tengal6名義での活動を経て、
バニラビーンズや
Negicco、
LinQを擁するタワーレコードのアイドル・レーベル「T-Palette Records」に移籍、それを期に改名も図った
lyrical school。“清純派ヒップホップ・アイドル”という、アイドル・シーンにおいてもヒップホップ・シーンにとってもオリジナルすぎる動きは、気鋭のプロデューサーtofubeatsが手がける新作
「そりゃ夏だ!」で、さらに加速する。
――TIF(TOKYO IDLE FESTIVAL 2012)の1日目は出番の前にステージが壊れてしまってライヴができなかったようですが。
ERIKA 「直前に壊れちゃって、大人が話し合ってる間、私たちは待ちでって感じで(笑)。結局ライヴはできなかったんだけど、お散歩ができて」
――?
ERIKA 「ライヴができなくなっちゃったんで、“じゃあ6人で歌いながら散歩しよっか”って」
――YouTubeにも映像が上がってましたが、あれは“ゲリラ・ライヴ”じゃなくて“散歩しながらラップしてただけ”なんだ(笑)。
AYAKA 「そうですよ(笑)。それでメンバーでラップしながら“散歩”してたら、なんかいっぱい人がついて来ちゃって」
――“ハーメルンの笛吹き”ですね、ほとんど。
ERIKA 「ヘッズ(=ファン)の人も“いや、散歩してるだけです”って理解してくれて。手拍子もしてくれてたんだけど(笑)」
MEI 「みんな協力してくれたよね」
AMI 「それで最後は逃げて解散みたいな」
――随分あぶないグループに成長したようで。
AYAKA 「ホントですよね。清純派なのに(笑)」
ERIKA 「いや、ヒップホップはストリート・カルチャーだからどこでもできるってことで。それを私たちもできるようになったっていう」
MARIKO 「そんなまとめ(笑)?」
――でも、アカペラでラップができるようになったってことだし、TIFにも大きな爪痕を残しましたね。さてニュー・シングル「そりゃ夏だ!」からグループ名をtengal6からlyrical schoolに変えられましたが、心境の変化はありますか?
AYAKA 「なんか……まだ言い辛いです(笑)。自己紹介の時も“tengal6のAYAKAです”って何回も言いそうになっちゃって」
ERIKA 「心境自体は変わらないし、延長線上にあるから“名前も変わったし頑張らなきゃね”ぐらいで、ベースは全然変わってないですね。でも、tengal6としての最後のライヴは、もうええやろってぐらいみんな泣いてて」
YUMI 「一番泣いてたのリーダー(ERIKA)だよね」
ERIKA 「バラさんでええから(笑)。でもプラスに捉えてますね」
――でもラップで出てくる箇所は間違えそうですね。
MARIKO 「ほぼ間違って、“tengal MARIKO”って連呼しまくっちゃってます(笑)。最後だけちゃんと言えたかなみたいな」
YUMI 「口がtengalに慣れちゃってるから、“tengal”を“リリスク”に変えてラップしてるんですけど、なんか、つまづきそうになります」
MEI 「わかる。でもお客さんの方が“リリスクちゃん”って守って言ってくれてるよね。<プチャヘンザ!>の一節も“345飛ばしてlyrical school”になったんですが、みんなちゃんと“リリカル・スクール!”ってコールしてくれて。でも私たちが“tengal6!”って間違えちゃったり(笑)」
――新作はtofubeatsのプロデュースですね。
MEI 「<そりゃ夏だ!>はこれまでよりもコール・アンド・レスポンスが増えて、もっとリスナーとの一体感が出るような曲になったんで、よりアイドルらしくなったかなって思いますね」
――ただ“変な曲だな〜”って最初は思いました。JAZZY JEFF&FRESHPRINCE「Summertime」のオマージュから始まって、ポップで爽やかなメロディ展開だったのが徐々に徐々にアッパーになっていって、途中からはJUNGLE BROTHERSの「VIP」的なドラムンベースとラップの合わせ技になっていくという。
MEI 「難しいんですけど、でもすっごく歌ってて楽しい!」
ERIKA 「tofuさんからは“自由にやってみて”って感じでしたね」
MEI 「後半にかけて、ちょっとふざけた声の出し方とかをみんなしてるんですけど、そういう部分が素で出せるようになったし、レコーディングでもできるようになったのは、成長だねってtofuさんにも言ってもらえて」
――たしかに今作ではフロウでみんな、いろんな表情を出せるようになったと感じました。
AMI 「私も飛び跳ねるようなラップの仕方ができるようになって、自分にも、すごくマッチしたなって。それが発見できたのが大きいですね」
ERIKA 「曲自体が記憶に残るよね。1回だけ聴いてもみんな口ずさめる曲になったから、一緒に歌ってほしいですね」
