なんもないけどなんかある 踊Foot Works『GOKOH』

踊Foot Works   2019/04/24掲載
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 踊Foot Worksが待望の2ndアルバム『GOKOH』をリリースした。客演にオカモトレイジ(OKAMOTO'S)とAAAMYYYを迎え、ミックスはillicit tsuboiが担当。“もっとPOPをDOPEに、ずっとDOPEをPOPに”というキャッチ・フレーズ通りの持ち味を前作『odd foot works』以上に研ぎ澄まして出力を上げた、爽快な一枚である。

 ヒップホップもR&Bもロックもガンガン摂取する食いしん坊で、いい意味で意地悪なユーモア巧者で、アツくなるときはちゃんとなれる。なんだかんだで人なつっこい音楽だ。記事中で僕はそんな彼らの音楽をファンクと形容したが、それぞれ好きに呼べばいいと思う。彼ら自身もどう呼ばれても気にしないだろう。
――真顔で変なことを言うような人を食ったようなユーモアがありつつ、メロディが強くてエモーショナルな印象もある。ちょっと電気グルーヴを連想しました。
SunBalkan 「あー」
Fanamo' 「初めて言われましたけど、うれしいというか、イヤではないです」
――電気ってダジャレばっかり言っていますけど、ベタを恐れずにキメるところはキメるじゃないですか。インタビューしたときにそう言ったら、石野卓球さんは“そこはまじめにやんないと、コミック・バンドになっちゃうから”と言っていて。
Tondenhey 「そういう考え方には通じるものがあるかもしれないですね」
Pecori 「ライヴでは今後もっとエモーショナルな面を強くしていきたいって思ってます。音源とのギャップですね。音源からエモさを感じ取ってくれたなら、それはそれでOKだし」
――言葉遣いが面白くて、「HORSEMAN DRIFT ROMANCE」で“そんなん駄目だぜシロガネーゼ”の次のラインで“今回のアルバム半端ねぇ”ときたから“ぜ”で踏むのかと思わせて“ファンファーレ”と外してくる意外性に唸りました。
Pecori 「あえて系はけっこうありますね。ラッパーとして韻を踏むということにそこまで重きを置いてはいないんですけど、踏むときは踏んでいて、かつ面白い踏み方をしたほうがこっちも面白いし、頭にも残ると思うんです」
――「NEASE」で1小節を“ひ、ろ、いー”と3音で3拍とって“世界から”を1拍に詰め込むフロウって、もしかしたら初めて聴いたかもしれないなって。
Fanamo' 「ラッパーでそういうフロウの人は、いまパッとは思いつかないですね」
Pecori 「遊び心のあるフロウって意味ではPSGとも似てると思うんですけど、曲ごとにいろいろあったほうが面白いので、今回はけっこうそれができてていい感じっすね」
――ボルタレン(鎮痛剤)を歌詞に使った人はたぶん過去にいなかったと思います(「テレコになって」)。僕は骨折したとき飲んだ経験があるからわかりましたけど。
Pecori 「歯痛に悩まされた時期があって、ボルタレンにお世話になりすぎて。一日2〜3錠が普通の処方量だと思うんですけど、俺一回で5錠とか飲んで。でも効かなかったすね」
Tondenhey 「一時期こいつ口からアロンアルファの匂いがしてました」
Pecori 「ビンから直接口に入れて噛み砕いてましたからね」
Tondenhey 「“臭っ!”って思った記憶がある」
Pecori 「悪口じゃん、それ」
Tondenhey 「いい意味でだよ」
Pecori 「いい意味で口が臭いってなんだよ」
――(笑)“息もできないDiggy-MO'”(「GOKOH」)にもびっくりしました。
Pecori 「みなさんそう言ってくれますね(笑)。固有名詞はけっこう意識的に入れてます。抽象的に形容詞を重ねるよりも絶対、耳に残るんで。例えばDiggy-MO'だったら“SOUL'd OUTのあの歌詞いいよね”みたいに連想してもらえるというか、取っ手がつけやすくなるんですよ。あと単純に、自分が変なこと言ってるほうが好きだし。意外とフロウ的にも気持ちよさが出るんですよね」
――そういう異化作用みたいなものは常に狙っているんじゃないかと拝察します。曲のテーマ出しはPecoriさんがすることが多いそうですが……。
Pecori 「今回はほぼしてないですね。それぞれ作った人の意向はあると思うんですけど、言ってくることは少ないし、“いい曲できた”つって送ってきて、そこに勝手に俺がテーマをつけてラップを乗せちゃう感じなんで。メンバーも俺がこういう歌詞を書いたっていうのは最近知ることもあったりするくらいで」
