「僕たちはただパワフルなロックンロールをやりたい」−ラフ・トレードの強力新人パーマ・ヴァイオレッツがデビュー!

パーマ・ヴァイオレッツ   2013/03/05掲載
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「僕たちはただパワフルなロックンロールをやりたい」−ラフ・トレードの強力新人パーマ・ヴァイオレッツがデビュー!
 イギリスのロック・シーンは完全に死んだかなと思っていたら、また出てきました、活きのいいのが。しかもラフ・トレードのジェフ・トラヴィスが1曲聴いただけで契約を決めたというだけあって、すごいロックンロールにあふれているんです。パーマ・ヴァイオレッツ(Palma Violets)はガレージとパンクのよさを現代に蘇らせたような新鮮なバンドで、みんな若いが、4人のキャラクターがとってもいい。ヴォーカル/ギターのサム・フライヤーはエコー&ザ・バニーメンイアン・マッカロクを思い出させるようなどこか影のあるインテリ、ヴォーカル/ベースのチリ・ジェッソンは笑顔が可愛い悪ガキ、キーボードのピート・メイヒューは天然、ドラムのウィル・ドイルはすごく真面目な感じ、こんな“クラスのおとぼけ系”4人が集まって最高のロックンロールを演奏している姿を見ていると、すべてオッケーと思えてきてしまう。そんなのじゃバンド紹介にならないので、チリとウィルに話を聞いた。
(C)Tom Beard
――4人とも性格がぜんぜん違う感じがするんだけど、どこで出会ったの?
チリ「2009年のレディング・フェスティヴァルでサムと出会ったんだ。彼はキャンプファイヤーでアコースティック・ギターを弾いていたんだ」
――むっちゃ今な感じですね。
チリ「でも、別にバンドをするというわけでもなく、仲良くなって、その後ピートやウィルとも友だちになってバンドをするかということになったんだ」
ウィル「僕はピートとサムと同じ学校でね」
チリ「そうそう、ウィルが入る前に、俺とサムとピートで、機材を買ってバンドを始めてたんだ。アンプとベースとシンセで、60ポンド。めちゃくちゃチープ」
――じゃ、あのSuicideが使っているようなファルフィッサのオルガンの音もそのチープな機材から?
チリ「そうそう、あの音しか出なかったから。今も同じシンセを使っているんだ。あとは学校から盗んだシンセ(笑)」
ウィル「盗んだんじゃないよ、まだ返していないだけ。誰も使っていなかったし、僕たちが有効利用しているからいいだろう(笑)」
――パーマ・ヴァイオレッツの音は、60年代のガレージな感じにするぞ、とかそういう意気込みはなかったわけですか?
ウィル「そうだね。僕たちはただパワフルなロックンロールをやりたかっただけだね」
チリ「自然な結果だね」
――バンドを始めた頃って、どんなバンドが好きだったの?
チリ「ガン・クラブかな」
――えっー、ガン・クラブすごいね。ウィルは?
ウィル「小さい頃はヘヴィ・メタルが好きで、このバンドをやるまではジャズが好きで、今はいい音楽だったら何でも好きだよ」
――普通の今のイギリスの若者だったら、バンドなんかやろうと思わないと思うんだけど。
ウィル「友だちから両親までみんなから、“バンドなんかやめて普通の仕事を探しさなさい”と言われていたから、いろんなレーベルから興味を示されたときはすごくうれしかった」
チリ「ロックンロール・バンドをやるなんて難しすぎると思ってた。だから俺、バンドのマネージャーになりたいなと思ってたんだ」
――それなのに日本まで来れてすごいね。チリのベース・スタイルはストラングラーズのジャン=ジャック・バーネルみたいだね。
チリ「ジャン=ジャック・バーネル大好きだよ! ドゥ、ドゥ、ドーン(と「ピーチズ」のベースラインを口ずさむ)。出版印税の前金でジャン=ジャックと同じような黒いフェンダーのプレベを買ったんだ。すごい嬉しかった」
――このファースト・アルバム『180』パルプのスティーヴ・マッキーがプロデュースですが、それはなぜですか?
チリ「彼が僕らの音楽を好きだったからだよ」
ウィル「彼はいろんなアルバムをプロデュースしてきているけど、もっとリアル・ロックンロール・アルバムを作りたがっていた。それで、僕らとならそういうアルバムが作れると思ったんだ」
――そして出来たということですね。ラフ・トレードと契約したし、ダブル・ヴォーカルだし、やはりリバティーンズと比べられると思うんですけど、どうですか?
チリ「俺たちはリバティーンズみたいにハモッたりしないからね。各自が自分の作った曲を歌うという感じだし、リバティーンズみたいには見えないと思うから、気にしてないよ」
ウィル「リバティーンズはシークレット・コンサートをやったりしてファンを大切にしてきたバンドだったから、そういうところは見習いたいね」
――これからどんなバンドになりたいですか?
チリニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーズのようにいつまで愛されるバンドになりたいな。彼らのようにアルバムごとにどんどんよくなっていくようなバンドになりたい」
ウィル「僕もそう、彼らのようにしっかりしたファン・ベースを作るバンドになりたい」
――きっとそうなりますよ。今日はありがとうございました。
取材・文/久保憲司(2013年2月)
ライヴ写真提供:Hostess Entertainment Unlimited
(2013年2月2日 Hostess Club Weekenderにて)
Palma Violets - Best of Friends (Official Video)
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