圧倒的なエンタテインメント性で観るものすべてを虜にする一夫多妻制ユニット・
清 竜人25。そのライヴでもキラー・チューンとして会場を盛り上げる
「A・B・Cじゃグッと来ない!!」は、情報量がぎっしりと詰まったガジェット感の強いサウンドに、清 竜人とその妻たちが絢爛な華を咲かせるような、カラフルでアッパーな、とにかくグッとくる一曲。今回はこの作品について、また、開始から約半年を迎えたこのプロジェクトについて、
清 竜人 / 亜美 / 菜月に語ってもらった。にっかつロマンポルノ真っ青な、まさかのアイディアも飛び出したインタビューをどうぞ!
――活動を本格スタートさせてから約半年が経つ清 竜人25ですが。
清 竜人(以下、竜人) 「“こういう風に受け取って欲しい / 浸透して欲しい”という部分では、想定内の広がり方だったんですが、その流れの速さや浸透の広がる範囲が思ってた以上のスピードで進行していったなって。想像以上に、一夫多妻制だったり、僕のこのユニットに向けて作った楽曲が、とっつきやすかったのかなって。特にライヴを通して、それが理想的に届いてる実感もあったし、自分の想像よりも速く伝わっていったんで、いろいろ前倒しにして進めていることもあったり。それぐらい順調に進んでると思いますね」
――個人的な話なのですが、前回の〈清 竜人ハーレム♥フェスタ2014 Vol.2〉を、ラッパーのサイプレス上野たちと見に行ったんですが、一緒に見に行った全員が“俺も夫人になりたい”ぐらいの勢いで竜人さんの虜になったんですよね。それぐらい惹き付ける求心力がすごくて。 清 亜美(以下、亜美) 「よく聞きますね。男の人も夫人に対して“この子がタイプ”っていうんじゃなくて、竜人くんに対して夢中になってる人が多くて、夫人としては“……あれ?”みたいな(笑)。〈A・B・C じゃグッと来ない!! 〉のMVでの、竜人くんのお風呂シーンを男性ファンもみんな喜んでて」
――Twitterで「セクシー・シーンが!」って煽りと共にYouTubeのアドレスが貼ってあったんで、期待して見たら入浴してるのは竜人さんだったという。
亜美 「“お前かい!”っていう声と同時に“これは……あり!”っていう声も多くて(笑)」
――いろんな受け止められ方で事態が複雑化してますね(笑)。夫人方にとって、この半年は?
亜美 「やっぱり、いろんなことが急激に変わった半年でしたね。パフォーマンスもライヴを重ねることで、ノリがどんどんできていったことを実感したり。ライヴの盛り上がりを通して、自分の置かれてる立場がわかって、ちょっとずつ責任感を感じたりもしましたね」
清 菜月(以下、菜月) 「スピードがめっちゃ速かったなって。最近は嫁たちでバラエティ番組
『Lo GiRL』を始めさせてもらったり」
亜美 「ライヴだとキャラとかはそこまでアピールできないし、限られたところでしか見せられないので、番組では素のトークを見せられればなって」
菜月 「基本、楽屋のテンションだよね」
亜美 「だから余計なことを言いそうで生放送が怖い(笑)。(竜人に)そういえば『Lo GiRL』観てくれてる?」
竜人 「初回は観たけど……この前のはあんこう鍋を食べに行ってて観てない」
亜美 「夫人よりあんこう鍋か……」
――竜人さんは出ないんですか?
竜人 「週イチはちょっと大変かな……」
亜美 「でも、あの場に来たら、竜人くんには地獄が待ってるかも知れないね」
――女子会的な中に男一人は大変かもですね。
菜月 「夫人たちも喋れなくなるかも」
――え、なんで?
菜月 「なんだろう……威圧感?」
竜人 「フフフ……俺がいると威圧感がある?」
菜月 「ピリピリするかも」
亜美 「するかな?」
菜月 「しないかな?」
(やや沈黙)
菜月 「ほら! こうなるんじゃない?」
亜美 「微妙な緊張感はあるかもね」
菜月 「だから、来ないほうがいいかもしれない。生電話ぐらいがいいかな(笑)」
亜美 「でも、女同士だから盛り上がる部分もあるからね。アイドルって発言に気をつけなきゃいけないと思うんですけど、私たちはいい意味で自由度が高いんで。素を知ってもらったほうが、もっと面白がってもらえるかなって。キャラも被ってないし(竜人から)ああしろこうしろとかもないので」
――Twitterでも亜美さんはお酒の話題が多かったり、菜月さんは一人カラオケに行かれてたりなど、他のアイドルさんに比べると自由な感じは受けますが。 菜月 「ヒトカラって行かないんですかね、みんな」
竜人 「俺、この前行ったよ、1人で」
亜美 「え、ホントに? ヒトカラ?」
竜人 「そう。カラオケ自体10年ぶりぐらいに行ったけど。今は曲のリストが本じゃないことに驚いた」
亜美 「自分の歌とか歌うの?」
竜人 「歌った。っていうか、リハがてら行ったから」
亜美 「何時間?」
竜人 「1時間」
菜月 「短い!」
亜美 「菜月はフリータイム?」
菜月 「できるならフリータイム。6時間とか7時間とか。トイレも我慢して歌ってます。一人なんだけど(笑)」
――では、この半年で印象や記憶に残ってることはなんですか?