――そうすると今回のアルバムのテーマは……。
SunBalkan 「テーマってある?」
Tondenhey 「俺(笑)?」
Pecori 「それ知りたい。一応タイトルは俺がつけたんですけど、フナキ(Fanamo')とかどういう感じに思ってるのかな」
Fanamo' 「ヴァーチャル感みたいなものは、自分が詞を書いたりするときも残そうと思ってますけどね。エノキ(SunBalkan)何かある?」
SunBalkan 「俺はまったくない……かな? でも、うれし泣き感みたいなものは踊Foot Works全体として常に意識してるのと、今回はSFの要素が全体的にちりばめられてると思うんですよね。統一感はそこまでないじゃん?」
Pecori 「ないない」
SunBalkan 「だからイントロでSF感を出して、あたかもアルバム全体がそうであるかのように聴かせたいというか」
Fanamo' 「ないような、あるような。あんまりカチカチに決めてそのなかでやろうとすると、角がとれて丸いものになっちゃうんじゃないかっていうのもありますね。それをざっくりさせることで、はみ出る部分も味になったりするから」
――はみ出した部分を刈り取らないでむしろ全体に取り込んでいくみたいな?
Fanamo' 「きれいなだけだと、口に入れてもそのままウンチと一緒に出ちゃうんで(笑)。どっかでちゃんと引っかからないと体に残らないというか」
SunBalkan 「なんもないけどなんかある。全部が全部、そんな感じだと思います。そこはあえて語らないというか、聴いた人がどんなことをツイッターとかでつぶやくのか楽しみです。“ああ、こう感じた人がいるんだ”って思いたいっすね」
Pecori 「前作は曲ができてから、リリックにしてもトラックにしてもSFチックな要素があったんで、けっこう意識してコンセプトづけていったんですよ。生と死とか。ジャケも白黒だし。今回はそれこそジャケとかイントロからSF感はありつつも、それ以外の曲はまったく別のベクトルを向いているので、ひとくくりには全然できない感じですね」
――前作では「milk」に曲名に名前を入れない形で中村佳穂さんをフィーチャーしていましたが、今回の「髪と紺 feat. AAAMYYY」と「GOKOH feat. オカモトレイジ」では出していますね。
SunBalkan 「AAAMYYYは前作の中村佳穂さん枠というか、アルバムにひとり女性ヴォーカルをフィーチャリングしたいというのがあったのと、男性も誰かフィーチャリングしたいと思ってて、最初は普通にラッパーの方を考えてたんです。レイジさんの名前を出したのはマネージャーの三宅(正一)さんなんですけど、レイジさんを純粋にシンガーとして起用したら面白いよね、って話になって。佳穂さんの名前を出さなかったのはなんでだったっけ?」
Pecori 「かっこよかったから(笑)。シンプルにしたかったんですよ、ファーストは特に。セルフ・タイトルにしたりとか。で、“出さないほうがいいね”ってなったんですけど、いま思うと……」
Fanamo' 「出しときゃよかった(笑)?」
SunBalkan 「あの曲だけだったからね。曲名も短いのが多かったし、なんか変に目立っちゃうかなって。今回は曲名もゴチャッとしてるし、入ってても違和感がないかなって」
Tondenhey 「字面的にね」
――シンガーとしての起用ということは、AAAMYYYさんもレイジさんもPecoriさんが書いた詞を歌っているんですね。
Pecori 「そうです。レイジくんの場合はどんな感じの曲になるかまったく白紙の段階でオファーしてたし、歌うのは初めてっていうこともあったので、ラッパーとかシンガーっていうよりは“歌唱”をしてもらうほうが面白いって話になったんですよね。AAAMYYYちゃんも、誰に歌ってもらうとか決める前からフックは入ってたんで、“いい曲だね〜”とか言いながらサクッと」
Tondenhey 「“こりゃ売れるわ”とか」
Pecori 「俺らも当然レイジくんは好きだから“何、この曲”って言われたくないし、最初のレスポンスはけっこう不安だったんですけど、普通に“めちゃくちゃかっこいいね”って返ってきて、うれしかったです」
――アルバム全体、踊Foot Worksが以前から提唱している“ポップさのなかにドープさがのぞく”感じが前作以上に強化されたと思いました。
Pecori 「ありがとうございます」
SunBalkan 「自分らもそう思ってます」
Tondenhey 「べつに意識してるわけではないんですけどね」
――自然にやるとこうなる?
