東京都下の羽村市で生まれ育ち、羽村高校の同級生として軽音部から始まった5人組バンド・
LIFriends 。1年3ヶ月ぶりのCDリリースとなるシングル「
俺たちのララバイ 」には、単なる“楽しい”から“カッコいい”へと脱皮しつつある彼らの姿が克明に映し出されている。結成から10年、メジャーデビューから4年。ティーンエイジャーから大人へと成長して周囲への感謝を知り、泥臭くとも懸命に生きることを選び取った5人の生き様を見よ。
――前作シングルから1年3ヶ月ぶりのリリースということですが、その間もライヴはしていたんですよね?
SHUNKUN 「してます。関東のライヴハウスを回るワンマンツアーをして、そのファイナルを去年5月に渋谷クアトロでやって。そのあとも月7、8本のペースでライヴしてたんですけど、リリースはしていなくて」
FUNKY 「したくてもできなかったんですね。曲が出来なかったというか……」
HAYATO 「正確に言うと曲はあったんです。今回の〈俺たちのララバイ〉も原型は去年1月の時点で存在していたんですけど、“これで勝負しよう!”と自信を持てる完成形に、なかなか辿り着かなかった」
――そんなに時間がかかることって、今までにもよくあることだったんですか?
FUNKY 「いや、初めてでした。というのも、この曲って従来のLIFriendsに比べると、曲調が全然違うんですね。基本的に結構ダンス寄りの4つ打ち曲をやってきたから、こういうロックっぽい曲をメインに出すことは今まで無かったんです。だから出来上がるのに苦労したんですよ。何度も何度も試行錯誤して、アレンジも何十パターンも作って」
MAKOTO 「それでもイントロや間奏、アウトロに入ってるメインリフが耳に引っかかるから、どうしてもこの曲はリリースしたい!っていう意志がメンバーにもスタッフにもあって。だから、そのリフ以外は原曲から全く変わりました。それこそ最初はもっとピコピコしてて、エレクトロに振れそうな曲だったのに」
――だったら、そのまま従来のダンス寄りな曲にすれば簡単だったのに、どうしてそうはしなかったんでしょう?
SHUNKUN 「そもそもLIFriendsってライヴバンドなんで、どれだけライヴを楽しんで帰ってもらえるか?っていうところがテーマだったんですよ。手を挙げて“ウェイ!”ってやっとけば盛り上がるような、もう、わかりやすい曲が多くて、あんまり歌詞には重きを置いてなかった。でも、そこに疑問を感じるようになってきて」
KAMI 「一言で言うと“大人になった”というか。僕ら、高校の軽音部から同じメンバーなんで、一緒にいると感覚的に高校生の頃のままなんですよ。でも、実際は今年27歳になる年齢で、昔よりはちょっと冷静に自分たちを見られるようになったときに、もう普通の大人なんだよな!っていうのを認識し始めたんです」
――20代も後半になると、家庭を持つ同級生も出てくるでしょうしね。
HAYATO 「そうなんです! しかもメンバーみんな同級生なんで、友達も同じなんですよ」
SHUNKUN 「俺らの羽村の友人はすでに結婚してる人が多いんですよね(笑)。高校卒業直後に第一期結婚ブームがあって、ちょうど今が第二期。もちろん俺らは好きなことをやってるので、そこに不満も感じないですけど、純粋に“ああ、俺らもそんな年なんだな”と」
FUNKY 「そう。気持ちが追いついてないんですよね。まだ俺らは高校生の頃の感覚のままなんです」
――それで従来のハッピーなだけ、盛り上がるだけの曲ではダメなんじゃないか?という想いに至ったと。
SHUNKUN 「そうですね。若いときは勢いでいけたけど、本当に説得力のある歌を届けないといけない年齢になってきたんだということを意識し始めるようになってきたので、今回は今までになく歌詞に重点を置きました」
FUNKY 「俺らがやりたいこと、訴えたいことって何なんだろう?っていうのをメチャメチャ考えて、最終的には“泥臭くても頑張っていこう”っていうメッセージになりましたね。当たり前に思っていても実はそうじゃないことって、生きてるとたくさんあるじゃないですか。例えば今、俺ら全員まだ実家暮らしで、家に帰ったら当たり前のようにメシが出てくる生活があるんですけど、それだって作ってくれてる母親がいるから」
HAYATO 「2番のサビでは、そういったことに対する感謝をそのまま書いているんです。やっぱり普段は言えないじゃないですか? “今日も作ってくれてありがとね”って、そういうことを改めて歌に入れられたのは良かったですね」
KAMI 「あとは働く男性をテーマにした部分もあって、そこでは車移動で地元に帰る自分たちの姿を重ねていたり。そうやって頑張ってる人の他人には見せない心の内だったり、自分だけで抱えてるものがソコに表れてる気がして、なんだか胸がキュッ!となるんです」
――人生だったり“生きる”ということに深く根差したメッセージを歌うことで、ようやくバンドの実体が“LIFE”を内包するバンド名に追いついてきましたね。そんな内面の変化があったからこそ、楽曲が仕上がるまでに悩んだというのも頷けます。
MAKOTO 「そうなんです。どうしたら、もっと幅広く聴いてもらえる曲になるだろう?ってキーを変えてみたり、エレクトロからバンド寄りにしてみたり。いろいろ試行錯誤する中で、今回プロデュースをしてくださった
シライシ紗トリ さんとの出会いがあったんですよ。最初はプロデュース云々関係なく、純粋に相談をさせていただいたら、“もっと曲のジャンルを強く出せばいいんじゃない?”と言われて、それでロカビリーなテイストを強く出すことにしたんです」
SHUNKUN 「そのシライシさんの言葉で俺らの中でも閃いたというか、今までとは違ったアプローチを学ぶことができたんですよね。俺らの世代からすると馴染みがない曲調だからこそ新しく感じる部分もあるし、逆に上の世代の方には“懐かしい”と感じてもらえたらいいなと。でも、歌詞の乗せ方は早口で今ドキというか」
――ライヴでのファンの反応も、かなり今までとは違うのでは?
