遂に本格的な日本進出を果たすC-POP NO.1 EDMバンド、MAGIC POWER(MP魔幻力量)に迫る

MAGIC POWER(MP魔幻力量)   2015/10/09掲載
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台湾で高い人気を誇る6人組ロック・バンド、MAGIC POWER(MP魔幻力量)(以下、MAGIC POWER)。ツイン・ヴォーカルのティンティンとガーガー、リーダーでベースのカイカイ、ドラムのアシャン、ギターのレイボウ、DJのグーグーがメンバー。ヘヴィなギター・サウンド、EDM、ヒップホップなど様々な音楽がクロスオーヴァー。パワフルでグルーヴ感があり、メロディアスなナンバーも得意としている。〈SUMMER SONIC〉には昨年・今年と2年連続出演、満を持して日本デビューとなった。11月4日(水)に発売される、彼らの歩みが詰まったアルバム『THE BEST OF MAGIC POWER』の話題から、台湾のロック・シーンについても話を聞いた。
――まずは、MAGIC POWERがどんなバンドかを紹介してください。
グーグー 「MAGIC POWERは、元々4つのバンドのメンバーが集まって2009年に結成されました。MAGIC POWER自体は6年目ですが、それぞれ音楽界でキャリアを積んだメンバーなんです。アルバムを聴いていただいた方には分かると思いますが、これまでにいろんなジャンルの曲を作ってきました。楽曲制作は、作詞・作曲、レコーディング、ミックスダウンまで自分たちでやっています。今まで台湾で4枚のアルバムをリリースしました。スタイルもジャンルも変化していて、1st『魔幻力量』はヒップホップ + ロック、2nd『不按牌理出牌』はダンス・ロック、3rd『射手』からテクノの要素が加わって、4th『戰神』はこれまでの全ての要素をミックスした、新しいMAGIC POWERの完成系と言ってもいいですね」
――以前のバンドでは、誰が一緒だったんですか。
カイカイ 「僕とアシャンが一緒のバンドをやっていました。出会いが一番古くて、付き合いは10年になります」
――2009年に結成するときは、どんなバンドを目指したんですか。
ティンティン 「実は、最初はそこまで深く考えず、一緒にパフォーマンスをしようと思ったんです。でも1回やったら楽しくて、せっかくだからもっと賑やかで楽しい音楽をやってみようと、本格的にバンドとしてスタートしたんです」
――曲作りはどのように行なっているんですか。
ティンティン 「曲作りは、基本作曲から始まります。アルバムを作るときは6人がそれぞれ曲を作ってきて、どんな曲を入れるかみんなで打ち合わせをするんです。入れる曲がフィックスしてから歌詞を作り、そこからレコーディング、アレンジをしていく感じです」
――全員が作曲するんですね。6人が納得したものを楽曲として完成させていくと。
ティンティン 「そうですね。人数の多いバンドですが、基本的には、曲に対する考え方は近い意見を持っています」
アシャン 「打ち合わせをして、曲を絞るときは投票制で曲を決めていくんです」
――歌詞は、サウンドのイメージから作るんですか。
ティンティン 「いろんなケースがあります。先に歌詞をイメージしてメロディを書くこともあるし、先にメロディが浮かんでそこから言葉が広がっていくこともあったりします」
ガーガー 「歌詞のテーマは、作曲したメンバーが決めることもあります。全員、自分が体験したこと、思ったことを歌にするというスタンスは同じです。歌詞は、そのテーマから、ティンティンが広げて書いていきます」
――ツイン・ヴォーカルですが、パートの分け方はどうしてるんですか。
ティンティン 「ガーガーが声のトーンが低いので、僕が高音パート、ガーガーが中低音のパートに分けて担当してます」
MAGIC POWER / SUMMER SONIC 2015
(C)B'IN MUSIC
――では、みなさんの音楽のバックボーンをそれぞれ聞かせてください。
ティンティン 「僕は中高生のときからラップ、ヒップホップが好きでした。特に、エミネムの表現がストレートですごく刺激を受けて、大学生のときにラップのリリックを作り始めました」