――この曲のオープニングはAYAKAさんの「DRUMS PLEASE!」というかけ声で始まりますが。
AYAKA 「……プレッシャーでした(笑)。自分的には可愛くシャウトしようかなと思ってたんだけど、元ネタの曲を聴かせてもらったら外人さんだったんですよ!」
――結構多くの人が知ってます(笑)。
AYAKA 「私は横文字が苦手なのと、曲自体も私から始まるから、もう……プレッシャーに押しつぶされて“なんでtofuさんはここを私に叫ばせるの!?”って(笑)。だからもう私じゃないって気持ちでやりましたね。だからPVでもサングラスかけてるんです」
――そこまで(笑)。
AMI 「tofuさんはその人がやらなそうなことをやらせる意地悪なトコがあるんです。(カップリング曲)<おいでよ>の歌詞でも、ERIKAのパートで彼女っぽくない部分があるんですよ。tofuさんにそのことを訊いたら、“ERIKAちゃんはこういうこと言わなそうだから、曲の中で言って欲しいんだよね”って」
ERIKA 「職権濫用や(笑)」
YUMI 「<おいでよ>で私は英語のパートが多かったんですけど“帰国子女だから大丈夫でしょ”って。でも、英語圏に住んでたわけじゃなかったから、別に英語得意じゃないんですよね(笑)。それで“キー!”ってなりながらラップして」
AMI 「でも、そうやって、いろんな部分をtofuさんには引き出してもらってます」
――綺麗なフォローが入りました。
YUMI 「あと、tofuさんはレコーディングのとき、いつもお土産を持ってきてくれるんで嬉しいです」
――物につられてるんじゃ今のフォロー台なしです(笑)。
MARIKO 「私も<おいでよ>で、可愛い部分だったり、ちょっと引っ張るような歌詞だったり、新しいキャラを出してもらったかなって」
MEI 「色っぽい感じの歌詞が多かったよね」
MARIKO 「“おいでよおいでかわーいいー”って歌詞があるんですけど、男の子に可愛いなんて普段絶対言わないから、もう“どうしよう!”って。みんな、そうやって戦う部分の多かったシングルだと思います(笑)」
――今お話にも出た「おいでよ」はクラブやライヴ会場をテーマにした
「プチャヘンザ!」の続編的な雰囲気もありますね。でも、「プチャヘンザ!」は“一緒に遊びに行く”だったのが、「おいでよ」は“ライヴ・アクトとして迎える”っていう、主体としての立場がガラッと変わって。そこも興味深かったです。
MEI 「今回は両方ともA面って感じだよね」
ERIKA 「この曲の雰囲気も含めて、ライヴでは私たちが一番楽しんでるっていうのが伝わると良いなって思いますね」
MARIKO 「だからこの二曲は売れる以外ないなって」
YUMI 「結成以前から唯一のラップ・リスナーだったMARIKOちゃんからのお墨付きだから間違いないです(笑)」
――ライヴ衣装も新しくなるんですよね。
MEI 「バスケ部がTシャツの上に着る番号書いてある網シャツみたいなのあるじゃないですか」
――ビブスですね。
MEI 「そう! ゼッケン! ゼッケン!」
ERIKA 「いま、ビブスって言われたよね(笑)」
YUMI 「Tシャツの上にそれを着て、下はショート・パンツなんで、ちょっと運動部みたいなんですよね」
AYAKA 「でもビブスが色分けされたんで、これでメンバーの“色”がハッキリしましたね」
MEI 「今までもトレード・カラーはあったんだけど、そんなに押してなくて、ファンの人にも全然浸透してなかったけど、これでアピールできるかなって」
――それはリリース・イベントでも見れそう?
AYAKA 「そうですね。リリース週は毎日やるんで」
MARIKO 「ライヴで言えば、TIFでZEPPでライヴできたときは“ここでワンマンできたらな”って目標になりましたね」
AMI 「テンション上がりました!」
MEI 「でもお散歩みたいな私たちならではのこともやりたいし、いっぱいやりたいことが増えてますね」
ERIKA 「今度は公表できる形でお散歩したいね(笑)」
取材・文/高木“JET”晋一郎(2012年8月)
lyrical school / そりゃ夏だ!(MV)
lyrical school「そりゃ夏だ! / おいでよ」発売記念ツアー8月21日(火)@渋谷CLUB CRAWL
8月22日(水)@タワーレコード新宿店7Fイベントスペース
8月23日(木)@タワーレコード秋葉原店イベントスペース
8月24日(金)@TSUTAYA JR中野駅前店
8月25日(土)@アリオ橋本1Fアクアガーデン
8月26日(日)@ららぽーと豊洲メインステージ
9月17日(月・祝)ライムベリー×lyrical school 2マンライブ@新宿MARZ
■lyrical school オフィシャル・サイト
http://lyricalschool.com/■lyrical school on twitter
https://twitter.com/lyri_sch