ヨンシーが全面的に音楽を手がけた映画『幸せへのキセキ』
対談:監督キャメロン・クロウ×ヨンシー
『ヴァルタリ』の制作に入る前、
ヨンシーは映画『幸せへのキセキ(原題:We Bought A Zoo)』(6月8日日本公開)の
サウンドトラックを制作。そんな音楽面でも話題の本映画の監督、
キャメロン・クロウとヨンシーの対談を入手! 音楽好きとしても知られるキャメロン・クロウのヨンシーへの惚れ込みっぷり、ヨンシーの音楽制作の秘密などが垣間見られます!
(C)2011 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved
キャメロン・クロウ 「私が君の音楽の虜になったのは、映画『バニラ・スカイ』('01)を一緒にやった時だね。
シガー・ロスの音楽に触れ、感動した私は、さっそくその映画で君の曲を使った。その時に少しだけ私に扉を開いてくれたんだよね。今回の映画の撮影中、(主演の)
マット・デイモンも「GO DO」をかけてくれとか、次々にリクエストがあったくらい、中毒のように私たちはずっと君のアルバムを聴いていたんだよ。もちろんシガー・ロスの曲もね。本当に君が受けてくれてよかったよ。ところで、前から聞きたかったんだけど、君はどうやって曲作りをしているんだい?」
ヨンシー 「ひと晩で楽譜を書き、2階にあるスタジオでピアノを弾くんだ。そんな感じかな。頭に浮かんだフレーズをただ録音しておくだけの時もあるよ。ふいにインスピレーションが湧くこともあるからね」
キャメロン・クロウ 「曲はいつもそうやってできるのかい? アイディアが浮かんだら、それをピアノで曲に?」
ヨンシー 「いつもアイディアが浮かんでくるわけではないよ。基本的には机に向かって曲を作っているかな。でも、新しい楽器を手にした時なんかは、ひらめくことが特にあると思う。今まで触ったことのない楽器に触れると、自然にメロディが浮かぶんだ。それまでに書いたことのない新しいメロディが。監督はこれまでに作曲したことはないの? そういえば、ストリングスの音は嫌いだったね。(音が)前に出過ぎるから?」
キャメロン・クロウ 「そう。僕は『ハロルドとモード』('71)の音楽ように単一の音声がいいんだよ。ほかには、『ローカル・ヒーロー』('83)の
マーク・ノップラーや『レインマン』('88)の
ハンス・ジマーなんかの曲が好きだね。映画には音楽が必要なんだ。私は音楽に頼り過ぎているところがあるのかもしれないけど、気分を盛り上げるためにも必要不可欠だよ。だからこそ君の音が必要だった。とても自然な音だったね。ストリングスがいかにもハリウッド映画といった雰囲気になるんじゃないかと心配していたけど、余計な心配だった。ストリングスの音がまるで一本のギターの音のように聞こえたんだ。だから逆にストリングスが出てくるところが、とても気に入っているよ」
ヨンシー 「同感だね。ありがとう」
キャメロン・クロウ 「じゃあ『幸せへのキセキ』に曲をつけた時のことについて教えてくれるかい」
ヨンシー 「映画ために最初に作ったのが、オープニングの曲なんだ」
キャメロン・クロウ 「最初に作ったのがオープニング曲ということは、映画を見て最初に浮かんだのが、あの曲というわけだね。あの曲はすべてをうまく表現しているよ。君の音も登場人物の一人だ。(映像を観ていて)気づいたんだが、映画というものは何らかの喪失感を扱っているんだ。君の作った音楽にも同じ喪失感を感じる。と同時に、大きな喜びも感じる。どうやってそのように表現することができるんだ?」
ヨンシー 「音楽の場合、決まった方法があるわけではないよ。たとえば、映画作りの場合は、自分の事だけではなく他の多くの人のことを考えるよね? 僕は自分の曲作りの時は、自分以外のことは考えない。ある意味利己的なんだ。でも映画の曲作りは、そうはいかないから、いろんなことを考えながら作ったよ」
キャメロン・クロウ 「ライヴの時はどうなの? 映画の時のように色んなことを考えてる?」
ヨンシー 「コンサートの時は、何も考えていない時が最高の瞬間なんだ。頭の中を空っぽにし、自分自身を解放する。余計なことは考えない。そういう時に最高のパフォーマンスが出来て、満足できるんだ。観客の反応も演奏のエネルギーになって、未知の高みに登れる」
キャメロン・クロウ 「こうして大きなスクリーンで自分の音楽を聴くのはどんな気分?」
ヨンシー 「いい作品ができた時は満足するし、映画を観ていても楽しめる。音楽と映像が上手くマッチしている時は特にそうだね」
キャメロン・クロウ 「スタジオに来て、音楽を作り、ミキシングをして、映画に音楽つけていく作業は好きかい?」
ヨンシー 「楽しいよ。このスタジオに来るのは好きだ。さっきも言ったけど、ミュージシャンは利己的なんだ。だから、自分の音楽を聴きたいんだよ。俳優がどういう演技をしているのかが気になって、音を切ることもあるけど、スタッフがちゃんとチェックしてくれる」
キャメロン・クロウ 「今回僕がとても誇りに思うのは、私たちが一つのチームのように息を合わせて仕事をしたことだ。特に誰が、と言うわけではなく私たち全員が音楽のファンであり、君のファンなんだ。皆が一丸となって作品を作り上げた。まさにこれが私の望んでいたことなんだ」
ヨンシー 「嬉しいよ。今回の仕事は、自分自身に多くのことを教えてくれた。確実に自分の音楽性を広げてくれたと思う」
キャメロン・クロウ 「もし私が今度、カーチェイスや銃撃戦があるようなアクション映画を撮ると言ったら、それでも私のために音楽を作ってくれるかい?(笑)」
ヨンシー 「喜んで。アクション映画も好きだからね。おもしろそうだ!」
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映画『幸せへのキセキ』[監督・脚本・製作]キャメロン・クロウ
[脚本]アライン・ブロッシュ・マッケンナ
[出演]マット・デイモン、スカーレット・ヨハンソンほか
[音楽]ヨンシー
[あらすじ]
最愛なる妻の死後、2人の子供を抱え、ロサンゼルスでコラムニストとして働いていたシングル・ファーザーのベンジャミン・ミー(マット・デイモン)は、人生と家庭を修復するために仕事を辞め、経営難で廃園寸前の動物園を購入。動物園の飼育員ケリー・フォスター(スカーレット・ヨハンソン)やリリー・ミシュカ(エル・ファニング)らの協力を得ながら、動物園の運営を通して動物たちや家族との関わりを描く、実話をもとにした感動のヒューマン・ドラマ。
[劇場情報]
6月8日(金)より、TOHOシネマズ スカラ座他全国ロードショー!
映画『幸せへのキセキ』オフィシャルサイト:
http://www.shiawase-kiseki.jp※5月30日発売
サウンドトラック『幸せへのキセキ』(SICP3508 税込み2,520円)
※新曲2曲収録/日本盤はキャメロン・クロウ監督コメント訳付
サウンドトラック「幸せへのキセキ」オフィシャル・サイト:
http://www.sonymusic.co.jp/sk