カリブ海に浮かぶフランスの海外県、グアドゥループ島の民族音楽“GWO-KA(グオッカ)”のリズムと現代的なジャズを融合させたクレオール・ジャズがパリで活性化している。そのシーンにおける中心的ミュージシャンたちとのインターナショナル・プロジェクト“Jam Ka”をアップデートさせ続けているギタリスト・小沼ようすけから、最新アルバム『Jam Ka 2.5 The Tokyo Session』が到着。2017年のジャパン・ツアー後に東京のスタジオで録られたライヴ・セッションの一部を収録した本作には、アルバム『Jam Ka』(2010年)、『Jam Ka Deux』(16年)の収録曲のライヴ・バージョンのほか、インプロヴァイズ・セッションも収められ、プロジェクトの新たな進化を体感できる作品に仕上がっている。アーノウ・ドルメン(ka)、オリヴィエ・ジュスト(ka)、グレゴリー・プリヴァ(p)、レジ―・ワシントン(b)などヨーロッパのジャズ・シーンを代表する凄腕ミュージシャンとともに繰り広げられる演奏も絶品だ。
5月にはグアドゥループのグォッカ・フェスティバルに出演。8月にはヨーロッパで活動する際のメイン・メンバー、グレゴリー・プリヴァ、ソニー・トルーペ(ds, ka)、レジー ・ワシントンを擁した“Jam Ka Qualtet”でのツアーも予定されている小沼に、本作『Jam Ka 2.5 The Tokyo Session』について聞いた。
――新作『Jam Ka 2.5 The Tokyo Session』は2017年のジャパン・ツアーの後でレコーディングされたそうですね。
「はい。『Jam Ka Deux』を出した後、東京、名古屋、大阪と回って、その直後に東京でスタジオに入って。ライヴを通して楽曲が変化しているの感じていたし、それを残しておきかったんですよね。すべて一発録り、“録り直し不可”の状態でレコーディングしたんですが、原曲のフォーマットとは違う広がり方をしていたし、3作目の『Jam Ka』につながるセッションだったなと。だからタイトルを『2.5』にしたんです」
――Jam Kaがさらに変化していく過渡を記録した作品でもあると。1曲目の「Moai's Tihai」は、アルバム『Jam Ka Deux』の収録曲ですが、音源とはビートの雰囲気が違っていて。
――3曲目の「Beyond the Sea / Le Bonheur」は小沼さんのギター、グレゴリー・プリヴァのピアノによるデュオ。4曲目の「Gradation4」は小沼さんとパーカッションのアーノウ、オリヴィエのセッションによるナンバーです。
「〈Beyond the Sea〉は『Jam Ka Deux』の曲で、〈Le Bonheur〉はグレゴリーのアルバム『FAMILY TREE』の1曲目に収録されている曲。〈Le Bonheur〉は僕も大好きな曲なので、グレゴリーのピアノのソロを挟んで、ぜひメドレーで演奏したくて。〈Gradation4〉は、アルバムのたびに収録しているフリー・セッションの楽曲ですね。カ奏者のふたりと会話しながら、遊びながら演奏したというか(笑)。構成もまったく決めず、すべてインプロヴァイズのよるセッションなんですよ」
「これも『Jam Ka Deux』の曲ですね。音源ではピアノ、パーカッション、ギターで演奏しているのですが、ライヴではベーシストのレジ―・ワシントンにも入ってもらって。彼のソロ・パートもあるし、後半では僕とグレゴリーもピアノを弾いていて。ライヴで演奏するなかで、いちばん広がりを感じた曲のひとつですね」