「QNもいろいろあっていまは落ち着いたっぽいんで。QNが今年のはじめにアルバム(『春の嵐の中で』)をリリースしたタイミングで自分のパーティに呼んだんですよ。そういう流れもあって一緒に曲を作ろうかって。でも、昔からそんな感じですね。同い年なのもあって昔から遊ぶし、QNの家に行ってその場でネタを決めてあいつがビートを組んで曲を作ったり。1時間半ぐらいでできた曲もあります。QNの作品に俺との曲が入ったりしてますしね(QNのEARTH NO MAD名義の作品『MUD DAY』収録〈WALK THIS WAY〉などで共作)。〈Make My Day〉は、QNとならば面白い曲ができるかなって。QNのワードのチョイスは面白いですよね。“けっこうぶっ飛んだYESTERDAY”とか“I LOVE BITCHES”とか(笑)。俺だったら絶対に言わない。でもQNだからアリっていうリリックがあるんですよね。しかもラップがやけにキレキレだった」
「黒いですよね。MASS-HOLEさんもGRADIS NICEさんもSCRATCH NICEさんも大好きなビートメイカーで、3人ともセカンドの『On The Korner』でもビートをもらいましたし。〈Interlude〉は、MASS-HOLEさんが“KIKUMARUに合いそうだから”ってくれたビートなんですよね。で、ワン・ヴァースだけ書いたんです。カッコいいビートをチョイスして、それに俺がどう色付けて味を付けられるかなんですよね」
「Ryohuにお願いしたのは、Ryohuが俺を良く理解していて、しかもKANDYでいちばん音楽を知っていると思ったからです。作る前から俺のアルバムを見てほしいって頼んでましたね。俺はラップしかできないんですけど、Ryohuはメロディセンスもあって、どうすれば音楽として良くなるかを知ってるんです。そういうRyohuのグルーヴを入れた一枚にしたかった。例えば、ガヤだったり、2本目、3本目に重ねる声の高さや低さを指示してくれましたね。これまでは重ねる声の音程の高低をそこまで意識せずに、とりあえず自分の出せる声を出していたんです。そういう部分を修正してくれて全体のクオリティを上げてくれましたね。〈Moment's so high〉のビートはRyohuが作って、KIKUMARUっぽいって俺に渡してくれたんです。ジュエルズ・サンタナに俺も好きな曲があって、この曲はそのラップを参考にして作ってみてってRyohuに言われましたね。もちろんその曲とは違うノリになってますけど、2000年代のノリを出した感じです」
――なるほど。ちなみに『711』っていうタイトルはどこから?
「自分の誕生日なんですよね。2月ぐらいから夏には出そうって考えていたんですけど、アルバム名がなかなか決まらなくて。『On The Korner』はタイトルが決まってから作り出したぐらいだったんですけど。今回はちょうど誕生日に発売できることになったから、これでいこう!って。あと、俺、ラルフ・ローレンが大好きなんですけど、NYにあるラルフ・ローレンは5番街にあって住所が711で、その数字の看板もあるし、711ってキャップも売ってるんですよ。よし、これだって(笑)」
「マジでたくさんありますね。自分もそうですけど、過去の曲をみんな嫌うんですよ。当然、自分としてはファーストのころより、いまの自分が良くなってると思ってますし、声の出し方から全部違う。孔雀をやったり、KANDYをやったり、ソロをやったり、すべてヒップホップですけど、ぜんぜん違うことをやってた。そこには多少迷いもあったんでしょうね。だから、いちど仲間からも離れてNYに行って自分を見つめ直そうとした時期があります。その後に完成させたのが、前作のセカンド『On The Korner』なんです。あの作品でわりと自分を確立できたなって。それから『Focus』ってEPを出したりして、今回の作品ができた」