SunBalkan 「何をしようとしてもそうなりますね」
Pecori 「ライフスタイル的な意味で常にポップさとドープさがあると思うんで、音楽で体現中っていう感じです」
Tondenhey 「人に聴かれるものって必ずポップだと思うんです。例えば工場の騒音とかでも、ポップだなって感じるときはあるっていうか。自己完結するものじゃないから。名刺みたいなものじゃないですか、入り口としてのポップさって。まぁ、自分が好きなのがそうだっていうことだと思うんですけど」
SunBalkan 「陰キャというか、あんまり明るい人たちじゃないんですよ。メンバー全員、たぶん自分なりに考えながら、足りないところをどうにかしようとして生きてきたりとか、なにかしら問題があるんですよね。ポップって言われるのをイヤがる人は“浅い”とか“軽い”とか“表面的”みたいなイメージを嫌うんでしょうけど、本当のポップはめっちゃかっこいいし、勝手にドープになるはずだし。そういう意味で、僕らの場合も、それぞれの経験とか感情が音に出ちゃってると思います」
――うまく言えないんですが、コミュニケーションを求めている音楽というか。こうして会話をしていても、相手を笑わせようとして冗談を言ったり、気持ちが高まってエモいことを口にしちゃったりするじゃないですか。さっき言ったユーモアとエモーションの幅も、その感じに近いのかなって。
SunBalkan 「あー、なるほど。わかる気がします」
Tondenhey 「帰国子女の友達がライヴを見に来て、言葉は忘れちゃったんですけど“隠れて聴いてるよ”みたいな意味のことを言われたんですよ、たしか」
Fanamo' 「英語のスラングでね」
Tondenhey 「そうそう。ほんとは好きなんだけどこっそり聴いてるみたいな。なんかそれはいいなと思いました。アメリカで流行ってる曲でも、すごい奇怪なトラックとかあるし、歌ってる人がメジャーすぎるから表立って“好き”とは言わないけど、実は内心いいと思ってるみたいな。自分らもそっちに行ってもいいと思うし、おおっぴらに“フェイヴァリットです!”って言ってくれてもうれしいし。どっちにしても途中ですけどね」
――踊Foot Worksの音楽には多様な要素が入っているからジャンルを特定しにくいんですが、ざっくりと感覚的に、ファンクだなと感じました。
SunBalkan 「おー。ファンクは初めて言われました。でもそうかもしれないですね」
Pecori 「バンドっぽい、とはよく言われます」
SunBalkan 「僕ら、バンドといえばバンドじゃないですか。ドラマーはいないけど、ギタリストがいてベーシストがいて、ヴォーカルがいてDJがいて。でもどっちかというと、ひとつのクリエイター集団だなって最近になって思うんです。それぞれトラックも作るし詞も書くし。僕もたまたまベースを弾いてるだけで、演者として自分を使ってるというか。その意味で、ファンクって言われるのは面白いですね。自分が作って演じてるものを客観視したときに、ファンクを演じてるんだなって気づくというか」
Fanamo' 「PファンクはSFっぽさあるしね。パーラメントの宇宙船が出てくるジャケとか、ちょっと通じるものがあるかもしれない」
Tondenhey 「ファンクは日本ではちょっと変な捉えられ方をしてますよね。ファンクって言われたときにそれぞれ思い浮かんだイメージが違ったと思うんですけど……」
Fanamo' 「そうだよね。ミーターズもファンクだし」
Tondenhey 「俺はいいファンクがいっぱい思い浮かびました」
――宇宙志向を通してアフリカ・バンバータなどの初期のヒップホップともつながるし、ジャズに通じるJB's、曲によっては完全にロックなファンカデリック……と、ファンクと捉えればいろいろ包含できるなと思って。
Tondenhey 「うれしいです」
SunBalkan 「今作はビートもけっこうファンキーですしね。〈NEASE〉とか、少なくとも僕はファンクっぽい弾き方をしましたから。もし何かひとことで言うとしたらファンクが近いのかもしれない」
――このジャケットの衣装でライヴをやってくれたら楽しそう(笑)。
Tondenhey 「やりたいですね」
Pecori 「いくらかかるんだろう」
SunBalkan 「ちゃんとやったらめっちゃかかるんじゃない?」
Fanamo' 「アース・ウインド&ファイアーとか、めっちゃ衣装衣装してますもんね」
――SunBalkanさんの“バンドというよりクリエイター集団”という感覚はみなさんで共有している感じですか?
