――ニュー・アルバムはデイヴ・フリッドマンとのレコーディング、ミックスを経て、前作以上の空間の広がりと奥行きが感じられるサイケデリックなシンセ・ポップ・アルバムですよね。 アラン・パロモ(以下同) 「今回のアルバムではプロダクション・スタイルを前とは全然違うコンセプトにしたいって思っていたんだ。前回のアルバムが作ったすべてのトラックにメチャクチャな光沢を加えたものだったとしたら、今回のアルバムはメチャクチャなサウンドを調整するっていうプロセスのもと作られたアルバムなんだ。僕は今までスタジオで作業したことがなかったんだけど、今回はフリッドマンのスタジオでの作業を経て、サウンドを囲むちょっとした“宇宙空間”を作れる可能性が大きく広がったんだ。自分がサウンド的に面白いと思うレコードは、そういう“空間”でレコーディングされたものばかりだったし、スタジオを使うっていうアイディアが壁を取り払って、自分が創り出したかったものを作るのに大きな役割を果たしたと思うよ」
――そして、デイヴ・フリッドマンといえば、長年、彼がエンジニアを務めているフレーミング・リップスとの共作シングル「Is David Bowie Dying?」を今年3月にリリースしましたよね。
「フレーミング・リップスとは1年前にポートランドでお互いのツアー中に会ったんだ。その時、彼らは
アリエル・ピンク(Ariel Pink)と来てたんだけど、そこで知り合いになって、“いつか一緒に何かやろう”ってことで連絡先を交換したんだ。そして、今回のアルバムのためにフリッドマンのスタジオで機材の作業をしてたら、彼らがレコーディングのために偶然やって来て、“せっかく一緒にスタジオにいるんだから何かやってみようぜ”ってことでになったんだ。あの作業にはインスパイアされたね。それぞれが適当に勝手に音を出しているように見えて、3時間後にはそれが曲になってるんだ。すごくサイケデリックで、プロダクションがライヴショーみたいだったよ」
(C)Alan Mishka Synth
――サイケデリックということに関していえば、ネオン・インディアンの活動のきっかけである「シュド・ハヴ・テイクン・アシッド・ウィズ・ユー(Should Have Taken Acid With You)」(1st『サイキック・キャズムス(Psychic Chasms)』収録)とこの曲が生まれたエピソードは音楽とドラッグの関連性をほのめかす楽曲でもあります。 「これはネオン・インディアンとして最初に書いた曲なんだけど、冗談半分で書いた友達への謝罪の曲なんだ。昔から近所に住んでる友達がいて、彼女とは同じサン・アントニオで育ったんだけど、休暇でお互いサン・アントニオに帰った時に一緒にアシッドをやろうって計画してたんだ。でも、僕のレコーディングが忙しくなって、結局は帰れなかったから実現できなかったんだよね。だから、“あの時一緒にアシッドをやりたかったんだけど、ゴメンね”って意味でこの曲を彼女のために書いたんだよ。僕はアシッドをやったことはなかったけど、ほかのサイケデリック・ドラッグはたくさんやってきたし、あの曲は、たしかにネオン・インディアンっていうプロジェクト全体のアイデンティティが表現されてるよ」
――また、2枚の作品に共通するネオン・インディアンのアイデンティティとして、ゲーム・ミュージックやそこから派生したチップ・チューンのチープなサウンドが挙げられるかと思います。あなたはゲーム音楽で育った世代のクリエイターであるという意識はありますか?
「もちろん! たぶん、僕がシンセ・サウンドにハマったのは、もともとはセガのサウンドカードの影響だと思うよ。子どもの頃の僕は(ゲーム)『餓狼伝説』のポッピング・サウンドなんかに衝撃を受けたんだ。ある特定のレベルまでいかないと、僕が大好きだった音楽が聴けなかったから、何度も繰り返しゲームをクリアしてたよ(笑)。ゲーム音楽のメロディにはいろんな要素が詰め込まれているというか、その詰め込み方の技術には本当に驚かされるよ。自分がシンセサイザーから抽出してるフィーリングは、もともとはそこからきてるんじゃないかって時々思うんだよね」
――さらにネオン・インディアンの作品からは、カラフルかつねじれたヴィジュアル・イメージが喚起されるのですが、あなたは子どもの頃から映画監督に憧れ、大学で映画を学んだそうですね。映画や映画制作の手法があなたの音楽に与えた影響についてはいかがですか?
「音楽と映画を分けて考えることってできないんだよね。昔はよく、音楽に合う台本を書いてたんだけど、今はなんていうか、まだ存在しない映画のシーンに曲を書いている感じ。それがいつものプロセスなんだ。一度レコードを書き終えると、決して自分の頭から離れることのない短い映画の物語を書いたような気持ちになる。将来は、もっと具体的にそれができるようになって、実際に映画を作れたらいいなと思ってるんだけどね」
取材・文/小野田 雄(2011年8月)
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2011年9月6日(火)〜
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http://tower.jp/article/feature_item/81721