昨年12月のhinaの卒業、himeの加入、レーベルもT-Palette RecordsからKING RECORDSに移籍するなど、激しい環境の変化の中にある
lyrical school 。リリースとして新たなスタートを切ることになる
「RUN and RUN」 は、初主演映画『リリカルスクールの未知との遭遇』主題歌でもある表題曲のミュージック・ビデオ総再生回数が100万回を超えるなど、大きな注目が集まっている。しかし、そういった外側からの視点を超えて、このニュー・シングルはとにかく素晴らしい。SUIの手によるアグレッシヴなビートに、長くリリスクの作詞を手掛ける岩渕竜也の描く、希望に溢れ、前向きで、ハッピーなリリシズム、そしてそれを軽やかに歌い上げる6本マイクの組み合わせから生まれる、圧倒的な“肯定感”。その“優しさ”には本当に胸を打たれる。ALI-KICKの手がけた「リリスクのうた」から感じさせられる“未来への期待”と併せて、真っ直ぐに“この先”に進んでいくことが確かに分かる、胸のすくような快作だ。
――まず、昨年12月に加入したhimeさんに、リリスク加入への心境から伺いたいと思います。
hime 「中学2年生ぐらいから、ずっとリリスクが大好きだったんですね。だから、リリスクのメンバーとして同じステージに立てるとは思っていなかったし、加入できたのはスゴく嬉しかったですね。でも、私が入ることで、リリスクの良さを壊さないかな、自分の表現力のせいで楽曲やパフォーマンスの良さを弱めないことにならないかなって、葛藤も感じました」
――プレッシャーはあったと。
hime 「いい意味では、私が入ることで新しい風が起きたらいいな、とか、ファンだった自分が何をリリスクに還元できるかな、とも思ったんですが、やっぱり好きな分、そのイメージを自分が壊してしまわないかっていう不安も大きくて」
――ラップ・アイドルという構造としても、またデビュー時期が近かったことも含めて、himeさんが所属してた頃は特に、ライムベリー とリリスクは比較される対象でもあったと思うし、僕自身、両者を比較するような原稿も書いていて。俗っぽい興味になるけど、その意味では互いにライバル心のような部分はありましたか? ami 「私達が思ってる以上に、リリスクとライムベリーはバチバチの関係だって思われるんですよね。でも、全然そういうことは無いし“潰してやろう!”とか思ったことは全然無いです(笑)。お客さんとして普通にライヴも見させてもらったりもして」
――“負けない”ような気持ちは無かった?
ayaka 「それよりも“一緒にシーンを盛り上げたい”って気持ちでしたね」
mei 「だから、刺激をもらうって感じでした。同じジャンルのグループがいるってことは、自分たちも勉強になることが多いので」
――2012年には2マン・ライヴも行なっていますね。
mei 「そこで初めてきちんと初めてお話したんだよね」
hime 「そうですね」
mei 「リハーサルで初めて挨拶して。その時の印象はとにかく若い!って(笑)」
yumi 「だって中学生?」
hime 「多分、中2ですね」
yumi 「だから、見てる側は戦ってるって思ったかも知れないけど、リリスクとしてはもう“若すぎて可愛くて!”って感じでした(笑)」
――では、himeさんを迎えることになったリリスクの心境は?
