生々しいライヴ感が心を刺激する ダイナミズムとスケール観を増した、マキシモ・パークの3作目

マキシモ・パーク   2009/04/30掲載
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生々しいライヴ感が心を刺激する ダイナミズムとスケール観を増した、マキシモ・パークの3作目
 2005年、WARP初のロック・バンドとしてシングル「Apply Some Presure」でデビューしたUKの5人組、マキシモ・パーク。2007年に発表した2ndアルバムが全英2位を記録し国民的人気を獲得した彼らが、2009年5月、3作目となるアルバム『クイックン・ザ・ハート』を発表。つねに進化し続けてきた彼らの最新作は、興奮必至のエネルギッシュな作品に仕上がっており、本作を引っさげてのツアーは全公演ソールドアウト。待望のリリースを前に、ヴォーカルのポール・スミスに話を訊いた。


  2007年の前作『アワ・アースリー・プレジャーズ』が全英チャート2位を記録し、着実に人気バンドとしての足場を固めつつある英ニューキャッスルの5人組、マキシモ・パークが、待望の新作『クイックン・ザ・ハート』をリリース。

 前作はピクシーズフー・ファイターズなどで知られるギル・ノートンをプロデューサーに迎え、タイトでハードエッジな音を聴かせてくれたが、新作ではキリング・ジョークPILなどの名作を手掛けたポスト・パンク時代の名プロデューサー、ニック・ローネイを起用し、生々しいライヴ感覚のサウンドに仕上がっているのが話題だ。
 「僕たちはつねに、ありのままの姿をアルバムで表現することを心掛けているんだけど、今回僕たちが望むサウンドを作れるのがニックだったんだ。彼が手掛けたグラインダーマンの新作が最高だったのと、僕の好きなケイト・ブッシュも手掛けていて、彼女のポップだけどほかとは違うユニークなサウンドが大好きだから、彼にアプローチしたんだ。そしたら彼も僕たちの音を気に入ってくれてね」(ポール・スミス/vo/以下同)





 ニック・ローネイの提案でLA録音された新作のサウンドは、一段とシャープ&エネルギッシュ、そして演奏のダイナミズムとスケール観も増し、バンドの成長がダイレクトに音に反映されているのが聴きどころだ。
 「今回はたったの4週間で完成したんだ。ギルは完璧主義者だから小さなミスも許さなかったけど、今回は何かミスしたとしても、それがよく聞こえるのであればみんなで話し合ってそのまま活かすこともあった。あと今回の方がテンポよくスムースに録音されているから、より快活に聞こえると思うよ。実際、今までの中で一番ダンサブルだと思うしね」

 そんな本作の収録曲がいつになくバラエティに富んでいるのは、各メンバーの曲作りへの関わり方も積極的になり、さまざまな組み合わせで書かれているからなのかもしれない。
 「名前が先に書いてある方が作曲者、後者が作詞者なんだ。今回はこれまで以上に僕も詞だけじゃなくメロディも書いたし、〈The Kids Are Sick Again〉は先に僕が歌詞をダンカンとルーカスに渡し、メロディを付けてもらった初めての曲なんだ。それまではいつもメロディが先だったからね。もともと僕らはいつも全員で共作するような感じで曲を作ってきたけど、今回のプロセスはそれがもっと近く、より混じり合ったような感じだった。以前よりもっとバンドになったって感じかな。全員が積極的に曲作りに関わり、お互いにアドバイスし合った。いいことだよね」

 そして本作のタイトル『クイックン・ザ・ハート』は、直訳すると“心を活気づける、刺激する”という意味で、まさに音の印象そのままだ。
 「このタイトルが、アルバム全体を表わすのに一番ダイレクトで適した言葉だと思ったんだ。このアルバムを聴いて、まるでレースを観ているかのような興奮をみんなに味わってほしいと思っているからね。このアルバムの内容と同じように、タイトル自体もシンプルで素直なものにしたかったんだよ」

 新作に伴うUKツアーは全公演が瞬時にソールドアウトとなり、この夏も欧米のサマー・フェスでスケジュールがギッシリという彼ら。
 「日本は大好きな国だし、今年の後半には必ず行きたいと思ってるんだ。だからそれまで楽しみに待っていてほしいな」



取材・文/保科好宏(2009年3月)
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