FUNKY 「明らかに盛り下がりますね! 今までずっと4つ打ち曲だったんで(笑)。でも、それって裏返せば“聴き入ってくれている”ということで、逆に“メッチャかっこいい”とも言われるんですよ。LIFriendsの評価って常に“メッチャ楽しい”だけだったんで、これは今までになかった感覚ですね。間違いなく一つの成長だなと」
SHUNKUN 「あと、ショッピングモールだとか不特定多数の方がいる場所でのステージだと、〈俺たちのララバイ〉を歌ってるときが一番お客さんが止まってくれるんですよ。そこは純粋に曲の力というか、今までの単に盛り上がれる曲とは一線を画しているからなのかなぁと思いますね。ダンスミュージックとは違う新たなLIFriendsを見せられる曲であると同時に、カップリングの3曲も含めて全曲に自分たちの良いところを出せたシングルなので、ぜひ全曲聴いてもらいたいです」
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――そのカップリングですが、まず「Welcome to TOKYO」はシンセの目立つ煌びやかな曲ですね。
SHUNKUN 「これは表題曲とは逆に、LIFriendsの今までのテイストを活かした曲なので、〈俺たちのララバイ〉に比べたら段違いのスピードで出来ました! ちなみに間奏に入ってるコールは、実は羽村のオジサマ方のコールなんです」
MAKOTO 「羽村……というか、そのグループにしかない(笑)」
HAYATO 「それこそ〈俺たちのララバイ〉作ってて煮詰まってるときに、やさぐれて飲み会ばっか行ってて(笑)。そこから作り始めた曲だから、最初は〈羽村ディスコ〉っていうタイトルだったんですけど、そこから〈Welcome to HAMURA〉になって……」
SHUNKUN 「羽村って言われてもわかんないから、東京でいいじゃん!って(笑)。ただ、東京って意外に広いですからね。この曲に書かれてるようなキラキラした東京は23区の中のさらに一部で、それこそ羽村はダーツで言うと端の端、0点の場所のようなところなんですよ。だから〈Welcome to TOKYO〉は俺らにとっても理想を描いた曲でありつつ、実は“東京=羽村”にも遊びに来てほしいっていうダブルミーニングでもあるんです。〈E-感じ〉も割とスンナリ出来た曲で、すげぇイイ感じの曲だから聴いてください!って(笑)。延々とサビを繰り返してる、すごくわかりやすい曲なんで、きっとライヴでも盛り上がれるんじゃないかな」
FUNKY 「LIFriendsってずっと笑ってるようなバンドなんで、その笑顔を全面的に出した曲ですね。〈My Pace〉はホントにリアルにLIFriendsの去年1年間を綴った曲で、俺らのシングルって毎回そのときの自分たちの心情を綴った曲が1曲入ってるんですけど、今回の心情枠はコレ。何もできない苦しみを雨に例えながらも、自分のペースで頑張っていこうと」
――葛藤続きの1年だっただけに、今までの心情枠の中でも一番重いんじゃありません?
MAKOTO 「重いっすね。どんよりな感じ」
FUNKY 「初めてライヴでやったとき、ファンのみんなが泣いてくれてました。それだけ待たせてたんだな……って、すごく感じました」
――待たせた裏に何があったのか?が、この曲で伝わったからですよ。
SHUNKUN 「そうですね。みんな“この曲いいね!”って言ってくれました。LIFriendsは特別な世界観や空気感があるわけでもないし、別に今流行りの音楽でもない。高校の軽音部から始まったバンドなので、見せられるのはそういう生き様だと思うんですよね」
FUNKY 「自分で言うのもアレですけど、メンバーみんな良いヤツなんですよ! よく“好青年”とも言われるので、そういう人間味だったり自分たちらしさを、今後の歌にも出していけたらなぁと。この1年リリースが空いたことで離れていったファンの人も、正直たくさんいるとは思うんですね。でも、これだけ決意の詰まったシングルなんで、離れていった人の耳にも、どこかで届けばいいなぁと。まだ俺ら頑張ってるんだってことが、歌詞を見てもらえばわかってくれるはずなので」
SHUNKUN 「まだLIFriendsを知らない人も含め、とにかく、どんな人にも聴いてもらいたい! それで好きになっていただきたいし、たくさんライヴもやってるので、ぜひ来てほしいですね。そして去年空いてしまったぶん、今年中に後2枚はシングルを出したいなと。メジャーデビューしてから4年、振り返ると地に足がついていない部分があったので、ここで改めてイチから地に足をつけて。今年中にたくさんのファンの前でワンマンを成功することを目標に頑張っていくので、ぜひ目を離さずLIFriendsを応援していただければと思います!」
取材・文 / 清水素子(2017年4月)
2017年5月20日(土) 東京 六本木 morph-tokyo 1部: LIFriendsと逃走中〜時々ピクニック〜 開場 12:00 / 開演 12:302部: LIFriends×ブレエメンの巻 開場 19:00 / 開演 19:30 出演: LIFriends / ゲストアーティスト: ブレエメン3,000円(Drink代 600円) ※e+ にて販売中(5月19日 18:00まで) 2017年6月17日(土) 東京 六本木 morph-tokyo 1部: CountDownLIFriends〜初夏〜 開場 13:00 / 開演 13:302部: LIFriends×◯◯の巻 開場 18:30 / 開演 19:00 出演: LIFriends / ゲストアーティストあり3,000円(D代600円) / 通しチケット 5,000円