アシャン 「元々高校生になるまでポップ・ミュージックしか聴いてなかったんです。でも人生で初めて行ったライヴが、台湾公演のLUNA SEAだったんです。たまたま友だちがチケットを一枚余っていて誘ってくれたんですね。そしたらすごくカッコよくて感動してロックにハマりました。そこからはヴィジュアル系のバンドを多く聴いてました。X JAPANGLAYなどのDVDをよく観るようになって、YOSHIKIさんに憧れてドラムを習い始めました。あと、リンキン・パークとかアメリカのバンドにも影響を受けました。以前にカイカイと組んだバンドはそうしたニューメタル寄りのバンドをやっていたんです」
ガーガー 「僕も中学になるまでポップ・ミュージックしか聴いてなかったんです。大学になって、ある日、同級生から台湾のメイデイ(MAYDAY / 五月天)のアルバムを渡されて、そこからロックを聴くようになりました。バンドが作り上げたサウンドのパワーに惹かれましたね。そこから、グリーン・デイとかいろんなバンドを聴くようになって、初めてバンドを組んだんです」
MAGIC POWER / SUMMER SONIC 2015
(C)B'IN MUSIC
グーグー 「僕はずっとロックを聴いていて、日本のバンドが好きでした。昔はドラムをやっていたんです。日本のtoeの柏倉隆史さんにすごく憧れていて、ドラムのセッティングも同じにしていました。toeが初めて台湾に来たときに僕のドラムを貸したんです。それからは、柏倉さんが台湾に来るたびにドラムを貸すようになって、徐々に覚えてもらいました(笑)。今は、主にヒップホップを聴いてます。ドラムからDJをやり始めたのは、新しい音楽の表現を作りたかったからなんです。日本だとRIP SLYMEが好きで、PESさんのソロアルバム『素敵なこと』がすごく好きです」
カイカイ 「僕はニューメタルが好きで、コーン、リンキン・パーク、Dragon AshRIZEとかを聴いてます。KenKenさんのベースがカッコよすぎますね」
レイボウ 「高校生のとき、X JAPAN、LUNA SEAの影響を受けてバンドを始めました。音楽の仲間ができて、徐々にパンクを聴くようになったんです。そこからいろんな音楽を聴いて、最終的に自分が最も好きなジャンルがファンクだと気づいたんです。レッド・ホット・チリ・ペッパーズから入って、ブラック・ミュージックも聴くようになりました」
――みなさん、いろいろな音楽を聴いていますね。様々なサウンドがミックスしたMAGIC POWERの音楽が作られていることがよく分かりました。では、ベスト・アルバム『THE BEST OF MAGIC POWER』の楽曲に触れながら話を聞かせてください。台湾での最新アルバムのタイトル曲で、パワフルかつメロディアスな「戰神(Fighting for Love)」は、どのようなところにこだわって作っていったんですか。
ティンティン 「〈戰神(Fighting for Love)〉は、3つのパートで分かれているんです。最初思いついたのはガーガーのヴォーカルの部分。低めのトーンでシャウトして、サビの部分につながり、最終的にサウンドだけになるという構成です。歌詞は、『スター・ウォーズ』のアナキン・スカイウォーカーをイメージしています。恋愛の歌で、ストレートな想いを書きました。その中に戦いを思わせるキーワードがたくさんあるんですが、それは男の人が女の人を守りたい気持ちを戦いに例えました」
――あと、MAGIC POWERを代表する曲をベスト・アルバムから挙げてもらえますか。
カイカイ 「今回のベスト・アルバムに、日本語ヴァージョンが収録されている2曲ですね。ひとつはアップテンポの〈射手(Shooter)〉、もうひとつはバラード〈我還是愛著你(I Still Love You)〉。MAGIC POWERを知るためには、まずはこの2曲からですね」
――「射手(Shooter)」は、どんなイメージで作られた曲ですか。この曲の、シューターダンスも話題になったそうですが。
ティンティン 「中国語の歌詞を書いたときに、アジアの有名なシューターと、西洋の有名なシューターの2人をイメージしたんです。ひとりは、中国のホウイという太陽に向かって矢を刺した人、西洋のシューターはキューピットです。MAGIC POWERが初めてテクノの要素を盛り込んだ曲で、この曲を初めて披露するときに、どうやってみなさんに覚えてもらえおうかと考えたときに、振り付けを作ることにしたんです」
カイカイ 「この曲が台湾で幅広く知られるようになったのは、いろんな番組に出演したときに、共演したアーティストの方に協力してもらい、シューターダンスを踊ってもらったことですね。それをひとつのビデオにして有名になりました。みなさんのおかげです」
