待望のオーケストラ・レコーディング、奥村 愛(vc)が新作『ポエジー』を語る

奥村愛   2008/04/04掲載
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 才色兼備のヴァイオリニスト、奥村愛加古隆のサポートを得てオーケストラ・レコーディングを敢行、3月に2年4ヵ月ぶりとなるアルバム『ポエジー』を発表した。クラシックだけでなく民謡やピアソラの楽曲などが収録され、バラエティに富んだラインナップのなかで、ヴァイオリニストとしての存在感が十二分にアピールされた本作について話を聞いた。



 ふくよかで美しい音色と、クラシックをメインにトラディショナルやピアソラもレパートリーとする親しみやすさが魅力のヴァイオリニスト、奥村愛が2年4ヵ月ぶりとなるアルバム『ポエジー』を発表した。

 「一昨年ぐらいまでは海外と日本を行ったり来たりしていました。慌ただしくしている間はCDを作らずにいたんです。その間、“この曲を弾きたいな”とか“こういう曲をCDに入れたらいいんじゃないか”っていうのをじっくり考えることができました」

 スタッフの意見も取り入れながら、いまの自分を素直に表現できる曲を選んだ新作は色彩感豊かな内容となった。なかでも目を引くのは、イングランド民謡「グリーンスリーヴス」をモチーフとした「ポエジー」など、加古隆の作品を3曲収録していること。その3曲では作者自らピアノを演奏し、華を添えている。

 「加古さんは何度も練習につきあってくださいました。多くを語らないんですが、練習のときでも絶対に気を抜かないんです。どんな部屋のどんなピアノでも一音一音が生きているなと思いました。いままで聴いたピアノの音とはぜんぜん違う、独特の説得力のある音です。加古さんの演奏を聴きながら、どう表現すればいいかをつかんでいきました」


 2002年のデビュー作『愛のあいさつ』以来の再録となる「黄昏のワルツ」では、情感あふれる演奏で実力を示している。

 「加古さんは人生の喜怒哀楽を込めてこの曲を書いたと、当時、人づてに聞いたんです。でも、二十歳そこそこだったので理解しているとはいえませんでした。それから6年経って、人生をわかったわけではないんですけど、成長はしていると思います」

 舞台作品『リバーダンス』の音楽を収録しているのも興味深い。

 「2年前に来日したときに行ったら、すごくかっこよくて、曲も楽しく弾けそうだったんです。私は本格的にそっちのほうの勉強をしたわけではないし、アイルランドに行ったこともないので、あくまでもクラシックを勉強した私が感じるケルト音楽として演奏しています」

 ピッツィカートなど多彩な奏法を駆使する「バンジョーとフィドル」では快活な表情を見せる。

 「初めて聴いたとき、“面白い、この曲”と思いました。集中力が必要な難しい曲ですが、レコーディングの最後の曲だったので、“もう1曲、がんばるぞ!”という気持ちで弾いたんです」

 一方、「タンティ・アンニ・プリマ」は艶やかな音色を保ちながらのしっとりとした表現が素晴らしい。デビュー作ではピアノ伴奏で弾いた曲を、今回はオーケストラ・アンサンブル金沢とともに演奏している。

 「ピアソラというと“リベルタンゴ”とかリズミカルなものがよく知られていますが、影のありそうな曲がすごく好きで(笑)。普通のコンサートでオーケストラとこういう曲を演奏する機会はありませんから、一回やってみたいと思っていたんです」

 新作は静と動の大きな振幅のなかで、奥村愛がヴァイオリニストとしての存在感を存分に発揮した快作だ。


取材・文/浅羽 晃(2008年3月)



【奥村 愛 リサイタル〜ポエジー〜】
“CD発売記念 奥村 愛 リサイタル〜ポエジー〜”
【日程】 5月18日(日)
【会場】 名古屋 宗次ホール
【開演】 14:00
【チケット】 全席指定:前売\4,000/当日\4,500

“CD発売記念 奥村 愛 リサイタル〜ポエジー〜”
【日程】 5月24日(土)
【会場】 大阪 フェニックスホール
【開演】 14:00
【チケット】 全席指定:前売\4,000/当日\4,500

“CD発売記念 奥村 愛 リサイタル〜ポエジー〜”
【日程】 6月1日(日)
【会場】 福島県・富岡町文化交流センター“学びの森”大ホール
【開演】 15:00
【チケット】 全席指定:前売\2,500/当日\3,000

“CD発売記念 奥村 愛 リサイタル〜ポエジー〜”
【日程】 6月27日(金)
【会場】 福岡市 あいれふホール

“CD発売記念 奥村 愛 リサイタル〜ポエジー〜”
【日程】 8月24日(日)
【会場】 横浜 関内ホール
【開場/開演】 13:00/13:30
【チケット】 全席指定:\4,000

※詳しくはオフィシャル・サイト/http://www.geocities.jp/musicaprimo/でご確認を。
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