特集 人気ドラマ『週刊真木よう子』 〜主演女優・真木よう子インタビュー〜

真木よう子   2008/09/24掲載
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 テレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知、テレビせとうち、テレビ北海道……など全国11局ネットでオンエアされた話題のドラマ『週刊真木よう子』。このドラマは毎回、“真木よう子が主演で、異なる出演者で、異なる脚本家と演出家で”というコンセプトで放送された、ラブ・ストーリーあり、コメディあり、ホラーありのオムニバス・ドラマ。このDVDボックスが9月26日に発売される。

 そこで、ドラマの魅力を真木よう子に話を訊いた。また、本日リリースされたドラマのオリジナル・サウンドトラック『週刊真木よう子 ORIGINAL SOUNDTRACK』の聴きどころも紹介!!


「12話全く違う人格をどうやって見せていくのか、
というのが自分のなかでどんどん楽しみになって……」


――全12話ものタイトルを短期間で撮影されたということですが、撮影を終えられた今の感想は?

「すごく楽しかったです。なかなかない経験だし。最長でも3日間、最短では1日で撮影するようなタイトなスケジュールのなかで、12話全く違う人格をどうやって見せていくのか、というのが自分のなかでどんどん楽しみになって。役者としてだけではなくて、作り手側の1人として参加させてもらえた作品でした」

――そんなスケジュールのなかで、1話ごとに新しいキャラクター作りをされるのは大変でした?

「私はいつも脚本を読んだときの最初のインスピレーションで役柄を把握するんです。一番初めにイメージする人物像というか。それを大事にしたいと思ってます」

――今回、最初に撮影されたエピソードは?


――最初の撮影での思い出はありますか?

「相手役の正名さんがほんとにお芝居のうまい方で。今回はどの話の共演者の方もお芝居の上手な方ばかりだったので、現場ですぐに芝居に入ることができました」

――『チー子とカモメ』永作さんとの共演はいかがでしたか?

「すごくお上手なうえに、ほんとにキュートで可愛らしい方でした」

――『おんな任侠筋子肌』での阿部サダヲさんとの共演はいかがでしたか?

「阿部さんの出演は私が希望したんです。阿部さんのところに行って、〈阿部さんが必要なので、ぜひ手助けをお願いしたい〉と。そしたら阿部さんがOKしてくださったんです」

――他に真木さんのほうからリクエストがあった方はいますか?

江口のりこさんです。彼女もすごく面白い俳優さんなので。『トラ・トラ・トラ』の場合は、あの4人のなかに江口のりこさんがいれば間違いないかなと思ってました」

――『トラ・トラ・トラ』の前半は、ずっと出演者4人のトークを長回しで撮ってますが現場はどんな感じだったんですか?

「あれは1回リハーサルしただけで撮影したんです。でも、私を含めて4人全員リハーサル前にセリフを頭のなかに入れてきたんで、自然体な感じですんなりできました」

――ダンスはいかがでした?

「私は得意でした(笑)。身体を動かすのは好きなんです。ダンスはまたやってみたいですね」








「正直、何だかちょっとよくわからないようなところはありました(笑)」

――『おんな任侠筋子肌』では山口雄大監督の世界が展開していましたが、現場はどんな感じだったのですか?

「まず脚本が独特ですからね。今まで、ほとんどコメディやったことなかったので、『恋泥棒ヨーコ』とか『おんな任侠筋子肌』は、正直、何だかちょっとよくわからないようなところはありました(笑)。でも〈よくわからないんだったら、よくわからないままやってくれていい〉ってアドバイスを頂いたので、後は監督にお任せするかたちでした」

――コメディをやってみた感想は?

「“どれだけ必死になれるかっていうことなのかな”って思いました。一所懸命やればやるほど滑稽だし、熱くなればなるほど面白くなっていく」

――『恋泥棒ヨーコ』の共演者がまた個性豊かな方ばかりですよね。

「事前に負けないようにって言われてました(笑)。私の役もへんちくりんな役だし、とても面白い芝居ができたと思います」

――『中野の友人』はまったくセリフのない役ですが、最初に本を読まれたときどうお感じになりました?

「一番最後に女子高生だということがわかるんですけども、それまでは男か女かも性別すらわからないような感じでやってほしいと言われたんで、それを意識して演技しました」

――『蝶々のままで』では、タナダユキ監督が唯一の女性監督として参加」されています。物語も一歩女性の内面に踏み込んだ内容になっていたと思うんですが、タナダ監督とは女性同士やりやすかったことはありますか?

「そうですね、女性の監督でしたけど、タナダさんもすごくサバサバしてて、あまり無駄なこと喋らないし。大好きな監督ですね」

――『スノウブラインド』は雪山ロケで、かなり寒そうでしたが現場はいかがでした?