Fanamo' 「多少なりあると思います」
Tondenhey 「自分はまったく同じですね」
SunBalkan 「ベーシストである自分を否定してるわけじゃなくて、別のこととして考えてるというか。全員がトラックメイカーとしてそれぞれに羽ばたきたい、みたいな話があって、それめっちゃいいなぁと思って。現状そうなってるんですよね、知らないうちに。実際にやってることはそういうことになってる気がします。プロデューサー4人みたいな」
――例えばライヴで4人が楽器を持たずに踊っていても踊Foot Worksとして成立する、みたいな?
SunBalkan 「まさにそういうことです」
Pecori 「いまダンスの練習中なんですよ。4人とも」
SunBalkan 「いや、俺はまったく練習してない」
Pecori 「海外を見てると、みんな踊れてラップも歌もできて楽器も弾けて、エンタメとしての幅が全然違うなって思ってて」
Fanamo' 「ビートたけしさんとかも“タップダンスできないと芸人じゃない”みたいなこと言ってますよね。クレイジーキャッツとかドリフターズも、音楽もお笑いもできて、役者もやって」
Tondenhey 「基本構造が似てるっていうか、同じことをやってる気もするけどね。どういうものを吸収してどういうふうに出すかっていう。自己表現だから」
Pecori 「そこは好きなんでやっていきたいなって思ってます。役者もやりたいですし、俺は。根本に踊Foot Worksがあって、帰ってこれる場所というか」
――ますます電気グルーヴ的な……。
Pecori 「自分でもしゃべってて電気グルーヴだなって思いました(笑)」
――よそのインタビューで“SMAPが理想だ”みたいな話をしていましたよね。
Fanamo' 「前回のインタビューではよく言ってましたね」
――音楽的な幅という意味で言及していたんですけど、言い得て妙だと思ったんですよ。グループを母体にしてそれぞれ羽ばたいて、いつでも戻ってこられる、というあり方は電気グルーヴにも通じるし。
Pecori 「あのときSMAPってなんで言ったかっていうと、それこそバンドバンドしてないっていう部分と、フックは基本的にメロディが多いんですけど、それぞれが歌唱力が高いわけではないので、俺が本線を歌って、キイチ(Tondenhey)とFanamo'が30本ずつガヤを入れて加工して一本のサビにする、みたいな曲もあったりして、その声質のフュージョン感みたいなのが通じるなと。決してうまかないけど、全員で歌ったときの“あー、あの歌声ね”ってなる感じ。嵐とかもあるかもしれないけど」
Tondenhey 「SMAPがやっぱいちばん面白いよね、混じり方が。めっちゃ残るもん」
――それぞれトラックメイカーとしても活躍するみたいなことは、すでに具体的にイメージしていますか?
