祝! ビートルズ主演映画第2作『ヘルプ!』DVD発売!

ザ・ビートルズ   2007/11/14掲載
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1965年に公開されたビートルズ主演映画第2作『ヘルプ!』がデジタル修復され、5.1チャンネル仕様になって11月7日に発売。2枚組で発売される今作には、初公開となるメイキング映像や未公開シーン、アメリカで上映された予告編なども収録。さらには、オリジナル脚本の複製やロビー・カードなどを特典につけたデラックス・エディションも同時発売されました。今回は、DVDの発売を記念して『ヘルプ!』をご紹介いたします。
 この『ヘルプ!』は、ビートルズ主演第1作『ハード・デイズ・ナイト』を手がけたリチャード・レスター監督によるアクション・コメディ。リンゴが手にした、いけにえの儀式に使用される指輪を狙い、儀式を行なうために指輪を取り戻そうとする教団や指輪で世界征服を狙う科学者、警察などを巻き込んで、ロンドンやアルプス、バハマなどをビートルズが逃げ回るというストーリー。ナンセンス・ギャグとシニカルなユーモアが全編にちりばめられ、後のモンティ・パイソンなどにも通じるコメディ作品になっています。また、「涙の乗車券」のシーンのように、現在でいうビデオクリップのような、映像で音楽を楽しむことができるMTV感覚の映画として楽しむことができる一作とも言えるでしょう。

 65年2月23日よりバハマにて撮影が開始された今作は、撮影当初は『エイト・アームズ・トゥ・ホールド・ユー』なるタイトルで製作が進んでいました。しかし、このタイトルにあう楽曲をジョンポールが書き上げることができず、映画タイトルが『ヘルプ』に変更され、5月15日にクランクアップとなりました。完成した映画は、7月29日にロンドンのピカデリー・サーカスにある劇場でプレミア公開(このとき、劇場には4000人ものファンが集まり、250人の警官が出動、7人の女性が倒れて病院に運ばれました)。日本では、11月13日に東京・有楽座にて先行上映され、(ロードショー公開は12月18日)上映開始翌日の14日には、映画を待つ行列で劇場前の車道に人があふれかえり、交通がマヒ。機動隊が出動する騒ぎにまでなりました。


バハマの海岸を走るビートルズ/(C)Apple Corps Ltd


 「ヘルプ」をはじめとする劇中で使用された7曲は、アルバム『ヘルプ』に収録され、イギリスでは65年8月6日に発売。アルバムはNME誌では9週連続1位を記録しました。アメリカでは、ケン・ソーンによる劇中スコアも収録した別内容で8月13日に発売され、9週連続1位を獲得しました。


ソールズベリー平原で演奏するビートルズ/(C)Subafilms Ltd-Bruce A Karsh


 さて、この映画が公開された後のビートルズというと、65年12月にアルバム『ラバー・ソウル』を発表し、最後のイギリス・ツアーを敢行。66年6月からドイツ、日本、フィリピンで公演を行ない、7月には、ジョンのキリスト発言でアメリカではビートルズ排除運動が行なわれ、8月29日のサンフランシスコ公演を最後にライヴ活動を終了することになります。そんなビートルズのアイドル時代最後の姿を観ることができる作品と言っても過言ではないこの映画『ヘルプ』。ビートルズ・ファンはもちろん、音楽ファン、そして映画ファンもチェックしてみてはいかがでしょうか?




 

 映画のオープニングを華やかに飾った主題歌。仮に決まっていた映画のタイトル曲(“Eight Arms To Hold You”)をジョン・レノンとポール・マッカートニーが書けなかったため、65年4月4日にジョンが作ったこの曲が採用され、8月に10枚目のシングルとして発売されたのに続き、5枚目のアルバムのタイトル曲にもなった。ジョンの代表曲のひとつだが、“太ったエルヴィス”と後に当時の自分を揶揄していたジョンは、“生ける屍”のようなアイドル全盛の65年、悲痛な叫びをこのリズミカルな曲に乗せて叫んでいたのだった。5.1チャンネルのサラウンドでの演奏はエレキ、アコギ、ドラム、コーラスなど、音の分離の良さと迫力には耳を奪われっぱなし。凄すぎる。





 ポールならではの爽快なロック・ナンバー。開放的な響きを持ちながらも、さりげなく翳りを忍び込ませているあたりにメロディ・メイカーとしての冴えが見られる。映画では、同じくポール作のR&B調の佳作「シーズ・ア・ウーマン」(64年)とメドレー風に使われている。




 ジョンが、同時代のミュージシャンのなかでもっとも大きな影響を受けたボブ・ディランの作風を真似て作ったアコースティック調の曲。いわば「時代は変わる」のジョン・レノン版。レコーディングでは久しぶりに外部のミュージシャン(エンディングでフルートを聴かせているジョニー・スコット)を招き入れている。




 映画のなかで唯一使われたジョージ・ハリスンのナンバー。ちなみにビートルズのアルバムに収録されたジョージの曲は、「ドント・バザー・ミー」(63年)についでこれが2曲目となる。この映画に使われたケン・ソーン・オーケストラの演奏によってシタールと出合ったジョージだが、まだこのころは、この舌足らずなポップ・ナンバーのように、けなげな表情を浮かべていた。




 ポール作の軽快なロック・ナンバーで、リード・ギターもポール。いきなりヴォーカルから始まる曲がビートルズにはたくさんあるが、この曲もそう(映画挿入歌のなかでは「ヘルプ!」と「恋のアドバイス」も)。チョーキングを多用した、まとわりつくようなエレキ・ギターの音色は5.1チャンネルのサラウンドで、さらに強調されている。




 映画のハイライト・シーンのひとつとなったのがこの曲。レコーディングの場面で使われているため、カウント・インで始まる臨場感のある演奏が、5.1チャンネルのサラウンドでさらに楽しめる。ヴォーカルとコーラスの掛け合いが目立つのも『ヘルプ!』挿入歌の大きな魅力のひとつだが、ジョン作のこの曲ではそれが顕著だ。印象的な映像とあいまって、効果抜群。




「ヘヴィ・メタルのレコードとしては最も早いもののひとつ」と作者のジョンが言っていたビートルズ9枚目のシングル曲。ポールはここでもエンディングでチョーキングを多用したギターを弾いている。アルプスの雪山でのワン・シーンでこの曲は使われたが、その美しさは、さながらプロモーション・ビデオのようだと後に多方面から絶賛された。
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