mei 「“え! himeちゃんなの!?”って(笑)。hinaが卒業して、また知らない人が入ってくるのかなって思ったけど、新メンバーがhimeだって聞いて、やっぱりビックリしましたね。himeがリリスクを好きだって知ってたし、応援してくれるのも知ってたから純粋に嬉しいなって」
yumi 「次に入る子は、最初からしっかりラップ出来る子がいいなと思ってたから、himeだって知って安心しました」
ami 「私は個人的に、himeがリリスクに加入する話がある前に、一緒に遊んだことがあって」
hime 「パンケーキを食べに行ったんですよね」
ami 「その中で仕事への熱意も聞いてたし、あんな熱意のある子がリリスクに入ってくれるのは嬉しいなって。でも、加入の発表がどういう反応されるのかなって、ドキドキ感はありましたね」
――〈T-Palette Records 感謝祭 2015〉は、hinaが卒業してから一週間後とスゴくスパンが短かったから、正直、見てて混乱したんですよね。頭の中でhinaがいなくてhimeがいることが整理出来なくて。
yumi 「私たちは、スケジュールの関係で先に映画『リリカルスクールの未知との遭遇』の撮影があったので、himeとは打ち解けてはいたんですよ。だけど、ステージに立つとやっぱり違うなって。体格とか」
ayaka 「体格!」
minan 「そこ!?(笑)。でも、hinaは身長もあったから一列に並ぶフォーメーションとかだと視界が変わるよね。“あれ、ここであってたっけ?”って」
yumi 「そうそう。そういうこと(笑)」
mei 「映画の撮影ではhimeがいて、ライヴではhinaがいてっていう時期は、正直、私もこんがらがりましたね。でも、そこでふわふわしないように、気合を入れないとなっていうのは、総意としてはありました」
ayaka 「お客さんには一週間しかなかったのでびっくりさせてしまったけど、逆にこれからが期待だなって思ってくれる人もいたと思うし、hime自身もすごく練習を頑張ってくれて。だから、良いスタートが切れたライヴになったなって、振り返っても思いますね」
hime 「リリスクに加入することになって、客席から聴いてた好きなグループの好きな曲をステージ側から聴けて、自分も一緒にラップできるっていうのはスゴく不思議だし、スゴく嬉しい。夢が叶った感じなんですよね。その気持ちは、カップリング曲の〈S.T.A.G.E 2016〉にも込められてるんですけど、今、一緒にラップ出来てることが、本当に嬉しいんです」
――映画『リリカルスクールの未知との遭遇』は、“リリスク×ヒップホップ×月曜ドラマランド”みたいな、明るい内容になってますね。この中で使われるラジカセやレコードとか、いわゆるオールドスクール・ヒップホップ・アイコンって格好いいって思ったりする?
ami 「ラジカセとかはおじいちゃんの家にあったなとか。でも、ほとんど使ったこと無いですね」
――……カセットって使ったってことありますか?
minan 「一応あります。himeはある?」
hime 「無いです」
mei 「ここで20代と10代の差が出ます(笑)。MDは?」
hime 「ちっちゃい正方形のやつですよね。幼稚園の時に見たかも」
ayaka 「私たちはMD世代だけど……(笑)」
――いろいろ切なくなるので止めましょう(笑)。内容に関してはどうでしたか?
minan 「台本を読んだ時は“なんだこのお話は!”って」
yumi 「“え、宇宙人!?”(笑)」
ayaka 「全然、画が想像できなかったよね」
minan 「だから、出来上がったのを見て“なるほど!”って分かるっていう」
mei 「でも、ハチャメチャな内容だけど、とにかくハッピーなんですよね。それは、リリスクってこういうグループなんだっていうのが、スゴく伝わる部分なのかなって。全員が目立つ内容になってるのも嬉しかったです」
minan 「子供の頃に見たアニメとか教育テレビでやってたドラマっぽい感じがして。キラキラ、ワクワク感は子供の頃に感じてたモノに近いし、それを自分たちが出来るようになったのが不思議な感じですね。“セーラームーンになれた!”みたいな。感慨深くなっちゃいましたね」
yumi 「アクション・シーンは初めての経験だったんですけど、とにかく楽しくて、本気でアクション習いたいなって思いましたね。本当に殴られてはないんだけど、映像でみると殴られてるように見えたりとか、知らないことが沢山あるな、面白いなって」
ami 「演技は子役をやってた時以来だったんですけど、音楽とは違うワクワクを感じられたし、楽しかったですね。そして、それはこの6人だから感じられたと思います」
hime 「メンバーがケンカをするシーンは、1対1のMCバトルみたいな形なんですね。それは、アイドル・ラップ・グループな私達らしいなって」
ayaka 「そのバトルのシーンを撮ってる時の"間"がスゴく気持ちよかったんですよね。だから、もっとこの6人でお芝居したいなって。ライヴ・シーンも3曲をカットせずにスゴく格好良く撮ってもらえたし、そこは普段の私たちのライヴとリンクしてると思いました」
VIDEO ――そしてMVが話題になった「RUN and RUN」は、結構難しいラップ・フロウの曲で。
yumi 「そうですね。私のパートはスゴく言葉が詰められてたり。でも今は、歌詞を見ながらどう自分でラップすればいいかを考えるのが楽しみだし、ピタッと合うとスゴく気持ちいいんですよね」
――それだけラップ・スキルが上がってるってことですね。
minan 「今までの曲の中で一番気持ちが込められたかなって思うし、メロディっぽい所とラップのパートの切り替えも、今回が一番よく出来たかなって」
ami 「メンバーごとに、その人っぽさが出てる歌詞とラップになってると思いますね。マイク・リレーを経て“だって自分こそ人生の立役者”って歌詞に流れる一連の展開は、歌っててスゴく(心に)刺さってきますね」
hime 「マイク・リレーのところは円のフォーメーションになってるので、みんなでサイファーみたいに掛けあって感じになってるんですよね。それぞれメンバーのヴァースがちゃんとあるので、6種類の盛り上げ方を詰め込んだ一曲になってると思います」
ayaka 「歌詞と振付がスゴくマッチしてるし、振りコピもしやすいから、会場との一体感もスゴいんですよね。だからパフォーマンスしててスゴく楽しい曲ですね」
mei 「歌ってて、スッゴい良い未来が見える、スッゴい笑顔になれる曲ですね。ヒップホップぽい曲だなって思うし、色んな階段を登ってきて、それが表現出来るようになったのかなって」
――このシングルからメジャーに進出する訳だけど、そこに不安だったりはありますか?