亜美 「この半年は、人生で一番いろんな方と関わってるなと思います。それはメンバーもそうだし、ファンの方にライヴだけじゃなく、Twitterとかでも声援をもらったりして、すごくいろんな方に支えられてるなって。あと、家族との絆が強くなったことですね。特に母親がすごく応援してくれていて。ライヴで、一番前のほうでオレンジの服着て、オレンジのサイリウムを振ってる人がいて“これはレスしなきゃ!”と思ってよく見たら母親で(笑)。それぐらい自分の活動を喜んでもらえてるっていうのは嬉しいし、もちろんファンの方にもそう思ってもらえてるとしたら、それに応えるだけのパフォーマンスをしなきゃなって。それがモチベーションに繋がってますね」
竜人 「僕はオーディションが終わって今のメンバーが集合したときかな。自分がいて、正規メンバー6 人がいっしょに並んだときに、“ここから何かが始まる”っていうワクワク感もあったし、いろいろ活性化された感じがあって、その後のことを考えやすくなったんですよね。だから、その日はすごく印象に残ってますね」
菜月 「遠征ライヴでホテルに泊まったときに、第1夫人の清 咲乃ちゃんと一緒にコンビニに行ったんですけど、その帰り道が楽しかったなって。それが一番記憶に残ってます」
亜美 「それが1位なの? もっといろんな思い出あったじゃん(笑)!」
菜月 「〈Will♥You♥Marry♥Me♥〉で、竜人くんが歌うときのクセが気になって、そのパートを咲乃ちゃんと真似したりしながら帰ってきました」
竜人 「(微笑)」
菜月 「〈A・B・Cじゃグッと来ない!! 〉のMV撮影は朝から撮影だったんですけど、前乗りして泊まった晩に咲乃ちゃんとコンビニに行って、その帰りにカップラーメン食べながら帰ってきて……」
竜人 「それが楽しかったと」
亜美 「結果、同じ話じゃん(笑)」
菜月 「咲乃ちゃんって、カップラーメンを3分待てないで、お湯入れて1分で食べちゃうんですよ。でも買い食いしたのがバレちゃうとマズいから、ゴミもこっそり捨てて……!!(1人で手を叩いて爆笑)」
――……活動とほぼ繋がりが無かったですね。
竜人 「ハハハ。僕も驚きました」
菜月 「で、咲乃ちゃんが“スープ飲む?”って」
竜人 「もう、その話ええわ(笑)。でも、次の日撮影なのに、カップラーメン食べてるのはプロ意識に欠けるよな」
亜美 「竜人くんは何も食べてなかったもんね。お風呂のシーンがあったから」
竜人 「2日食べてないで仕上げたからね」
菜月 「裸になるんだから当たり前じゃない?」
――自分は食べてるのに!
菜月 「でも、私、食べたの6時間前とかだから」
竜人 「消化されるから?」
菜月 「じゃなくて、6時間なら食べたことにならないじゃん」
竜人 「……そのオリジナル・ルール、よくわからへんけど(笑)」
――そのまま、「A・B・Cじゃグッと来ない!!」のMVについて伺うと、構成的には前作「Will♥You♥Marry♥Me♥」が結婚式、今作「A・B・C じゃグッと来ない!!」が新婚生活と、結婚生活の流れになっていますね。今回のMVのイメージはどのように?
