80年代エレクトロ・ポップを下敷きとした打ち込み音楽に乗せ、ひたすら思い込みによる曲がった価値観に基づく男気を啓蒙してきたロマンポルシェ。。今回のベスト・アルバム『もう少しまじめにやっておくべきだった』は、Disc1に初期のナンバー「ロマンポルシェ。のテーマ」から最新シングル「男は橋を使わない」まで人気曲18曲を凝縮。さらにDisc2には説教のみを4編収め、恐いもの見たさなファンの入門編として決定版といえる内容になっている。
「そんじょそこらの18曲じゃないですよ? なにしろ全部で50曲しかないうちの1/3が入っちゃってるんだから。これもすべては俺が曲を作るのにサグラダ・ファミリア補修工事かってくらい時間かかるのが悪いんですけどね。やっぱりシンセサイザーの説明書はちゃんと読まなきゃダメ! そういう意味でも、もう少しまじめにやっておくべきだったなと。1曲目の〈首なしライダー〉なんて、もろに
スーサイドの影響を受けてますけど、奴らもヴォーカルの
アラン・ヴェガが客殴ったりしながら、やってることはほとんどエレクトーンの演奏! “なんでチャカポコした音なのに、おっかない顔してんだよ! 違うだろ!”と。そういう、こけおどし度の高い音楽性と暴力性を21世紀の日本に蘇らせたバンドがロマンポルシェ。なんです」(掟)
他にも「男道コーチ屋稼業(Mannish edit)」、
ザ・スターリンのカバー「解剖室」、書き下ろしの新曲「炭水化物は胃にたまる」など貴重な楽曲が並ぶ中、特に注目したいのが
COALTAR OF THE DEEPERSをフィーチャーした「親父のランジェリー」の新録バンド・ヴァージョン。
「自分の好きな暴力的でメタリックなアレンジをお願いして。俺たちは“80年代のレコード屋におけるニューウェイヴの棚をひとまとめにしたもの”を標榜しておきながら、楽器演奏能力がゼロに等しいゆえパンクにまでは手が届いてなかった。その一端がようやく埋められた気がして嬉しかったですね。先日この曲のPVを雪山で裸同然のまま丸一日撮影し、死にかけました。真っ白い雪原を迷わないよう俺が一枚一枚落としていったランジェリー。それを後から来たロマンが全部拾っていくという“ヘンゼルとグレーテル” 方式の幻想的な素晴らしい内容です」(掟)
テクノや歌謡曲をも飲み込んだ楽曲の数々は、クロニクル的に聴くことでまた新たな魅力が発見できそう。無類のアイドル好きである掟は、日本語DJ集団・
申し訳ナイタズの盟友
RHYMESTERの
宇多丸とブレイク前から
Perfumeを強力にプッシュしてきたことでも話題に。
「10年活動してきて、会いたい人にはだいたい会っちゃった気はしますが、手の届かない存在として憧れているのは
米良美一さんですね。ロマンポルシェ。といえば、
デルフォニックスばりなロマン優光のファルセット・ヴォイスですが、あれも米良さんの表現と近いものがある。両者の出会いが、いいレゾナンスを生むんじゃないかと思いますね」(掟)
4月にはベスト・アルバム発売&10周年記念ライヴが東京、名古屋、大阪で開催。まだ彼らのパフォーマンスを体験したことがない人は、ぜひこの機会に足を運んでみてはいかが?
「他力本願な我々は、4月4日の恵比寿リキッドルームに強力なゲスト2組をお呼びしてます。1組目は、お客さんの入ることで有名な
BEAT CRUSADERS。もう1組は本気のシークレット。誰だろう? 米良さんかな〜!? ……我々はね、本当に大変なんですよ。お願いだから、このベスト・アルバムを買って我々に楽させてください! どうか! 助けると思って!!!」(掟)
「(あくびしながら)俺、バイトあるから先帰っていい?」(ロマン)
取材・文/秦野邦彦(2008年2月)
【ロマンポルシェ。10周年&ベスト・アルバム発売記念ライヴ】
公演日:2008/3/30
地域:愛知
会場:名古屋クラブクアトロ
開場:18:00
開演:18:30
共演:漁港ほか
前売 2,500円 / 当日3,000円 (Drink別)
問い合わせ先:クロスロードミュージック/ 052-732-1822
公演日:2008/4/4
地域:東京
会場:恵比寿リキッドルーム
開場:18:00
開演:19:00
共演:BEAT CRUSADERS、ほか超豪華ゲスト出演!
前売 3,000円 / 当日 3,500円 (Drink別)
問い合わせ先:恵比寿リキッドルーム/ 03-5464-0800
公演日:2008/4/8(ロマンポルシェ。ワンマン)
地域:大阪
会場:十三ファンダンゴ
開場:19:00
開演:19:30
前売 2,800円 / 当日 3,300円 (Drink別)
問い合わせ先:ディスクガレージ/ 06-6308-1621