yumi 「“再スタート”かなって思います。今までリリスクを知らなかった人に、また届くキッカケになるかもしれないし、届けたいし、届けるために、もう一回新たに出発するっていうイメージです」
mei 「新しい人も勿論だけど、今のヘッズにも、新たなリリスクを見せたい。そして例えばtengal6時代のファンだったり、今は離れちゃった方にも、メジャーに行くことで、もう一回、リリスクに興味を持ってくれないかなって。昔応援してくれてた方に、ここまで来たよってことをステージを通して見せたい」
ayaka 「tengal6からlyrical schoolに名前が変わる時に似てるなって。今までの良さを崩さず、今まで以上のモノを見せることが出来るように頑張らなきゃなって」
――では、いまのリリスク考える“新しい自分”は?
ami 「いまは自分自身のことよりも、リリスクについて考えることが多いんですよね。リリスクで大きな会場を埋めたいとかフェスに出たいとか、そういう“リリスクとして”って部分をスゴく意識します。メジャーに進んで可能性が広がったから、このグループで高みを目指したいって改めて感じてて。だから、リリスクに対してスゴくワクワクしてるんです」
yumi 「いいことだ(笑)。私は今年、
サニーデイ・サービス さんのMVに出させてもらったり、DJしたりとかしてたんですけど、それもリリスクにフィードバック出来たらなって。だから、スゴくリリスク・モードが強いです」
minan 「モデルをやってみたいとか思うんですけど、でもそれは、その動きをリリスクに還元したいから、そう思うんだなって。だから、やっぱりリリスクが中心なんだと思うし、リリスクに100%を捧げたい。そうじゃないと、みんなをハッピーには出来ないと思うんですよね」
mei 「誕生日が4月っていうこともあって、4月に目標を決めることが多いんですけど、新体制での初めてのシングルが4月なのは嬉しいし、ここから走り出すんだなって。今の話みたいに、リリスクにみんなの気持ちが向いてるのが嬉しいし、グループとして強くなってると思いますね。その勢いでもっと速く、もっと先まで、走って行きたいなって」
hime 「私が高校生のうちにリリスク・ブームを起こしたいんですよね。知ったら絶対ハマるのにって思いがあったから、メジャー・デビューを機にもっとみんなにリリスクのことを知って欲しい。私自身、嫌なことがあったりしてもリリスクがいたから乗り越えてこれた部分があったし、私みたいにリリスクの存在で助けられる人がもっと沢山いると思うんですね。そういう人を増やしていきたいです」
ayaka 「今年に入ってから、メジャー進出やMVのこと、映画のことって良いお知らせがいっぱい出来てるので、そういう良い知らせをもっともっと増やしていきたい。今はラップをするアイドルが増えてきてるけど、私たちはその枠を超えて“lyrical school”っていうジャンルを作っていきたいんです。だから、もっといろんな挑戦をしたいし、話題を振りまくことの出来るグループになっていきたいですね」
取材・文 / 高木“JET”晋一郎(2016年4月)
lyrical school oneman live 2016 @ CLUB CITTA -RUN and RUN-
lyricalschool.com/ 2016年4月28日(木) 神奈川 川崎 CLUB CITTA'
開場 18:45 / 開演 19:15 前売 3,000円 / 当日 3,500円(ドリンク代別) ※開場前と終演後の2回、CD販売と特典会実施(開場前物販時間 17:00〜18:00)