竜人 「まず、自分がお風呂に入って、夫人たちに体を洗われてるというシーンが撮りたいっていうのが前提にあって」
亜美 「そこだったんだ(笑)」
竜人 「そこから(イメージづくりは)入った。加えて、前回が洋だったんで、今回は和のイメージにして、それぐらいわかりやすく落差をつけようかなと。歌詞よりも、映像の内容を前作とリンクさせた方がわかりやすいかなと」
――天久聖一さんと椎名基樹さんの共著『モテたくて……』の中で、モテの象徴として“ギャル神輿”という概念が提示されていたんですが、このMVの中でも竜人さんは夫人たちの騎馬に乗るという、それに近いモテの具現化をされていて。お風呂のシーンと合わせて、映像的に男の夢が具現化されている印象が今回は強いですね。
竜人 「そうですね。それが清 竜人25のひとつのテーマであり、コンセプトなんで」
亜美 「でも、男の人ってそういう夢があるんですね」
――熱烈にそれを願うかというとちょっと違うかもしれませんが、一つのモテ夢なのかなと。
菜月 「チャラい!!」
――……ごめんなさい(笑)。ただ、清 竜人25を観てて嫌な気分にならないのは、モテの決着点が“寝たい”とか“征服したい”というのではなく、“チヤホヤされたい”みたいな感じだからなのかなとも思うんですが。
竜人 「自分の好きなアイドルとか女優のラヴ・シーンって、観てみたいけど、それがディープだとショックだなっていう感情は誰にでもあると思うんですよ」
――わかります。
竜人 「その“ギリギリ観てみたい”ぐらいのラヴ・シーン感っていうのは狙ってますね」
――だからその虚実感も含めて、“憧れ”になるんでしょうね。
亜美 「一夫多妻っていうコンセプトで、最初は食わず嫌いっていうか、引かれるところもあるんですけど、実際に見ると“いやらしさ”がないと思うんですよね。だから、エンタテインメントとして成り立ってると思うし、一度観てもらえれば、みんな好きになってくれるんじゃないかなって」
――夫人方は今回のMVについての感触は?
亜美 「〈Will♥You♥Marry♥Me♥〉のMVは、全員ウェディング・ドレスだったりもして、嫁は個性がそんなに出てなかったと思うんですけど、今回は衣装の色分けも含めて、個々が目立つようになってて。カメラに向かって自由にアピールしていく撮影もあって、チーム・ワークも自己アピールもできるようになった部分を見てほしいですね」
菜月 「私は、ソロ・カットが可愛かったですね」
竜人 「自分のね」
菜月 「そうです(きっぱり)」
――みんなじゃなくて、自分はなんですね。
菜月 「みんなのはよくわかんないですけど、自分めっちゃ可愛かったんです!」
亜美 「(爆笑)」
菜月 「私、ウィンクが得意なんですけど、そのシーンも使ってもらえたんで嬉しかったです」
竜人 「両目つぶってたけどね」
菜月 「つぶってません。……つぶってないから!! 竜人くんはこういう人なんです。茶々入れるんです」
――……どっちもどっちって気がしますけど。
竜人 「ハハハ」
亜美 「みんな我が強いからね」
――楽曲としての「A・B・Cじゃグッと来ない!!」は、前作よりも情報量の多い曲だと感じました。
竜人 「前作から約3ヵ月と、良いスパンで出せてると思うんですけど、まだ自己紹介の段階だし、あえて奇をてらって、いろんなものを見せようとは思ってないんだけど、 グループ内でできる、いろんな引き出しは丁寧に開けていかないといけないなって。だから、1stとは違った質感をちゃんと形にしたかったんですよね。1stはダンス☆マンにアレンジをしてもらったことで、王道的なアプローチを提示したんで、2ndではそれとは違うものを出さないと、悪い意味で誤解されるかなと思って。それで今作は新進気鋭の
Tom-H@ckに依頼して、今っぽい音にしようと。そういったアレンジャーの選択は非常に慎重にやってますね」
――カップリングの「鬼の目にもナ?ミ?ダ?」のアレンジャーは竜人さんのアルバム『MUSIC』に収録された「CAN YOU SPEAK JAPANESE?」でもタッグを組まれた高橋諭一さんですね。 竜人 「『MUSIC』のときに編曲をお願いして、自分のメロディと相性がとても良かったんですよね。すごく丁寧に仕事していただけるんで、このプロジェクトを始めたとき、一番最初にお願いしました」
――では、夫人方はいかがでしょうか。
亜美 「ライヴで観てほしい曲ですね。一番盛り上がる曲だと思うし。ライヴも一方通行じゃなくて、お客さんとのやりとりが大事だなと思ってて、この曲もボールを投げる振り付けがあって、その投げたボールを打ち返したり、そういうコミュニケーションが取れる曲だから、会場で一緒に楽しんでほしいですね」
――亜美さんにとってはライヴが重要なポイントのようですね。
亜美 「ライヴは大好きです。お客さんと直にコミュニケーションを取れるのはライヴだと思ってるから」
――菜月さんの「A・B・Cじゃグッと来ない!!」の印象は?