ティンティン 「ちょうど台湾でライヴがあったので、日本で活躍するシェネルさんも踊ってくれたんです」
――そうなんですか。この曲がきっかけで、MAGIC POWERのEDM的なサウンドが確立していったんですね。
ガーガー 「そうですね。そこからダンス・ナンバーが多くなっていきました。先ほど話にも出ましたが、この6人でバンドを結成したときは、出会って間もなかったんです。でも、すぐにレコード会社と契約してアルバムを作ることになって、最初の2枚はいろんなタイプの曲が入っていました。どの方向性に絞ろうという発想ではなかったんです。でも〈射手(Shooter)〉ができたことで、やっと6人でのバランス、方向性が見えていったんです」
――そして、「我還是愛著你(I Still Love You)」は、切ないメロディのバラードですが、音の広がり感もある曲ですね」
ティンティン 「この曲が、MAGIC POWERの中で一番反響が大きかった曲なんです。歌詞の内容は、ほんとは好きで一緒になりたいけど叶わなくて、でも忘れられないって切ないストーリー。でも最後は、この想いを持ち続けて前を向いていこうという内容なので、サウンドも最後の方で広がりを持たせるように作りました」
――この2曲の日本語ヴァージョンのレコーディングのエピソードを聞かせてください。
ティンティン 「練習をしてから日本でレコーディングをしたんですが、日本語で歌うことに慣れていないし、原曲と発声の位置も変えたりしているのですごく大変でした」
ガーガー 「でもがんばった成果は出せたと思うので、ぜひ日本のみなさんに聴いてほしいです」
――さて、話題を変えて、台湾のバンド・シーンについて聞かせてください。
ティンティン 「一番人気があるのは、やはりメイデイですね。あと、Sodagreenというバンドも人気があります」
グーグー 「MAGIC POWERと同世代のバンドだと、Fire EX.(滅火器 / 消火器)というグループは、若い世代の思いや社会問題を歌っていて、若い世代から共感を得ています」
――台湾は、パンク・バンドが多いイメージがあるんですが。
カイカイ 「Fire EX.も、パンクの曲が多いですね。最近はポップ寄りになってきましたが。確かに、5〜6年前はパンク・バンドがすごく多かったんです。かなり日本のバンドから影響を受けてました。今はいろんなジャンルのバンドがいて、例えばこの間一緒にフランスに行ったMY SKIN AGAINST YOUR SKINとMISS KOとか」
レイボウ 「台湾の新しいバンド、Cosmos People(宇宙人)もすごく期待されてます。彼らは日本でMVを撮影していて、前はファンクの曲が多かったんですが、いろんな要素が増えました」
――では、MAGIC POWERの今後の活動を聞かせてください。
ティンティン 「日本では、11月に大阪と東京でライヴがあるのですごく楽しみにしています。今回やっと、いつも台湾でやっているフルのステージを日本のみなさんにお見せすることができます」
カイカイ 「そしてバンドとしては今、5枚目のアルバムを制作中です。基本的には、テクノ + ロックがメインとなりますが、これからもいろんな可能性を追求していきたいんです。メンバー全員がいろんな要素を吸収して、これからまた違うものをできるように、みんなでがんばっています」
取材・文 / 土屋恵介(2015年8月)
MAGIC POWER単独来日公演
THIS IS MAGIC POWER!
〜THE 1st JAPAN TOUR 2015〜


[大阪公演]
2015年11月27日(金)
心斎橋 MUSE

開場 18:30 / 開演 19:00
5,000円(オールスタンディング・税込・別途1ドリンク)
チケット一般発売 10月24日(土)10:00〜

※お問い合わせ キョードーインフォメーション 06-7732-8888



[東京公演]
2015年11月29日(日)
原宿 アストロホール

開場 17:30 / 開演 18:00
5,000円(オールスタンディング・税込・別途1ドリンク)
チケット一般発売 10月24日(土)10:00〜

※お問い合わせ クリエイティブマン 03-3499-6669
www.creativeman.co.jp/artist/2015/11magicpower/

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