世界的な大ヒットを記録し、彼らを一躍“ロック・スター”へと押し上げた2006年の
『ザ・ブラック・パレード』から4年。待望のニュー・アルバム
『デンジャー・デイズ』がリリースされた。前作では“死”というテーマに向き合い彼ら独自の死生観をたくみに描き出したが、本作では2019年を舞台にした“キルジョイズ”なるギャング軍を主人公にしたコンセプト作品となった。ガレージ・パンクからサイケ、ヘヴィ・ロックにバラードまでを揃えたカラフルな楽曲群は、総じてキャリア最高にポップ性にあふれた仕上がり。結果としてより間口を広げたさらなる飛躍を確信させる一枚が完成している。
――物語の主役に“ギャング”という反社会的な対象を持ってきていますが、なにかパンク・バンドとしての反逆精神みたいなものはあったのですか?
ジェラルド・ウェイ(vo/以下、ジェラルド) 「反逆というものがあるとすれば、それは自分自身に対してだね。モダン・ロック・カルチャーに取り込まれて、きちんとした人に見えるようにちゃんと髪を切って、よし、人々が俺たちを仕立て上げたいと思っている望まれるロック・バンドを目指そう、ってな姿勢に対する反逆だ。だから、何らかの組織に対するモノではないよ。俺は“キルジョイズ”を単なる生存主義者としてみている。ただ、とんでもないことをやらかしたりするだろうね。このアルバムから2作目か3作目のシングルのミュージック・ビデオでは、俺たちは多分、警官を撃つことになると思う。つまり、なんと言うか、そうしたほうが、カラフルになるんだ。白と黒だけじゃなくて」
フランク・レロ(g/以下、フランク) 「俺たちにとって最大の役割っていうのは、アルバムを作って、“これは期待以上だ”って感じることだと思う。リスナーが本当にいいと言ってくれたとしても、自分たちで見直してみて100%満足のいくものじゃなかったら、もしそう感じたらその作品は出すべきじゃないんだ。そうやって、つねに死に物狂いで素晴らしさを追い求めていくことになるのさ。自分がつまづくところまで、先を見通すって訳じゃないけど、でも、自分に対して最高に厳しい批評家であるべきで」
ジェラルド 「うーん」
フランク「そして本気で自分を追い詰めるんだ」
ジェラルド 「そう」
フランク 「いや、ヘンなことかもしれないけど。時としてグレイトな曲も出来るけど、そうじゃなかったら俺自身が思い出すこともないだろうからね」
ジェラルド 「そうだ、曲が自分たちに響かなきゃダメだよね」
――そもそも、本作のコンセプトはどのようにして出来上がったんですか?
ジェラルド 「最初はコミックとして始まったんだ。ショーン・サイモンという友人とね。彼はフランクが一番始めにいたバンドのメンバーでもあって、俺たちは昔からバンド仲間としてアメリカ各地を見て回った。それは当時、初めての経験で、世界や住んでいる国についての考えを明確に持つようになって、観察するようになっていった。それから数年が経って、彼はコミックのアイディアに活かしたんだ。俺は俺でやっぱりコミックのアイディアがあって、それらを組み合わせてみたのが本作のきっかけなんだよ」
――コミックとしてのアイディアをサウンドとして完成させていく中で、影響を受けたものや参考にしたものはありましたか?
ジェラルド 「
デヴィッド・ボウイの
『ジギー・スターダスト』には大きな影響を受けたよ。ま、それは学生時代の頃からで、しかもメンバー全員が彼の大ファンなんだけどね。ボウイの影響がしっかり出始めたのは『ザ・ブラック・パレード』からで、そのあたりから僕らの音楽性はグラムっぽくなった。今回のアルバムは、ボウイでいうと
『ダイヤモンドの犬』っぽい。アルバムが完成するにつれて、たくさんの共通項が出てきたよ。本作は高いコンセプト性を持った作品ではあるけど、一曲聴けばだいたいストーリはつかめる。残りの曲では、異なる世界が描かれてるってだけなんだ」
フランク 「アルバムが完成に近づくにつれて、コンセプトも完全な形になっていったんだ。でも、たとえば“この曲は凄くいいけど、コンセプトに合わないから入れない”とか小さなことは考えなかったな。自然とすべてが一つの形になっていった」
――もともとアニメが元だったとのことですが、制作にあたって視覚的に影響された作品はありますか?
ジェラルド 「映画を流しながら録音するのが好きなんだ。
『ブレードランナー』の影響は大きかったね。いつもレコーディング中はフィルムをかけているんだけど、今回はじっくりと鑑賞した。それで、なぜか自分たちがアーティストとしての危機に瀕しているような気持ちになってきた。実を言うと、『ブレードランナー』の元のタイトルは『デンジャー・デイズ』だったんだって! メイキング・ドキュメンタリーまで観て、“俺も
リドリー・スコット”みたいにじっくり掘り下げなきゃ”って思ったんだ。それから東京(日本)からの影響も大きいよ。
大友克洋や
松本大洋の作品からも確実に影響されてる」
――ほかにも好きな日本人監督はいるんですか?
構成・文/房賀辰男(2010年10月)
<マイ・ケミカル・ロマンス JAPAN TOUR 2011>
●日程:2011/1/31(月)
●会場:大阪城ホール
●時間:OPEN17:30 START 19:00
●料金:TICKET ¥6,800-(アリーナ立見・スタンド指定/税込)
(問)キョードーチケットセンター 06-7732-8888
チケット発売日:12/25(土)〜
●日程:2011/2/2(水)
●会場:愛知県体育館
●時間:OPEN 18:00 START 19:00
●料金:TICKET ¥6,800-(1F立見・2F指定/税込)
(問)サンデーフォーク052-320-9100 チケット発売日:12/26(日)〜
●日程:2011/2/5(土)
●会場:横浜アリーナ
●時間:OPEN17:00 START 18:00
●料金:TICKET ¥6,800-(アリーナ立見・スタンド指定/税込)
(問)クリエイティブマン 03-3462-6969 チケット発売日:12/25(土)〜
●日程:2011/2/6(日)
●会場:横浜アリーナ
●時間:OPEN17:00 START 18:00
●料金:TICKET ¥6,800-(アリーナ立見・スタンド指定/税込)
(問)クリエイティブマン 03-3462-6969 チケット発売日:12/25(土)〜