菜月 「〈Will♥You♥Marry♥Me♥〉はあんまりアイドルっぽくないなと思ったんですけど、〈A・B・Cじゃグッと来ない!! 〉はアイドルっぽいなって」
竜人 「でも、それって聴いてきたアイドル・ソングの違いじゃないかな。今回の曲は最近のアイドルっぽいから菜月にはそう思うかもしれないけど、(菜月と竜人+亜美の間に線を引いて)僕らは……」
亜美 「そうなるかー(笑)」
竜人 「スターダムに上がった頃の
モーニング娘。だったりを聴いてきた人には、前回の方がアイドルっぽく聴こえるのかなって」
亜美 「今のアイドルっぽい掛け声も多いし、今回の曲のほうが菜月にとっては理想のアイドル・ソングっぽいんじゃない?」
菜月 「え、違うよ」
――違うんですか!
菜月 「〈A・B・Cじゃグッと来ない!! 〉は全然理想のアイドル・ソングじゃない」
竜人 「(苦笑)」
亜美 「何も言えなくなるわ(笑)」
――助け舟が思いっきり転覆させられました。
菜月 「この曲は、うちらがあんまり目立たないんですよ。竜人くんがすごく目立つ曲で。だから……悔しい」
――まさか新曲に納得してなかったという。
菜月 「前の曲の方がもっと女の子が目立ってたと思うんですよね」
竜人 「ソロ・パートの尺が短いってことでしょ?」
菜月 「それもあるし、この曲は竜人くんがずっとセンターなんですよね、なんか知らないけど」
――「なんか知らないけど」! すごすぎますね(笑)。
菜月 「それがすごく悔しい!」
竜人 「別の取材でも、頑張って25のセンターになりたいって言ってたし」
――「清 竜人」がグループ名に冠されてるのにもかかわらず。
菜月 「竜人くんがもしも辞めたら、私がセンターかなって」
――下克上宣言ですね。
竜人 「俺に辞めて欲しいの(笑)?」
亜美 「無理だよ無理だよ! 竜人くんがいなきゃ」
菜月 「大丈夫だよ、私がセンターやるから」
亜美 「一夫多妻でも何でもなくなる……」
竜人 「じゃあ、未亡人アイドルにするか」
亜美 「意外とそういうのを求める層もあるのかな」
――前向きだけど、にっかつロマンポルノみたいですね、それじゃ。
竜人 「ハハハ。そうっスね(笑)」
菜月 「でも、飽きると思うんですよ、そのうち」
――菜月さんの言葉にもあったように、竜人さんは作品を完成させると――特にアルバムを完成させるとその時点で楽曲を昇華してしまう、ライヴもやりたくないというタイプだと伺いました。ただ、このプロジェクトではリリースもライヴも続けられている訳で、その意味では“飽きてない”と思うんですね。
竜人 「アルバムに向けて表現してないことがいっぱいあって、それをまだ消化してないっていうのが大きいですね。ライヴに関しては、今まではライヴも好きじゃなかったし、本数もすごく少なかったんですけど、『MUSIC』を出した後にやったライヴ〈MUSIC SHOW〉のときに、パフォーマーとして、歌って踊るほうが好きなんだなって実感したんですよね。だから、25もその延長上にあるし、このスタイルだったら自分のモチベーション的にライヴを続けていけると思うんです。メンバーは必死で踊ってますけど、僕はフラッと遊びに行って、楽しんでフラッと帰るみたいな感じなんで(笑)」
――ライヴでは竜人さんは喋らないで、夫人たちが喋る構成ですが、その意図は?
竜人 「昔から僕はライヴでは喋らないんですけど、その流れの延長ぐらいの感じですね」
――喋らないことで“オーディエンスと同じ目線に降りない”ことになってると思うんですよね。だから、一夫多妻の長というスペシャルな存在として舞台上で成り立ち続けられるということなのかなと。
竜人 「そういう意味でも喋らないほうがいいかなと。加えて、夫人たちは半年前までは素人だった子がほとんどなんで、いろんなことを経験させたいなって」
――では、2015年の清 竜人25の動きはどういったモノになりますか?
竜人 「単純ですけど、もっとたくさんの人に聴いてもらえるような動きができればと。年内にはアルバムも出せればと思いますし、アルバム出すってことはツアーにもなる と思うんで、そういった部分も膨らませていきたいですね。僕は作品を作ることができるけど、彼女たちはパフォーマンスしか表現手段がないんで、彼女たちのそういった部分をもっと引き出せたらとも思います。その流れで、どんどん夫人たちだけの仕事も増えればいいと思うし、理想なのは、それぞれのメンバーにしっかり固定ファンが付いて、1人での活動や、違う仕事ができればベストだなって思いますね」
菜月 「(アルバムは)いつ?」
――言外に“私のソロはあるの?”っていう雰囲気が滲み出てますが。
竜人 「プレッシャーですね」
菜月 「そういうんじゃないんだけど……でも、いつです?」
竜人 「いつでしょうね」
――……一夫多妻は大変ですね(笑)。