リーダー・バンドであるCINEMAにてデビュー以降、長きにわたって優れたメロディメイカーとして第一線で活躍を続ける松尾清憲が約3年ぶり、ソロでは11作目となるアルバム『All the World is Made of Stories』を9月26日にリリースする。“ずっと同じようなことをやるのが苦手なんです”という本人の言葉に象徴されるように、Languageの掛川陽介と本澤尚之をサウンドプロデューサーに迎え、エレクトロニカにチャレンジするなど、原点回帰にも似た、音楽への強い意欲を感じさせる作品だ。
――表題曲でもある1曲目「All the World is Made of Stories」を聴いて、“これから何が起こるんだろう”とワクワクしました。
「タイトルは、アメリカの女性詩人Muriel Rukeyserの言葉がヒントになっていて、まるでアルバム自体も導かれたようなフレーズでしたね。サウンド的には、サビにコーラスを入れてポップな雰囲気。このビートに生ドラムが欲しくて、鈴木さえ子さんにお願いしました。そうそう、今回プロデュースしてくれたLanguageの掛川さんと本澤さんは、さえ子さんを通じて知り合ったんです。掛川さんは〈愛しのロージー〉のころにはもう面識がありますね。仕事としては、本澤さんには『One More Smile』(2011年)や、CDブックの『チョコレート・ラヴ』(2010年)のミックスをしてもらったり」
「去年の夏にミーティングして“数曲ずつでもゆっくり始めてみましょうか”って出来たのが〈I Love You, Girl〉かな。〈雨のスペースロケット〉もかなり最初のほうですね」
――「I Love You, Girl」はシンセとギターの音色がコラージュされたような曲ですね。
「口笛なんかも入って、ちょっとアナログな感触。この曲が出来たことで、お互いに“こういう感じでやろう”という手がかりになった。その後〈All the World is Made of Stories〉で、力強くてポップなアルバムとしてのイメージがはっきりしました。それまでは"アルバムに出来たらいいね"って感じで、確信は持てていなかったなあ……。2曲目〈Midnight Train Called Desire〉はパワフルなドラムと女性コーラスが華やかでいいでしょ? これは、さえ子さんとLanguageのkaoriさんにお願いしました」