SunBalkan 「ついこないだTondenheyが」
Tondenhey 「きのこ帝国佐藤千亜妃さんのトラックを作りました(〈Lovin' You〉)」
SunBalkan 「声ちっちゃいな……(笑)」
Tondenhey 「いや、踊Foot Worksのアルバムのインタビューなのに、こっ恥ずかしいなって」
SunBalkan 「Tondenheyはもう一個、別のユニットをやっているし、僕ももう一個バンドやってたりして、Pecoriも裏でこっそり動いてて」
Pecori 「まだ全然始まってないけどね。ソロもやりたいです」
SunBalkan 「ソロは俺も出したい。すでに違うところに力を発揮してるんですよね。踊Foot Worksに見え隠れはしているけどまだ出てないものもたくさんあるんで、それは別の場で出したいですね」
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――4人はすごく仲がいいですね。
SunBalkan 「陰キャなのはでかいと思いますね」
Fanamo' 「そうでもないけどね(笑)」
Tondenhey 「一緒にしないでくれよ!」
SunBalkan 「毎回こういう話になるんです(笑)。陰キャではないかもしれないけど」
Pecori 「闇はありますよ、それぞれ。ずっと明るくしていられるタイプではない」
SunBalkan 「パリピっていうか、渋谷のど真ん中で毎日過ごしてるようなやつをちょっと小バカにする感じとかが近い」
Tondenhey 「ああなりたいけどね。ほっそいジーパンに白いタートルネックで、キンジャラつけてクラッチバッグ持って」
Pecori 「ドンキのくっせえ香水つけて」
Fanamo' 「幼馴染でもないし、学校が一緒だったとかでもないし、うまいやつらを引き抜いてきたバンドとかでもない。なんで一緒にいるかっていったら合うから、みたいなところが初めにあると思います」
Pecori 「学校を卒業して社会の学校で音楽サークルやってるぐらいの、いい意味で軽いノリとかも。みんながすごいプロフェッショナルではないのでうまく回ってる感じですね。でも最近、そんなに遊びに行くとかはないよね」
SunBalkan 「ないよね。ここ(Fanamo'とTondenhey)はよく遊んでるみたいですけど」
Tondenhey 「ここ二人(PecoriとSunBalkan)のほうが最近遊んでない?」
Fanamo' 「いいじゃん、それは(笑)」
Tondenhey 「髪の色も同じにしてさ。俺イヤだもん」
Pecori 「最近、近所に引っ越して、よく会うようになりましたね」
SunBalkan 「でも用事がない限り全然会わないかも」
Pecori 「それくらい会えてるんですよ。仕事で」
SunBalkan 「価値観の重なってるところは大きいかもしれないです。ダサいって思うものが近いかもしれない。かっこいいと思うものはそれぞれだけど」
Pecori 「それすごいわかる。たぶん好きなものが一緒より嫌いなものが一緒のほうが仲よくなれる」
――いい意味で悪意があるところが好きです。クールというか、常に醒めたところがあって。
SunBalkan 「あ、それ!」
――だからこそ、エモい側面が出てくるとよけいグッとくる。
SunBalkan 「ほんと俺もほんとそう思います、客観的に聴いて。とくにPecoriの詞とかそう思いますね。それはそれでウソっぽくはないから」
Tondenhey 「ほんとそうだね。説得力ある」
Pecori 「いい詞書くな〜って自分でも思います。リリースされてからが楽しみです」
――最後に三宅さんにうかがいたいんですけど、ライターとしていろんな面白いアーティストには出会うと思うんですが、マネジメントを引き受けるのはかなり踏み込んだ判断ですよね。どうしてそこまでしようと思われたんですか?
三宅 「僕の音楽的な好みみたいなものを彼らは全部満たしてくれるんですよね。今回のアルバムで、自分のなかにあるその尺度がまた更新された感じです。さっきファンクっておっしゃったのも合点がいくし、別の方にヴェイパーウェイヴって言われたのも納得できるし、アーバン・ポップみたいな文脈で語る人がいてももちろん理解できるし。仕事でも聴き手として雑多な音楽と向き合ってるっていう自覚があって、いろんなところに張っていた導線みたいなものを彼らが回収してくれるというか」
――ちょっとロマンチックに言うと、出会うべくして出会った?
三宅 「ほんとそうですね。彼らじゃなかったらマネジメントはやっていないと思います。あんまりよそのバンドとも仲よくならないし、友達が多いタイプではないんですけど、そういうところも含めて好きなんですよ。だから僕がライター仕事で出会った人たちとなるべく引き合わせようとしているんですけど、無理にくっつけようとするんじゃなくて“自分はこの人のこういうところが合うと思うけど、興味があったら“っていうやり方をしています。接し方は息子と接してるときとほとんど変わらないです。僕も学ばせてもらっていて、一緒に成長しているというか」
Pecori 「俺らも同じです。“オヤジー!“ってふだん呼んでますから(笑)」
取材・文 / 高岡洋詞(2019年4月)
Event Schedule
ワンマン・ライヴ
ODD FOOT WORKS

oddfootworks.com/

2019年5月3日(金・祝)
東京 渋谷 WWW X
開場 17:15 開演 18:00
前売 3,500円(税込 / 別途ドリンク代)
※お問い合わせ: VINTAGE ROCK std. 03-3770-6900
(12:00〜17:00)

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