connie
Negiccoに楽曲提供するメインの作家にして彼女たちの最古参オタでもあるというユニークな存在、connie。メンバーが絶大な信頼を寄せる彼に、Negiccoと出会ったきっかけや彼女たちの魅力について、そして
『GET IT ON!』についてたっぷりと語ってもらった。
――Negiccoの作家になった経緯を教えて下さい。
「新潟でJ-POPオンリーのクラブ・イベント<トキメキ★ハイスクール>を2003年から主宰しているのですが、そこへNegiccoにゲスト出演してもらったことがきっかけです。同年7月のデビュー・イベントを観て以来、最古参ファンとしてずっとおっかけをしていたので“せっかく出てもらえるなら、オリジナル・ソングを歌ってもらいたい!”という発想で作ったのが<トキメキ★マイドリーム>です。それが持ち曲として採用されて、次の曲、また次の曲……と続いてきた感じです」
――作曲の際に心掛けていることはありますか?
「私は音楽的な教育を受けたわけではないですし、才能もないと開き直っているので、聴いてきた音楽の好きな部分をミックスして新たなものができたらそれをオリジナルと呼んでいいのかなって思うようにしています。ただ、“鼻歌で歌いたくなるメロディ”というのは本当にいい曲なんだろうなと思っています。日常生活の中で自分の曲をふっと鼻歌で歌ってくれたら最高に幸せですよね」
Kaede
――ダンスを想定して曲を作りますか?
「具体的にイメージして作ることはありませんが、作曲しているときは3人がステージで踊っている姿が見えますし、作詞しているときには3人それぞれの歌声が聞こえます。さんざんライヴを観にいったり会話したりしているせいですかね。Negicco版・初音ミクの音声データベースが脳内にあって、その歌声が聞こえてくるみたいな感じです」
――“Negiccoは他のグループと違ってここが長所である / 短所である”と思うところを挙げて下さい。
「何なんでしょう(笑)? 一度ライヴを見るとなぜか応援したくなっちゃうところでしょうか。性格や人柄でもあるんでしょうけど、歌もダンスも“上手すぎない”、“スキがある”からこそいいのかもしれません。でも“応援したくなる”というのはプロとして一番大切なものを持っている証だと思っています。短所は真面目すぎるところかな? ふざけていい場面でも、3人とも根が真面目だから“惜しい! もうちょっとこうすれば!”と思うことは多々あります。逆にそれが上手くできない不器用な感じも“らしさ”ではありますが」
Nao☆
――「GET IT ON!」はあらかじめNegiccoへ提供することを想定して書かれたのでしょうか?
「前述した自分のイベントで、私が歌うことを想定して数年前に作ったんです。Negiccoが歌うにはキーの幅が広すぎるのと、ちょっと大人っぽすぎるという印象でした。でも改めてこの曲を歌ってもらったらすごく良くて、今回のCD収録に至りました。実は、いつかはNegiccoが歌うかもという予感みたいなものはありました。<ガッター!ガッター!ガッター!>の歌詞にも“美しいこの街を 守りたい 手と手つないで Get It On!”とありますが、これはまさにこの曲のタイトルを入れ込んだものです」
――「ガッター!ガッター!ガッター!」は
Pizzicato Five「東京は夜の7時」へのリスペクトが込められたオマージュになっていますが、そうなった経緯を教えて下さい。
「Pizzicato Five、そして
小西康陽さんの音楽が大好きだからです! 小西さん、Negiccoに曲作ってください!!! この曲は『超耕21ガッター』という新潟のヒーローのエンディング・テーマ曲として作ったのですが、サビにタイトルを入れられないかな?という発想から始まって。“ちょうこ〜う〜 にじゅういち”と鼻歌でいろいろなメロディに当てはめて歌っているうちに、どうやっても<東京は夜の7時>のメロディが脳内で鳴ってきてしまって、これはこの路線しかない!と確信しました(笑)。最初、イントロのどアタマに“♪ちょうこ〜う〜 にじゅういち がった〜”のフレーズを入れてデモを作ったらガッターの関係者に“さすがにやりすぎだ!”と怒られました……。最終的には私の独断で曲の最後に入れ込みました!」
Megu
――「Falling Stars」を改めて録音することになった今の気持ちをお聞かせ下さい。
「私がNegiccoに作った2番目の曲ですが、この曲はファンの方からも評判が良くて自分にとっても特別な曲です。歌詞は、地元を離れ、夢を追うために都会に旅立った恋人への気持ちを歌ったものですが、これは当時、東京のイベントに出演する機会が増えてきたNegiccoへの気持ちを重ね合わせているんです。夢を叶えて有名になってしまったとしても、地元を忘れないで、またあの場所(新潟市の古町商店街)で会いたいね、というファンからのメッセージを込めたものです。今、Negiccoは当時よりももっと大きなチャンスを掴もうとしています。でも彼女たちは基本的には変わってないんですよね。地元を盛り上げたい!と、ライヴでも新潟を話題にしたり、愛してくれていることを誇りに思います」
――本作を聴かれてみてどんな感想を持ちましたか?
「ジャケット写真もそうですが、今までのかわいいイメージとは違う大人っぽさを感じます。8年間活動を続けてきた彼女達の今の姿が自然に現れているような気がします。徐々にですが、さまざまなジャンルの方々から支持を集めはじめてきた自信もあるのでしょうね。アイドルという枠にとらわれないアーティストに成長しつつあるのかなって最近特に思ったりもします。再録音の曲については、中高生の頃の声と今とでは曲の印象がかなり違いますね。声の出し方や歌い方も変わっている気がします。今だからできる表現もあるんだと思います。実際、彼女たちはちょくちょく振り付けを変えていてその時代の感覚にあった表現をしています。“やりすぎ!”とも思えますけど、こだわりがあるんでしょうね。常に向上心があるという意味ではさすがだな、とも思います」
取材・文/南波一海(2011年7月)