最近は10代の若いアーティストが続々と台頭してきているが、またもや強者が登場。全員平成生まれ、蒼山幸子(vo、key)、沙田瑞紀(g、cho)、藤咲佑(b、cho)、澤村小夜子(ds、cho)からなる4ピース・ガールズ・バンド、
ねごと。ティーンエイジャー参加型ロック・フェスティヴァル『閃光ライオット』で審査員特別賞を受賞し、大学進学後、本格的に活動を開始。ファンタジックな歌詞とソフトで力強いヴォーカル、浮遊感とパワフルさを兼ね備えたメロディアスなサウンドを聴かせる彼女たち。曲ごとに違った表情を見せる、ひと筋縄じゃいかないねごとの魅力、これからの可能性を大いに秘めた、彼女たちの一歩目となる1stミニ・アルバム『Hello! "Z"』について話を訊いていこうじゃないか。
――まずは、ねごと結成の経緯から聞かせてください。
――では、オリジナルを最初に作ったきっかけは?。
蒼山「(第1回目の)『閃光ライオット』の応募のときだったんです。それも、高3最後の夏休みの思い出作りに野外ライヴしたいって思いからで、コピーよりもオリジナル曲があった方がいいなって軽い気持ちだったんです」
――そうだったんですか。そのとき、すでに「ループ」を披露してますよね。
蒼山「はい。<ループ>は1日でできた曲で、ワクワクしながら楽しんで作ったんです」
沙田「コンセプトもなく、面白半分で作ったような感じで(笑)」
藤咲佑(以下、藤咲)「挑戦しながら、楽しみながらできたなって」
澤村小夜子(以下、澤村)「サラッと作れたのが、のちのちよかったのかなって思います」
――なるほど。『閃光ライオット』のあと、大学進学後に本格的に活動をスタートさせたそうですが、ライヴや曲作り、気持ちの変化もあったんじゃないですか。
沙田「前は、バンドやってるのが楽しいってだけだったけど、この2年間の活動でライヴに来てくれる人が増えて、どんな曲を作ればもっと楽しんでくれるかなっていうのはすごく考えるようになりましたね」
――そもそも、ねごとってバンド名はどうやってつけたんですか。
蒼山「覚えやすい3文字にしたかったんです。
くるり、
ミドリ、ねごとみたいな感じで(笑)。ちょっとふざけた感もあるし、夢の中でなんでもできちゃうし、いいなって(笑)」
――楽曲にその雰囲気は出てますね。
蒼山「曲はポップだけど、どこか変なとこがあるのが、ねごとのよさだと思ってます」
――では1stミニ・アルバム『Hello! "Z"』は、どんな作品を目指したんですか。
蒼山「1枚目だし、ねごとを紹介できる一枚にしたくて。ねごとって1曲じゃ分からないバンドだと思ってるから、ジャンルに関係なくこういう曲もあるよってことを伝えたかったんです。基本、ライヴでやってきた曲たちだけど、<透き通る衝動>だけ今年に入ってアルバム用に作ったもので、曲への意識が違うんです。なので、これまでと今現在のねごとが入った一枚になったと思います」
――「ループ」を始め、歌詞の世界観はファンタジックでありつつ、言いたいことが詰まってるなと感じましたが。
蒼山「歌詞で影響受けたのは
スピッツです。爽やかなのに変だったりするとこが好きなんです(笑)。あと最近は詩集や絵本も読んでます。絵本って、子供が分かるように書かれてるけど、大事なことは何かを教えてくれるようなところが好きですね。あと私は、夢、夜、星とか、宇宙っぽい単語が好きなんです(笑)。神秘的だし、誰にも分からないところもあって、宇宙は好きです」
――歌やサウンドは、浮遊感もありつつハードに行くときは攻めますね。そこがねごとの持ち味だなって。
蒼山「結構私、“アー!”とか叫ぶのが多いんですけど(笑)、それは、ライヴでみんながスパークするのに、ここで歌わないでどうするって思っちゃうからで(笑)。それをCDにも入れた感じです」
沙田「演奏のメリハリや展開を考えるのは楽しいし好きなんです。音は、インストでも聴けるように土台を作ってるところはあります」
――「うずまき」はかなりストレンジ感が出てますし、「NO」は淡々としてるかと思いきや後半爆発して、ブラック・サバスの「アイアンマン」を思い出しましたよ(笑)。 沙田「それうれしいです(笑)。でも意図的にじゃなく感覚的にやってる感じですね。音の一番の感触を優先して作ってます」
――最近できた「透き通る衝動」はポストロック的な曲で、こういう曲もやるんだなって驚きもありました。
蒼山「キーボードの攻める曲を作りたかったんです。デモの段階で音の混ざり方は頭の中にあったので、サビで開けてく感じが重要だなって。それでキャッチーになるしって考えました」
――では、記念すべきデビュー盤ができあがっての感想を聞かせてください。
沙田「バラバラな6曲のようでいて、それぞれの曲の強みも出せたし、ライヴでもできる流れになってる、パッと聴いて、これがねごとだと思ってもらえる作品になったと思ってます」
藤咲「<うずまき>と<NO>という曲は去年の秋に録ったプリプロの音源を入れたんです。そのときしか出せない音が出せてたし、それを大事にしたかったから。それに、ちょっと成長過程が見せられたらって思いもありましたね。次は何が出てくるんだろうって楽しみにしてもらえる作品ができたんじゃないかなと思います」
澤村「とにかく、この6曲を1枚目としてリリースできてうれしいです」
蒼山「さっきいったように、ねごとって1曲じゃ分からないバンドだと思っていて。<ループ>で知る方も多いかもしれないけど、2曲目のイントロで“おや?”っと思ってくれるはず。なので、6曲通して聴いてもらって、それから好きな曲を見つけてもらってもいいなって。いろいろな曲がある、ねごとの面白みを感じてもらえたらうれしいです」
取材・文/土屋恵介(2010年9月)
<ねごと「Hello! "Z"」release〜お口ポカーンツアーファイナルあなたの夢をひとりじめ””〜>●日程:12月4日
●会場:代官山UNIT
●料金:前売2,800円 / 当日未定
●チケット発売:10月24日〜
※問い合わせ:VINTAGE ROCK std. [TEL]03-5486-1099 (平日 12:00-17:00)
http://www.vintage-rock.com/