら、一人でちょっと録ってみようと。録ったらすごく面白くて、そのまま結局作品になった感じかな、1枚目の時は」
むろん作詞作曲もヴォーカルも全面的にやっている。前作同様『Arrival of INVADERS』もベースだけではなく、
ジョニー吉長と
金子マリの家庭に育って子供の頃から親しんでいた、ギターやドラムなどのほとんどのパートも独演。まさに“一人バンド・サウンド”だ。
「頼む相手がいたらバンドをやっていたね。俺の中で描いているものを、下手でも(自分の演奏で)録ればいいじゃん!みたいな」
今回は3枚組が
通常版として発売された。
普及盤と同じディスク1に、ライヴのためのバンドKenKen of INVADERSで演奏した、ファーストの曲や
ケミカル・ブラザーズのカヴァーを含むディスク2。そしてライヴや会見の模様も収めたDVD。けれど当然メインは、アナログ録音のディスク1だ。KenKenの奇才ぶりに驚く。
「ファーストは本当に宇宙でパーティーしているやつみたいなCDを作ったけど、今回はちょっと地球寄りのアルバムっぽいよね(笑)。もっとシンプルになって削ぎ落とされて、アコギのきれいな音も求めたりとかして」
インスト・ナンバーは少なめで、歌詞もすべて日本語になった。こなれていないヴォーカルだからこそ生々しい、歌ものも聴きどころだ。
親しみやすい曲に“変態ちっく”で凝ったアレンジを施したところも、彼らに通じる。複雑なこともやっているが、遊び心もいっぱいだ。
KenKenが自由な活動形態で音楽を追求するアーティストだからこそ、宇宙のように無限の可能性を秘めていると思わせる作品だ。
「ソロはずっと作っていきたいですね。出せるものが、やっぱバンドと違うんでね。もちろんRIZEの音楽も大好きだけど。RIZEが好きな人も楽しんでもらえると思うし、そこで共存できる場所が増えていけばいいかな」
取材・文 行川和彦(2007年10月)