4月にシングル
「慟哭へのモノローグ」(新パチスロ『新世紀エヴァンゲリオン〜魂の軌跡〜』テーマ・ソング)を、6月23日にカヴァー・アルバム
『20th century Boys & Girls〜20世紀少年少女〜』をリリースする
高橋洋子。アルバムでは〈20世紀の少年・少女達へ〉をテーマに、1980年代初頭の映画・TV・アニメのヒット曲を中心に全10曲をセレクト。映画『天空の城ラピュタ』の主題歌や、映画『ルパン三世 カリオストロの城』の主題歌など、名曲たちを新鮮なアレンジと共に表情豊かに歌いあげる。「魂のルフラン」や「残酷な天使のテーゼ」の新ヴァージョンといったセルフ・カヴァーも聴きどころの一枚だ。1995年に『新世紀エヴァンゲリオン』の主題歌を担当し、シンガーとして大きな信頼を得てきた彼女に、あらためて“歌”との向き合い方についても語ってもらった。
――まず、今回のカヴァー・アルバム『20th century Boys & Girls』を作ろうと思われたきっかけは?
高橋洋子(以下、同)「私もそうですけど20世紀に少年・少女だった方たちも今はすっかり大人になっていて。やっぱり、その頃の素晴らしい作品や素晴らしい歌い手がいて、今の私がいると思っているんです。だから今回は、当時のアニメやTVドラマの主題歌などを敬意と感謝を込めて歌わせていただきました。アレンジも日本を代表する編曲家の方にやっていただいて、制作全体を通じてとても幸せな時間を過ごすことができたんです」
――ジャズやボサ・ノヴァといった、幅広いジャンルを歌いこなされていて。オリジナルとは違う意外なアレンジも多いですよね。
「そう思いますよね(笑)。“これは一体どう調理するんだろう!?”なんて私自身もびっくりした曲もありますよ。音楽って、その曲を聴くとその時代がフラッシュバックするような素晴らしいもの。でも、今の私が歌うとどうなるのか?っていうところをそれぞれのアレンジャーさんたちが考えてくれて、それをどう表現するか?という面白いコラボレーションでした」
――「魂のルフラン2010Version」「残酷な天使のテーゼ2009Version」とセルフ・カヴァーも収録されています。ご自身のキャリアにおいて『新世紀エヴァンゲリオン』との出会いは大きな転機だったと思いますが、振り返ってみてどうですか?
「『新世紀エヴァンゲリオン』という作品があまりにも大きすぎて、そこから思考が出られなくなった時期もありましたし、いろんなことがあったけれど、あの出会いがあったからこそ今の自分がいると感謝しています。当時は10数年経った今でもこうして歌わせていただけるなんて思って歌ってないですし、どちらかというとスタジオ・ミュージシャンに近い感じで、アニメがどんな内容かも知らずに、とにかく精一杯に歌うことしか考えてなかったんです」
――今はアニメ・ソングやカヴァーを歌う上で、何か心がけていることはありますか?
「上手く歌おうという欲を働かせないようにしています。譜面に対して正確に。私は、自分で曲や歌詞を書いたりもしますけど、例えば今回の『20th century Boys & Girls』では私は歌を担当しているんですね。みなさんの手を通って私のところに来た時に、私がどう表現するかで全てが変わってしまうくらい重要な、いいポストをやらせてもらっているので、さらに良くなるようにするには、それぞれの邪魔をしないように……っていうのをいろいろ考えると〈正しく歌う〉のが一番。この言葉、このメロディ、と思って作られたものを私は正しく表現することを心がけていて、実はそれはすごく難しいことだと思っています」
――そうしたポリシーが今回の作品にも詰まっているわけですね。
「そうです。こうして続けて歌わせてもらえてる環境には感謝していますし、今も変わらず不器用で、いつでも精一杯です(笑)」
取材・文/上野三樹(2010年5月)