新作は“ロックンロールの大サービス”!ステレオフォニックス語る!

ステレオフォニックス   2007/09/25掲載
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 ポール・ウェラーボノ(U2)といったUKロックの大御所からも数多くのラヴ・コールを受けるケリー・ジョーンズが率いるステレオフォニックス。世界各地で10年間に行なったライヴ映像(全42曲)を収録したヒストリーDVD『リワインド』の発売に続き、この9月にはアルバム『プル・ザ・ピン』を発表、よりストレートでタイトに進化したサウンドに驚かされる一枚だ。結成10年を迎えた彼らに話を聞いた。


 気がついたらもう10年選手。しかしライヴやアルバムでは、いまだに溌剌とした尖ったサウンドを吐き出し続け、若手という言葉がふさわしいトリオだ。その歌のうまさからベテラン・ロッカーたちにも人気の高いヴォーカルのケリー・ジョーンズを中心に、長年の相棒リチャード・ジョーンズ(ba)、そして2年前に替わったハヴィエ・ウェイラー(ds)の3人は、新作『プル・ザ・ピン』でも少しも丸まることのない世界を聴かせてくれている。


「新作のレコーディングに際して、特にテーマや目標があったわけでもないんだ。というのも去年のツアーを終えて、オフの後、曲はすでに出来上がっていたので、アイルランドのスタジオにはじめはただデモ・セッションをするだけのつもりで入ったんだけれども、3人でプレイできることが楽しくて仕方がなくてね! で、ニュー・アルバムの土台として必要十分なものが出来てしまったんだ」


 確かに新作からは、いつにも増して昂揚感がストレートに伝わってくる。よりヘヴィでタイトとなったビートが、ケリーの書く印象的なフックを持った曲をさらに大きく膨らませるようになった気もするのだが、ケリーは「メンバー・チェンジがあったからって曲作りの面では昔と変わらないな。例えば<トラフィック>のようなストーリー性のある曲なら歌詞が先行するけれども、基本はギターでメロディを作って歌をつけていくことだし、それもだんだんとシンプルなものになってきてるんだ。ついついトゥー・マッチになってしまう若さゆえの未熟さも美しいけれど、最近はシンプルな、さりげない美しさを求めていると言えるのかな」と語る。




LtoR ハヴィエ・ウェイラー/リチャード・ジョーンズ/ケリー・ジョーンズ


 10年となるグループの歴史をたどったDVD『リワインド』の制作なども何か影響があったように感じられたのだが、リチャードは「「実際に僕らも編集に関わったから、面白かった。過去、現在と見ることで僕らの本質もあらためて見えてきたし。初期のステージは盛り上がってるのを見て僕もワクワクしたよ」


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DVD『リワインド』発売記念ポスター/5名様



 バンドの現在の状態がとても良いと全員が口を揃えるが、新作のよく引き締まったサウンドを聴いているとそれも納得だが、なかでも<レディ・ラック>がとくに気に入ってたら、なんとレコーディングでは一番苦労したのだという。

「毎回てこずる曲はあるんだけれど今回の<レディ・ラック>は大変だった! 歌いこなせなくてね。メロディを安定させられなくて、何度もやり直したよ。気分転換のために散歩に出たりして。……だけどこういうひとつひとつのトラブルを解決していくことがアルバム作りの醍醐味なんだよね。個人的には良い作品に仕上げるまでの過程が一番の楽しみだし、そのときがとても充実するんだ」


 最後に三人に『プル・ザ・ピン』のプロモーションマンになったつもりでキャッチ・フレーズをつけてほしいと聞いてみた。

「ロックンロールの大サービス」(ケリー)

「ステレオフォニックス最高傑作」(リチャード)

「わかんないよ(笑)……“Fuck Yeah!(まさにコレ!)”ってとこ?」(ハヴィエ)



取材・文 大鷹俊一(2007年8月)
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