3月リリースのシングル
「さよならもありがとうも言えない」に続き、“すぐそこにある恋”3部作の第2章となるミニ・アルバム
『運命のふたり』がリリースされた
坂詰美紗子。恋愛におけるさまざまな風景が繊細に描かれた短編小説集のような本作。恋愛をテーマにしたストーリーも楽しめつつ、バラエティに富んだ内容に仕上がっている。
Crystal Kayに提供した「涙があふれても」のセルフ・カヴァーも収録されているのも注目したいところ。本作について彼女に話を訊いた。
誰しもが共感できる恋の物語を音楽として紡ぎだす、“すぐそこにある恋”3部作を展開中の坂詰美紗子。第1章となった3月リリースのシングル「さよならもありがとうも言えない」に続き、早くも第2章を飾るミニ・アルバム『運命のふたり』がリリースされた。失恋をモチーフにした楽曲が並んでいた前作から一転、今回はさまざまなシチュエーションの中で大切な人を愛おしく思う感情を描いた楽曲で統一されているのが大きな特徴だ。
「確かに言われてみればそうですね。全体の統一感っていうのはあんまり考えてなかったんですけど……これからそこを売りにしていきます(笑)。今回は、ずっと歌いたかった曲がたくさん溜まっていたのでミニ・アルバムにしたんですけど、イメージとしてはいろんな短編が集まったオムニバスの小説集みたいな、そういうものを意識して作りましたね」
タイトル曲となる「運命のふたり」は、前作「さよならもありがとうも言えない」の続編として作られたナンバー。常に楽曲ごとの主人公は独立させて物語を創作するという彼女にとって、連作という初トライは斬新な作業だったようだ。
「ストーリーが繋がっていくように歌詞を書くのはすごく楽しかったです。私としては前回の曲で離れ離れになった2人を繋ぎ合わせてあげたいなっていう気持ちがあったんですよ。なので、そこに向けて、別れたけどお互いにどれだけ強く思い合っていたのかとか、別れたからこそ見えたものとかを書いてみました。メロディに関しては、心をギュッとつかまれるような“せつなあったかい”感じを大事にしましたね。“眠る時も朝目覚めても「アナタじゃなきゃダメなんだ」と思った”っていうところがすごく気に入ってます」
その他にも、初々しいキュートな感情が描かれた「恋のはじまり」や、Crystal Kayへの提供曲「涙があふれても」のセルフ・カヴァー、胸に広がる甘い思いを届けようと決意する告白ソング「sweet love」、彼氏がやってくる前に部屋を片付けようと奮闘する「キレイ好きに見えるように」といったバラエティに富んだ楽曲が並ぶ。そこには、独自の視点で瑞々しく切り取った恋愛の感情をエモーショナルな歌声で届ける、坂詰美紗子ならではの魅力がたっぷりと充満している。
「〈恋のはじまり〉のようなすごいハッピー・ソングは、〈恋の誕生日〉(デビュー・ミニ・アルバム収録曲)から応援してくれてる人はきっと喜んでくれるんじゃないかなって思います。アレンジがすごく気に入っている〈sweet love〉は、バレンタインの時期に
山田優さんのラジオに出たことがきっかけでできた曲。テーマも2人で決めました。あと、坂詰美紗子がもっとも女の裏側を描いた〈キレイ好きに見えるように〉は、実際、自分の部屋が汚かったところからひらめいて。汚くてもいいことあるなぁって思いました(笑)。今回もほんとに身近な恋愛の曲をいろいろ入れることができたので、すごく大満足なミニ・アルバムになりました」
3部作は残るところあと1章。連作ソングのストーリーがどんなエンディングを迎えるのかを含め、その仕上がりが俄然、楽しみになってきた。
「今回〈運命のふたり〉っていうタイトルにしたんで、絶対ヨリは戻るべきだと思うんですよ。なので、明るいアップ・テンポの曲で締めくくれたらなって思ってます」
取材・文/もりひでゆき(2009年4月)