「そんなに寒くはなかったんです。雪は積もっていても、撮影時は晴れてたんで。一番寒かったのは『おんな任侠筋子肌』のときですね。新宿で撮ったんですけど、突然雪が降り出したりしてとんでもない寒さでした」








「歌を歌うのは好きなんですけど、歌唱力はないと思ってます(笑)」


――今回、演じられたキャラクターのなかで、これまであまりやったことがないタイプで印象に残っている役柄はありますか?

「どれも今までやったことない役ですけど、『景色のキレイなトコに行こう』とかかな」

――この役については、どういう風に役作りをされたのですか?

「原作があったんですよ。まずそれを読んで、監督にどんなイメージなのかをまず聞いて、そのイメージに近い作品、例えば“この映画のこの役の感じ”みたいなものがあればヒントをもらえないですか、と訊いたりしながら作り上げていきました」

――オープニングで主題歌も歌われてますが、歌われてみた感想は?

「歌を歌うのは好きなんですけど、歌唱力はないと思ってます(笑)。でも今回の曲は、私の声で歌いやすいように作って頂いたのだと思います。だから、そんなに大変だったという記憶はないですね」

――今後こんな役をやってみたいとか、こういう映画にでてみたいというのがあれば教えて下さい。

「自主制作で何か作ってみたいです」

――自分でも監督してみたいというお気持ちはありますか?

「撮ってみたいですね。そういう願望はあります」



取材・文/村尾泰郎(2008年8月)





Column 1
『週刊真木よう子 ORIGINAL SOUNDTRACK』で
“女優・真木よう子”の音楽を楽しむ


 スチャダラパーSHINCOをはじめ、TOKYO No.1 SOUL SETSLY MONGOOSEのメンバーが縦横無尽に入り乱れて作り上げた『週刊真木よう子』のサウンドトラック。ドラマのための書き下ろし楽曲をベースにした全16曲を収録している。作風の異なる12本のドラマに合わせて曲調も多種多様だが、全体のムードは不思議と統一されている。どの曲も気だるく色っぽく、そこはかとなく哀愁が漂い、ちょっぴりいかがわしい。つまりこれ、“女優・真木よう子”のサウンドトラックでもあるのだと思う。

 ダルくて重いグルーヴが得体の知れない不安と恍惚を呼ぶSLY MONGOOSEの「infant of Darkness」。浮遊感あるビートとエコーの効いたハミングでノスタルジックな空気を醸すTOKYO No.1 SOUL SETの「e-on」。いずれもバンドのファンは必聴の新曲がズラリと並ぶ。そしてなんといっても聴き逃せないのが、真木よう子が歌う番組のオープニング・テーマ曲「GEE BABY AIN'T I GOOD TO YOU」。ジャズのスタンダードにスチャダラパーのBOSEが歌詞を付け、SHINCOがプロデュースしたこの“お宝音源”。深夜にテレビから流れるセクシーな歌声に悩殺されていたみなさん、ついにCD化です。

 ちなみにエンディング・テーマの「ライツカメラアクション」は、枯れた趣のあるインスト・ヴァージョンを収録。男の下心を歌ったスチャダラパーのラップ・ヴァージョンは6月にリリースされた彼らのシングルに収録されているので、こちらもあわせてどうぞ。(廿楽玲子)



Column 2
“無難”を飛び越えたドラマ『週刊真木よう子』


 真木よう子は“そそる”女優だ。妙にトーンの低い声が、かったるそうな佇まいが、インタビューにおけるテキトーな発言が、危うくていい。とことん自分至上主義っぽくて、それは女優として最高のスタンスだと思うけれど、生きにくいだろうなあとも思う。その「自分、不器用ですから」な感じがまた、ムダに愛想を振りまかない表情と合致してグッとくる。そして心配になる。ちょっとエキセントリックすぎやしないか、そろそろ男子は引くんじゃないか……と勝手にハラハラしている私は、すっかり真木よう子にハマっている。

 『週刊真木よう子』は、そんな彼女の資質を存分にいかしたオムニバス・ドラマ。出演者も演出家も脚本家も異なる全12話には、アクションあり、ラブ・ストーリーあり、人情ものあり……とにかく全編、深夜枠ならではのやりすぎ感があって痛快だ。“白い粉”をめぐる雪上のサスペンス『スノウブラインド』で飛び散る鮮血、新橋系“セックス・アンド・ザ・シティ”というべき『トラ・トラ・トラ』のお下劣ガールズ・トーク、不条理コントみたいな『恋泥棒ヨーコ』の不謹慎なパロディ・ネタなど、タブーぎりぎりのシーンが満載。そして真木よう子は、セックス依存症の主婦、腕がスジコになったヤクザ組長の情婦、全身整形した犯罪者など、ありえない役柄を体当たりでモノにしていく。そのアナーキーなパワーに、久々に深夜テレビの底力を見た気がした。

 そう、『週刊真木よう子』は“異質”な女優による“無難”を飛び越えたドラマ。おもしろくないわけがない。(廿楽玲子)
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